「ジャーン」は、そろそろ「更新」しても、いいのではないだろうか?
ドラマを見ていて、登場人物が、何かを取り出すとき、人に見せるとき、今も発する言葉がある。
ジャーン。
もしくは、ジャジャーン。
そこに手の動きや表情などもセットで表現されるのだけど、そういえば、このオノマトペは、現実の世界でも、かなり広い世代で使われているし、長い時間、耳にしていることに気がついた。
そして、ふと、そろそろ、こういう場面で、「ジャーン」にかわる、次の言葉は出てこないのだろうか、と思った。
オノマトペ
「ジャーン」というのは、オノマトペだというのは、なんとなく知っていた。
ただ、オノマトペという言葉自体は、発音するたびに、微妙に唇がモゾモゾするような(このモゾモゾもオノマトペだけど)気持ちになるのは、以前は専門用語に近いものが、日常語になっていくぎこちなさなのかもしれない。
この翻訳事業の会社の記事でも、丁寧に「オノマトペ」について書かれていて、自分が無知なことを、改めて知る。
オノマトペが、擬声語と擬態語に分けられることも、恥ずかしながら、知らなかった。
そんなに多く存在することも、今まで意識したことはない。
畳語というのも、ここで初めて知った。
狂言という伝統的な芸能で、多用されているらしいことからも、かなり古くからオノマトペが使われているのがわかる。
能楽の舞台と狂言は、年に一度程度しか見ていない観客の感覚としては、空気感の重さと軽さが、最も違う要素だと思うので、もしかしたら、オノマトペは、表現に軽さを加える力があるのかもしれない。
ジャーン
そこで「ジャーン」を改めて考えると、おそらくは、例えば、何かの賞の授与などの時、その受賞者の名前を言う前に、何かしらの効果音によって、より場を盛り上げることは、おそらくは、ずいぶん昔から行われてきたのだと思う。
そして、それは映画やテレビの映像の時代以降も、数限りなく目にする機会が多かったはずで、21世紀に生きている人たちにとっては、年代に関わらず、ある意味では、共通の体験になっている可能性が高い。
だから、「ジャーン」や「ジャジャーン」はドラマなどのフィクションで使われる以前に、誰かが日常生活のなかで始めて、それが広がって定着し継続している習慣だから、おそらくは、どの世代にも、ほぼ無意識のうちに使われているのだと思う。
ポーズの変遷
その「ジャーン」が長く変わらないのが気になるのは、写真を撮るときなどのポーズの変遷が激しく早いからだ。
1960年代、おそらく誰もが一度はしたのが「シェー」のポーズで、これは、アニメの登場人物が、驚いた時にとる姿勢だった。
この記事は、「定年女子」というタイトルで、定年を迎えた女性によって書かれているのだけど、以前の「決めポーズ」は、おそらくは、少なくて、その使用される期間も、長かったことが証言されている。
その後、そのポーズの変遷のスピードは上がっていく。
この記事によると、1970年代までの、「見返り美人」「はじらい」「スケバン」までは、一般に普及していたのかは、やや怪しいものの、その後の「Wピース」から「ゆびハート」は、明らかに広く定着していた記憶がある。
1980年代から、約30年の間に流行ったポーズとして、6種類が紹介されているが、これも、おそらくは、一部に過ぎないだろうから、どれだけの「決めポーズ」や「盛れるポーズ」が世の中に生まれたのかは、正確なことは分からないくらい大量なのは間違いない。
2022年12月段階だと、プリクラポーズ1位は「ぎゃうポーズ」らしいが、すでに、ランキングは変動し、新しいポーズが登場している気がする。
写真とポーズ
すでに誰かが言っていると思うので、わざわざ指摘するのもちょっと恥ずかしいが、これだけ、名称はいろいろあるとしても、写真を撮る際のポーズが数多く出てきて、さらに変遷が激しくなったのは、写真を撮る機会が増えたせいだと思う。
繰り返しの紹介になるけれど、この記事を書いた人の家族写真は、1960年代で、撮影しているのは、おそらく父親のはずで、だから、母と娘たちが写っているのだと思う。
1970年代までは、カメラは高額で、所有者は増えていても、世帯主である父親が持っていることが多く、しかも、フィルムカメラが主流だった。
撮影して、現像して、プリントするまでにお金がかかるから、一枚一枚大事に撮られていて、しかも、家族で出かけるときに「記念写真」として、撮影する機会が圧倒的に多かった印象がある。
だから、写真を撮ることも、撮られる機会も少なく、決めポーズが少なくても、そんなに困らなかったはずだ。
カメラの普及
その後、カメラは、世帯ではなく、個人が持つものになっていく。
「写ルンです」が発売されたのが、1986年。
「プリクラ」が登場したのが、1996年。
「カメラ付き携帯電話」が、2000年に発売されたのだけど、これで、撮影費用は実質かからなくなったので、それ以降、撮影枚数は爆発的に増えて、さらに、「スマートフォン」によって、加速したと思う。
今では、人によっては、全く写真を撮らない日は1日もないくらいになっているはずだから、1日に何回も撮影されることも当たり前になって、そうなると、その際の決めポーズが大量に発生するのは、必然ではないだろうか。
「ジャーン」の更新
そうしたポーズの変遷と比べると、何かを決める時や、注目してもらえるオノマトペとして「ジャーン」は、あまりにもオーソドックス過ぎないだろうか、という気持ちにもなる。
その理由を推測すれば、写真に音は映らないから、ということになるのだろうけど、今は、動画が主流になってくれば、音も重要になってくるはず。だけど、今のところは「音楽」と「映像」の組み合わせが多いようなので、人の音声としてのオノマトペは、まだ、それほどのバリエーションが必要ないのかもしれない、と勝手に推測を進める。
ただ、もしも、新しい「ジャーン」ができるとすれば、「ジャーン」を基本としながら、その場面に応じて、使うオノマトペをかえる、といった小さな変化から始めるしかない、のかもしれない。
例えば、こんな言葉。
これ↑は、言い方は難しいのだけど、誰かにプレゼントを渡すときなど、「気にいるかどうかわからないけど」といった謙虚なニュアンスを込めて、明るめの「ふーん」で、場を和ませることはできないだろうか。
複数の人から、誰かに渡すときなど、二人で打ち合わせをして、「いよー」で、注目を集め「はい」で、フタを開けるなどをすれば、驚きもプラスできるかもしれない。
突然の、しかも、遠方からの物品だったら、こうした言葉↑と共に差し出すと、距離感が演出できないだろうか。
渡す時の、ドキドキした気持ちを表すように、ちょっと抑えめの大きさの声で伝える言葉かもしれない。
これ↑だけは、テレビを見ていたら、とある有名人のかたが使っていた。
以上の具体例は、(一つをのぞいて)本当に思いつきで、書いていても、ちょっと恥ずかしくなるくらい、稚拙なのはわかっているのですが、もしも、もっといい「ジャーン」にかわる言葉があったら、(すでにあるのかもしれませんが)教えてもらえたら、ありがたいです。
よろしくお願いします。
(他にも、いろいろと書いています↓。よろしければ、読んでもらえたら、うれしいです)。
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