読了「君はリンゴで世界を驚かせるだろう」
どこか怖さを感じるようなインパクトある表紙。図書館の新着図書コーナーで見かけて借りてきた。
「アート」の棚にあったと思う。気軽に読めるアートとしても楽しかった。が、ビジネス書でもあり、心理学に根差した自己啓発書でもあると思う。
アートについての雑学のような、気楽な文体でのストーリー。
「アートの名言」として41の名言が出てくるが、一覧ではない。気楽な文脈の中で出てくるので、名言である理由も伝わりやすい。一覧で書かれた名言集では伝わらない部分が伝わってきた。
雑学のような気楽さだが、アート自体について理解が深まる本。
主人公はサラリーマン。ビジネス書でもあるだろう。
どんどん主人公は変わっていく。自己啓発書でもある。
メインはどれだか、わからないくらいの間口の広さ。どこを面白く感じるかは、人によって大きく違いそうだ。多くの人に、どこか役立つだろうとも思うし、単純に読み物としても楽しかった本。
私自身は、アートを理解している自信は全くなくても、普段から気楽にアートを楽しんでいる。その他の内容についても、新しい考えを知ったという感じはしない。
それでも。一冊に、これだけいろいろなジャンルの内容が入った、楽しい実用書に出会ったことはあっただろうか、と思う面白さだった。
名言で私が一つ選ぶなら、「永遠に、君であれ」が好きだなと思った。
どんな文脈で出てくるかは、読んだ人が楽しむところだろう。
人は変わる。自分自身も、自分が知っている人も知らない人も、どんどん変化して当然だと私は思っている。
その名言は、単純にずっと今のまま変わらないで、という表面的な意味ではないと思う。深い肯定感のある優しい言葉だと感じた。
あと一つ、読んでいる途中にあったことだけ書いておく。
読んでいたのは「”ひらめき”と”行動”をバランス良く使う」と見出しにあった文章。その章、「カーロに学ぶ『勇気』の法則」での主人公は、サラリーマンではなくアーティストだった。
上手くいかず残念な気分のアーティストへの言葉。
それを読んで、いつかさんが歌う声をさらりと思い出した。先週末の幸せな気分によるエラーがまだ発生するのか、と思ってしまった。
が、的確なタイミングで、適切なポイントを思い出せたのではないか、と驚いた。自画自賛しておくことにする。
この本。
私にとっては、知らないことはたくさんあるものの、目新しい考えという感じではなかった。
が、多彩な内容を気軽に楽しめる本なのは間違いない。読んだ人によっては、セラピーになる場合もあるだろう。
この本を読んだ人に何が起きるのか、楽しみになる本だった。