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源氏物語 いつの時代も髪は女の命だったのかな
源氏物語を少しずつ読み進めています。
いま読んでいるのは若紫の巻です。
光源氏が紫の上と出会って恋を募らせるようになります。
初めて紫の上を垣間見する場面は、高校の古典の授業で何度も暗唱した記憶があって、
「雀の子を犬君が逃しつる」
というセリフが印象に残っています。
これが紫の上の初めてのセリフで、子どもらしい言葉だなと思いました。
大学の授業でもこの場面を読んだときに、紫の上の髪の描写が繊細だと言われたことを思い出しました。
きっと有名な場面なんですね。
光源氏から見た紫の上の様子
つらつきいとらうたげにて、眉のわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額つき、髪ざしいみじううつくし。
訳
顔つきがまことにいじらしく、眉のあたりがほんのりと美しく感じられ、あどけなくかき上げている額の様子、髪の生えざまが、たいそうかわいらしい。
尼君、髪をかき撫でつつ、「梳ることをうるさがりたまへど、をかしの御髪や。(中略)こぼれかかりたる髪つやつやとめでたう見ゆ。
訳
尼君が、(紫の上の)髪をかきなでかきなでして、「櫛を入れるのをおいやがりですけれども、きれいな御髪ですこと。(中略)こぼれかかってくる髪は、見るからにつやつやとみごとな美しさである。
光源氏は紫の上の顔立ちや髪をよく見ていることがわかります。
紫の上は、まだ子どもで髪をとかすのも嫌がるくらい人からの視線をぜんぜん意識していないけど、この頃から美人の素質があったんですね。
(当時からこの言葉があったかはわからないけど)
髪は女の命、とはよく言ったものだなと思います。
たぶん、紫式部も周りの女性で髪がきれいな人をよく観察していたのかなと想像してしまいました。
髪といえば、
大河ドラマの『光る君へ』で中宮定子様が出家しようと髪を刀で切った場面がすごく衝撃的でした。
NHKのマガジンで定子様役の高畑充希さんのインタビューを読んだのですが、
当時は、
「髪を切る=命を断つ」
くらいのことだと撮影の前に教わったというような内容がありました。
命と同じくらいに大事な髪なのに、切り落としてもいいと思ってしまうほど追いつめられていたとわかって、心がぎゅっと締めつけられる場面です。
源氏物語に話を戻すと、この後光源氏は紫の上に執着するようになり、引き取って自分好みの女性に育てたいと考えるようになります。
...とあらすじを聞くとひいてしまうけど、結果的に生涯にわたって光源氏をいちばん支えてくれた女性なので人を見る目はあったんだなと思います。
子どもの頃から目を惹く美質を与えられていた紫の上は、やっぱり特別な女性なんですね。
物語の中で紫の上が成長していく様子も、ゆっくり読み進めていきたいです。
また次の記事でお会いできますように♪