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源氏物語「雨夜の品定め」で語られる理想の女性って?
大河ドラマ『光る君へ』にはまり、源氏物語を少しずつ読み返しています。
「雨夜の品定め」と呼ばれる部分が、現代で読んでも面白いなと思ったので書いてみます。
雨夜の品定めとは
〈通説では源氏17歳の夏〉
五月雨の降り続くある夏の夜、宮中に源氏の友人らが集まって、いつしか話題は女性論になっていった。
嫉妬深い女や浮気な女、内気な女、才気走った女など、それぞれの経験談をまじえた女性論がかわされる。
終始聞き役にまわっていた源氏は、彼らの談義を通して、自分からは縁遠い中流階級の女性に興味を持ち始める。
年頃の男性同士が集まって、女性の格付けをしている感じでしょうか。
なかなか人前で言いづらい話も、雨の音がかき消してくれるような気がしたのかも。
なんて雨の日に書きながら思いました。
どんな女性を妻にするべき?
とくに気になった部分
原文
品にもよらじ、容貌をばさらにも言はじ、いと口惜しくねぢけがましきおぼえだになくは、ただひとへにものまめやかなに静かなる心のおもむきならむよるべをぞ、つひの頼みどころには思ひおくべかりける。
訳
身分のよしあしにもよりますまいし、顔かたちなどはなおさら論外でしょうし、どうにもお話にならなぬひねくれ者という感じさえしないのでしたら、ただ一途に実直で、落ち着いたところのある女こそ、生涯の伴侶と決めておくのがよいというものです。
原文
あまりのゆゑ、よし、心ばせうち添へたらむをばよろこびに思ひ、すこし後れたる方あらむをもあながちに求め加えじ。
うしろやすくのどげきところだに強くは、うはべの情はおのづからもてつけつべきわざをや。
訳
それに加えてすぐれた資質、才能や気働きがともなっているようなら、それをもうけものと思い、少しは足りないところがあっても、無理な要求はいたしますまい。
頼もしく信頼がおけて、おっとりしているような性質さえ確かなら、表面的な風流気などはしぜんと身につけることができるのですからな。
身分でも容姿でもなく「心」に焦点を当てているところが意外です。
後半の「うしろやすく」は解説によると、主に浮気や嫉妬あるいは家事の処理に関する心配がなく安心できることをいうそう。
そういう点で信頼できる人なら、欠点があっても多めにみてあげよう、という考えのようです。
「相手に完璧を求めない」という考えは、平安時代の恋愛だけではなくて、現代でも人付き合い全般に言えそうなことです。
なるほどなと思わされるし、これを約1000年前に書いた紫式部はすごく聡明だなと思います。
梅雨のうちに「雨夜の品定め」の記事が書けてよかったです。
論文かレポートみたいになっている気がするけど、そのままの言葉で読む面白さも感じるので原文も引用してみました。
読み返してみて、学生時代は授業や論文に直接関係のないところまでじっくりと読めていなかったなと気づきました。
ことしの下半期も『光る君へ』を見ながら『源氏物語』もマイペースに読み進めていきたいです。
また次の記事でお会いできますように♪