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「ジャーン」は、そろそろ「更新」しても、いいのではないだろうか?

 ドラマを見ていて、登場人物が、何かを取り出すとき、人に見せるとき、今も発する言葉がある。

 ジャーン。

 もしくは、ジャジャーン。

 そこに手の動き表情などもセットで表現されるのだけど、そういえば、このオノマトペは、現実の世界でも、かなり広い世代で使われているし、長い時間、耳にしていることに気がついた。

 そして、ふと、そろそろ、こういう場面で、「ジャーン」にかわる、次の言葉は出てこないのだろうか、と思った。

オノマトペ

「ジャーン」というのは、オノマトペだというのは、なんとなく知っていた。

 ただ、オノマトペという言葉自体は、発音するたびに、微妙に唇がモゾモゾするような(このモゾモゾもオノマトペだけど)気持ちになるのは、以前は専門用語に近いものが、日常語になっていくぎこちなさなのかもしれない。

 この翻訳事業の会社の記事でも、丁寧に「オノマトペ」について書かれていて、自分が無知なことを、改めて知る。

日本語のオノマトペの特徴――その一つは、擬態語が豊富に存在することです。
オノマトペのうち擬音語は、多くの言語で対応する言葉が存在すると言われています。擬音語は自然現象として発生する音を言葉で表現したものなので、どの言語の文化圏であっても、音が存在すればその音を表す言葉が存在します。犬の鳴き声は、多くの場合、日本語では「ワンワン」、英語では「bowwow」、中国語では「汪汪」(「わんわん」と発音します)、フランス語では「ouah ouah」と表現します。

 オノマトペが、擬声語擬態語に分けられることも、恥ずかしながら、知らなかった。

一方、擬態語は物事の状態や心の動きを表す言葉なので、すべての言語に対応する言葉が存在するとは限りません。その状態を言葉で表現したいかどうか(表現する必要があるかどうか)で、その言語での擬態語が存在するかどうかが決まります。時代や環境の移り変わりとともに変化していく種類の言葉でもあります。

擬態語の多さゆえ、日本語のオノマトペは4,000語あるとも5,000語あるとも、また、他言語の3倍から5倍あるとも言われ、正確な数字は諸説あるようですが、とにかく他言語に比べて非常に多いという認識が一般的です。ちなみに、韓国語にはさらに多くのオノマトペが存在するそうです。

 そんなに多く存在することも、今まで意識したことはない。

一般に、日本語は動詞が少ない言語であると言われています。動詞のバリエーションを補うために進化してきたのがオノマトペであると考えると、言語の成り立ちにまで興味が湧いてきますね。

日本語のオノマトペには、「わくわく」「もぐもぐ」「ザラザラ」「さくさく」などの繰り返し言葉=畳語(じょうご)が多数あります。オノマトペに限らず「畳語が多い」というのは日本語の特徴の一つですが、特にオノマトペは、日常的に日本語表現に触れる環境で培われる感覚に依存する部分が大きいため、日本語を学習されている皆さんは最適なオノマトペを習得するまでに大変苦労されるそうです。

 畳語というのも、ここで初めて知った。

 狂言という伝統的な芸能で、多用されているらしいことからも、かなり古くからオノマトペが使われているのがわかる。

例えばのこぎりで物を切るしぐさをしながら「ズカズカ」と口で効果音を発します。この発声もしぐさの場合と同様、「型(かた)」にのっとっています。また寺ごとに異なる鐘の音を、「グヮン」「チーン」と表現し分けたり、さらには鐘の響きの余韻すらも「ジャーン、モンモンモン」と表現したりするなど、擬音が活躍するのが狂言の特徴です。

 能楽の舞台と狂言は、年に一度程度しか見ていない観客の感覚としては、空気感の重さと軽さが、最も違う要素だと思うので、もしかしたら、オノマトペは、表現に軽さを加える力があるのかもしれない。

ジャーン

 そこで「ジャーン」を改めて考えると、おそらくは、例えば、何かの賞の授与などの時、その受賞者の名前を言う前に、何かしらの効果音によって、より場を盛り上げることは、おそらくは、ずいぶん昔から行われてきたのだと思う。

 そして、それは映画やテレビの映像の時代以降も、数限りなく目にする機会が多かったはずで、21世紀に生きている人たちにとっては、年代に関わらず、ある意味では、共通の体験になっている可能性が高い。

 だから、「ジャーン」や「ジャジャーン」はドラマなどのフィクションで使われる以前に、誰かが日常生活のなかで始めて、それが広がって定着し継続している習慣だから、おそらくは、どの世代にも、ほぼ無意識のうちに使われているのだと思う。

ポーズの変遷

 その「ジャーン」が長く変わらないのが気になるのは、写真を撮るときなどのポーズの変遷が激しく早いからだ。

「シェー」をする家族写真。な、懐かしい! 今でいう「エモい」?

 1960年代、おそらく誰もが一度はしたのが「シェー」のポーズで、これは、アニメの登場人物が、驚いた時にとる姿勢だった。

正確かどうか確認できないのですが、「おそ松くん」のTVアニメ第1期の放送は、ネット情報によると66年2月~67年3月までだったようです。我が家の「シェー」写真が66年5月ですから、放送開始から3か月で地方都市に住む幼稚園児からその親世代まで巻き込んだブームになっていたということですね。
昭和時代の流行は、世代に関係なくみんなが知っていたし、長~く続きましたよね。

今回、思い返してみますと、私がしたことのある写真の決めポーズといえば「シェー」と「ピース」しかないかも…! バリエ、少なっ。

 この記事は、「定年女子」というタイトルで、定年を迎えた女性によって書かれているのだけど、以前の「決めポーズ」は、おそらくは、少なくて、その使用される期間も、長かったことが証言されている。

 その後、そのポーズの変遷のスピードは上がっていく。

 この記事によると、1970年代までの、「見返り美人」「はじらい」「スケバン」までは、一般に普及していたのかは、やや怪しいものの、その後の「Wピース」から「ゆびハート」は、明らかに広く定着していた記憶がある。

 1980年代から、約30年の間に流行ったポーズとして、6種類が紹介されているが、これも、おそらくは、一部に過ぎないだろうから、どれだけの「決めポーズ」や「盛れるポーズ」が世の中に生まれたのかは、正確なことは分からないくらい大量なのは間違いない。

 2022年12月段階だと、プリクラポーズ1位は「ぎゃうポーズ」らしいが、すでに、ランキングは変動し、新しいポーズが登場している気がする。

写真とポーズ

 すでに誰かが言っていると思うので、わざわざ指摘するのもちょっと恥ずかしいが、これだけ、名称はいろいろあるとしても、写真を撮る際のポーズが数多く出てきて、さらに変遷が激しくなったのは、写真を撮る機会が増えたせいだと思う。

 繰り返しの紹介になるけれど、この記事を書いた人の家族写真は、1960年代で、撮影しているのは、おそらく父親のはずで、だから、母と娘たちが写っているのだと思う。

 1970年代までは、カメラは高額で、所有者は増えていても、世帯主である父親が持っていることが多く、しかも、フィルムカメラが主流だった。
 撮影して、現像して、プリントするまでにお金がかかるから、一枚一枚大事に撮られていて、しかも、家族で出かけるときに「記念写真」として、撮影する機会が圧倒的に多かった印象がある。

 だから、写真を撮ることも、撮られる機会も少なく、決めポーズが少なくても、そんなに困らなかったはずだ。

カメラの普及

 その後、カメラは、世帯ではなく、個人が持つものになっていく。

「写ルンです」が発売されたのが、1986年。

「プリクラ」が登場したのが、1996年。

 「カメラ付き携帯電話」が、2000年に発売されたのだけど、これで、撮影費用は実質かからなくなったので、それ以降、撮影枚数は爆発的に増えて、さらに、「スマートフォン」によって、加速したと思う。

 今では、人によっては、全く写真を撮らない日は1日もないくらいになっているはずだから、1日に何回も撮影されることも当たり前になって、そうなると、その際の決めポーズが大量に発生するのは、必然ではないだろうか。

「ジャーン」の更新

 そうしたポーズの変遷と比べると、何かを決める時や、注目してもらえるオノマトペとして「ジャーン」は、あまりにもオーソドックス過ぎないだろうか、という気持ちにもなる。

 その理由を推測すれば、写真に音は映らないから、ということになるのだろうけど、今は、動画が主流になってくれば、音も重要になってくるはず。だけど、今のところは「音楽」と「映像」の組み合わせが多いようなので、人の音声としてのオノマトペは、まだ、それほどのバリエーションが必要ないのかもしれない、と勝手に推測を進める。

 ただ、もしも、新しい「ジャーン」ができるとすれば、「ジャーン」を基本としながら、その場面に応じて、使うオノマトペをかえる、といった小さな変化から始めるしかない、のかもしれない。

 例えば、こんな言葉。

「ふーん」

  これ↑は、言い方は難しいのだけど、誰かにプレゼントを渡すときなど、「気にいるかどうかわからないけど」といった謙虚なニュアンスを込めて、明るめの「ふーん」で、場を和ませることはできないだろうか。

「いよー」「はい」

 複数の人から、誰かに渡すときなど、二人で打ち合わせをして、「いよー」で、注目を集め「はい」で、フタを開けるなどをすれば、驚きもプラスできるかもしれない。

「キーン」

 突然の、しかも、遠方からの物品だったら、こうした言葉↑と共に差し出すと、距離感が演出できないだろうか。

「ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ」

 渡す時の、ドキドキした気持ちを表すように、ちょっと抑えめの大きさの声で伝える言葉かもしれない。

びよーん

 これ↑だけは、テレビを見ていたら、とある有名人のかたが使っていた。

 

 以上の具体例は、(一つをのぞいて)本当に思いつきで、書いていても、ちょっと恥ずかしくなるくらい、稚拙なのはわかっているのですが、もしも、もっといい「ジャーン」にかわる言葉があったら、(すでにあるのかもしれませんが)教えてもらえたら、ありがたいです。

 よろしくお願いします。




(他にも、いろいろと書いています↓。よろしければ、読んでもらえたら、うれしいです)。




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おちまこと
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