<連載長編小説>黄金龍と星の伝説 ‐第二章/ふたつの葛藤‐ 第31話
七人の友 -1
夜明けまえの廃墟の町を急ぎ足で通りすぎ、
サムは、かつてこの国に潜入する際に利用した楡の木の場所へと急ぎました。
楡の並木はすぐにみつかり、大きくなったその枝は、地上をこするほどに成長しておりました。
楡の木の幹の部分は掴めそうな部分が切り落とされていたので、
サムは、月明かりをたよりに、垂れ下がった枝を両手で掴むと、
膝のあたりまで押しさげて、
両足に踏んで……、
左右の枝を支えに顔を起こして、
塀のむこうの闇に沈んだ明日をみつめて、
一歩踏みだ