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IT批評

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IT批評 編集長 桐原永叔の記事です。
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#シュレーディンガー

神と悪魔と、人間と。量子の世界は知的枠組みの何を変えうるのか?

神と悪魔と、人間と。量子の世界は知的枠組みの何を変えうるのか?

前回は量子コンピューター、前々回はメタバースをテーマにしてきた。それぞれのテーマが行き着くところはある種の宗教性、魔術性である。おそらくAIについての議論もそうだろう。先端テクノロジーの極地へは神のごとき存在を避けて進めないようだ。

ニーチェと神の死

哲学者のフリードリヒ・ニーチェが「神は死んだ」と述べたのは『ツァラトゥストラはこう言った』上下(氷上英廣訳/岩波文庫)のなかでのことだ。19世紀

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量子コンピュータをめぐるプラトン主義 アインシュタインとボーア、ペンローズとホーキング

量子コンピュータをめぐるプラトン主義 アインシュタインとボーア、ペンローズとホーキング

岸田内閣が先端テクノロジー分野を明確に国家戦略に位置づけると発表したのは3月のことである。「新しい資本主義実現会議」で策定されまとめられた実行計画には先端テクノロジーとして5つの分野を重点化している。そのなかで私の目を引いたのはAIと量子技術だった。

量子力学の成立に潜む思想的な対立

前回の記事の最後で、ペンローズの量子脳について触れた。イギリスの数理物理学者であり科学哲学者でもあるロジャー・

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ネコが覗いた世界史

ネコが覗いた世界史

今回はネコの話。
というと、これまでとあまりに毛色が違いすぎるだろうか。
ネコは、人の歴史にちょいちょい顔を出す。直接、歴史を変えたことはないが、歴史を変えた人物のそばにちゃっかりいたりする。大昔からAIの時代に至るまで。
数匹のネコから、歴史、そして感染症のことをつらつら考えてみた。

「ネコのためなら道を譲る」

狂騒というのか、波乱というのか、かつて知らないような選挙戦の末に、ようやくアメリ

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