サバ味噌のサバ抜きという偏愛。滋味会 秋の備忘録。
地味で滋味深い物をしみじみ食べる会。
という少し妙な料理会をたま~に開催してて、それはなんというかライフワークというか、布教に近い。
見た目の派手さにもっていかれがちな昨今に対するアンチテーゼ。とまでは言わんが、食の派手さに執着しすぎない事の大切さをみんなで確認する感じ。
前回の記録はコチラ☟
・概要
僕と友人の野菜マニアの諏訪ちゃんとで数年前から時々やっているイベント
最初はカボチャの煮物の作り方を教える所からスタートした。
10人弱でワンコインの簡単なランチ会から、気づけば30人越えで3000円で二部制でドリンクも充実というしっかりした会になってきた。
といっても、基本的に僕と諏訪ちゃんの友人や知人を中心にお客さんを呼んでいるので、お世話になっている人への感謝祭的な立ち位置でもある。
正直ほぼ儲けは無い。
ただ、その分かなり自由に料理している。
それにお客さんも徐々に玄人になってきているので、攻めた品を作れる。たのしー!!
すわisマイフレンド
この会の中心はかぼちゃと玄米。
それ以外はけっこう自由だけど、ここだけは必須。
あと最初から決めてるのはBGMがスピッツであること。
かぼちゃ、玄米、スピッツ
この三要素で開催されているのが地味滋味会です。
では、一品ずつ忘れないように解説していきましょ~う
・玄米
今回はお通しというか、食べ放題の玄米おにぎり。
福井県 大野の米農家から送って貰った。
久郷さんのコシヒカリは美味いんだ~~
添えたのはアサリと生姜の佃煮
アサリ500gに対して生姜250gという生姜マシマシっぷり。
千切り生姜と小角切りの生姜を合わせて辛く刺激的に旨く。
ドリンク、お通し、玄米、佃煮が同時にだせるの心地いい。
僕らがドタバタしがちなので、オススメの食エッセイ本を何冊か置いておいてみた。良いな。布教。
ちなみに献立はコチラ。
献立もお皿もこだわりすぎない。
容赦せずに紙皿を使う、見栄えじゃないんだ。
・おでんで温まる
鶏のつくねと小玉葱、結び昆布をおでん風に。
早煮昆布で出汁を引くとそのまま具材にできていいよね。
寒い季節、最初は特に熱い物をね。
そこに少し添えたのは自家製の柚子胡椒。
熱いのと辛いので体内から温かく。
・旬菜皿
映えてるじゃん!と言われたが、仕方ないのだ。
映えてしまったのだ。わざとじゃない。
椎茸みちみちシウマイ
名前の通り大量の椎茸を。
生の椎茸、干し椎茸と戻し汁。
噛むほどに美味い。
豚ひき肉だけでなく鶏のひき肉を混ぜることで更に噛み締めて旨い味に。
それに会場が横浜だったので焼売じゃなくてシウマイ。いいですわよね。
タケノコやタマネギも少しいれたが、次はそこも椎茸にするくらい椎茸率高くてよさそう。
六種のキノコの菊花酢
秋らしく。
椎茸、しめじ、舞茸、えのき、平茸、ヒマラヤ茸の六種。
菊花を茹でて土佐酢的な味でね。秋の滋味。
こういう真っ当な和食も大事。
蓮根と人参のローズマリー焼き
茹でた根菜にローズマリーと油と塩を和えてオーブンでじっくり焼く。
ただ焼くだけより、茹でてから焼くのが好き。
中の水分をしっかり残しつつ、表面は香ばしく。
レンコンを下茹でするときに癖で酢をいれそうになって、ハッとした!
これぞ見栄えの為の作業!ここに酸味はいらんし、真っ白にする必要は無いし、皮付きの方が滋味だし!!
そういうコンセプト。
カブの青金柑漬け
間引きの金柑を香りづけにしたカブの漬物
塩と砂糖で良い塩梅に漬けて、仕上げに少しの薄口醬油と青金柑だけ。
カブの美味しさをしっかり味わう為の漬物。
もちろん皮付き。
葉っぱを少し残したのはこの味も好きだから。
ただ、長すぎると食べにくいので残りは炒め物に。
噛み締めるとジュワッと甘いカブの香り。
カウンターで盛り付けるの良い。
少しずつ完成していく光景っていいよね。
・偏愛皿
お次は偏愛の皿を。
タイトルにつけてサバ味噌のサバ抜きもここ。
基本的にどの品も僕の愛する品々なんだけど、その中でも特に偏愛的な品がここ。
まぐろ分葱ぬた
ぬた、この文字が好き。
要は酢味噌和えなんだけど、これが好きなんだ~
今回は和えずにかけるスタイル。
この会場のほど近くにマグロで有名な魚屋があってそこのをね。
茹でた分葱を敷きマグロ、そして辛子酢味噌。日本酒の友!
厚切りかぼちゃの天ぷら
この会の最初はカボチャと玄米なのでね。
今回は揚げ物をする予定だったし、かぼちゃを天ぷらに。
といってもただの天ぷらではなく、煮物くらいの厚さに切ってじっっくり揚げた。20~30分くらい。
サツマイモでやることはたまにあるけど、焼き芋とかと同じようにゆっくり火をいれることで甘くネットリするんです。
何人かにも、これって煮てから揚げてるのって?聞かれたけど、生をじっくり揚げてます。地味だね~~!
そして今回どうしてもやりたかった揚げ物、がんもどき。
何年前だろう、お弁当屋さんをやってた頃に編み出したレシピ。
その頃の僕は弁当の度に新作のおから料理をいれるという狂った縛りをしてて(ドMすぎる)それで生まれた。
豆腐をしっかり水切りして作るがんもどき、おからを混ぜれば水切りしないでいいんじゃね?という安直ながら盲点な作り方。
結局はおからパウダーが気楽でいいとなったが、このレシピは自慢。
今回は具材を素朴にむかごと銀杏だけ。
秋だねえ~
揚げたてのがんもどきの美味しさを皆さんに楽しんで貰えたであろうか?
サバ味噌のサバ抜き。
これにはしっかり時間をかけて説明しないといけないだろう。
サバの味噌煮、好きですよね?
僕も好きです。大好きです。
でもね、二十歳を過ぎた頃、僕は気づいてしまったんです。
サバじゃない部分が特に好きだってことに。
僕のnoteを読んでいる方なら知ってるかもだけど、僕は生姜が好きだ。
好きな野菜として好きだ。
中学生の頃に好きすぎて部屋で干していつもポッケに忍ばせてたくらい好きだ。
なのでサバ味噌には大量の生姜をいれる。それは分かる。
が、それだけじゃなくて一緒に炊くゴボウやレンコン、昆布なんかも好きだ。
というかそれが食べたくてサバの味噌煮を作っている節がある。
でもそれをお客さんにだせる場所なんてない。
この偏愛を受け入れてくれる人はそう多くない。
が、今回はついにその期が熟したな。
いや、分からんけど許されそうだな。と思ってやってみた。
ゴボウと生姜はしっかり下茹でして、サバ節で出汁を引いて炊く。
茶色の砂糖と日本酒を多めにいれて甘く炊き、ある程度に詰まったら味噌。
しっかり時間をかけ味を含めていく。
自分で言うのもあれだけど、立派なサバ味噌のサバ抜きである。
サバ味噌を炊いてる時の香りがするし、味もそう!美味い。
あの部分だけをしっかりと一品に仕立てれた!
そしてお客さんもそれなりに喜んでくれた!気がする。嬉しいね~
ps.サバ味噌のサバ抜きは弁当の端っこに入ってて欲しい品として佃煮やきんぴらと張れる!!
・懐古皿
皿の名前は品を決めてから考えたので取ってつけたようだが、これらは時間に関する一皿。
さっきも話したカブの葉っぱは炒め物に。
牛肉と甘辛く。
地味で滋味を象徴する品が菜っ葉だと思う。
醤油と砂糖とみりん。
幼い頃、僕の苦手だった数少ない品がコレ。
ただ、気づけば食べれるようになり、いつからか好物になっていた。
そういう時の流れを感じる品。
柿に酒粕バター
柿と酒粕って合うんです!!これは間違えない。
そして、今回は3種の酒粕を使いました。
真っ白で爽やかな新酒の酒粕、粒状の発芽玄米酒粕、常温で半年以上熟成させた茶色の酒粕。
前記二種はバターに混ぜ、茶色のは端っこにアクセントとして。
熟成酒粕は奈良漬け的な味。
この味を作るまで半年以上かかった、そういう時間の品。
なかなか面白いし、お客さんも気に入ってくれて嬉しい。
バター8に酒粕を各1ずつくらい。
出汁巻き玉子
これは僕が人生で一番多く時間をかけた料理かもしれない。
高校生の頃、毎日自分の弁当を作っていた。
あの頃にはほぼ毎回卵を焼いた。
板前になって朝食を作っていた頃は毎朝数十個の卵を焼いてた。
そして弁当屋でも毎回作ってたし、家でもかなりの頻度で作るし、寿司を教える過程でも作ってた。
数えれないけど、1万個を超える数の卵を四角い出汁の効いた物にしているとは思う。
今回はお客さんの前でひたすら巻いた。
卵は5個に150cc程度。
味付けは薄口醬油だけ。
巻き始めるとお客さんが見にきてプレッシャー。
だけど楽しかったなぁ~
・デザート
は、諏訪ちゃん担当。ほぼすべてを任せた!
餡子、林檎煮、キャラメルラスク、焼き芋、くるみ、紅芋クリーム、黒豆。
だったかな?
お店にあったシャンパングラスが可愛らしくてね!
色合いはかなりシックだけど、ちょっと映えすぎてるかもしれない。
美味しかったなぁ~
二杯食べた!
地味系の色合いのパフェってのも良いな。好きだ!
・ドリンク
今回はエデン横浜というイベントバーで開催。
ドリンクは基本的にここの物を使ったのだけど、少しは我を出したくてね。
・小田原柑橘ジンソーダ
その数日前に親戚の畑に行って間引きした柑橘をソーダに。
青レモン、湘南ゴールド、桜島小みかん、の三種を少しずつ。
こういうのいいよねえ~
みんないい反応してたな~
間引きのみかんってのはみかんとしては未完だけど、スダチとかカボス的に使うのに向いてるんです。
種類によって味がかなり違うし面白いんです。
ポン酢とかにするのも良いし、もっと売っても良いと思うんだよね~
もちろん日本酒も。
ここはバーなので日本酒はほぼ無いけど、料理的には必須だよね~
途中で売り切れたのすみません、次はもっと多めの日本酒を仕入れます。すまねえ。。
あとは
自分で摘んだ日本茶、そしてそれを自分で焙煎した深煎りほうじ茶。
あとは特製のコーヒー酒。デザートに合わせてね。
・反省、感想
って感じで、ザックリおさらい、備忘録、次にやるときに見返す物はできたでしょう。
今回の反省は
揚げ物に時間がかかりすぎて、偏愛皿を出すまで時間がかかった。
お客さん同士での交流が少なかった。
玄米が想像以上に出て品切れしてしまった。
日本酒が品切れした。
まだ色々あるけど、とりあえずこんな感じかな。
最大のミスは、イベントのスタート時間等を伝える表現が曖昧だったこと。
12時~15時としか言わんと、その間のどこでもOKって伝わっちゃうんだな!大反省。
良い事も多かったよ。
エデン横浜というイベントバーの常連さんが来てくれ新しい感覚だった。
お客さん同士で合わせたい人を引き合わせれた。
盛り付け、揚げ物、出汁巻きを目の前でやれるのは楽しい!
かなり偏愛な品をだせた!
忙しかったが、それなりに喋る時間は確保できた。
お気に入りの食材を楽しんで貰えた。
推しの食エッセイを置いとくの良いアイデア。
まぁ書くといくらでもでそうなんでここらで。
来てくれた皆様、連絡くれた皆様、スタッフの皆様、ありがとうございました~!!
またやるよ!!
・リンク集!!
たーんとあるリンクをまとめて!
話題の一つ一つにつけるのはなんだか可愛くないのでね。
最近の文章はまだしも、3年前の文とかは読んでて恥ずかしいけど一応載せます。あ~~稚拙な文(ってこれも数年後にはそう思うんだろうな~)
おでん話
鶏団子、鶏つくねに関してのnoteはいくつもある。
柚子胡椒に関してはコチラで。
シウマイ、好きなんだ。
僕のnoteで一番人気の記事が玄米の話らしい。
このレシピはちょっと秘密にしてたいけど、おからの消費量が増えるなら!と公開した。
いつぞやに料理人の集まりで出した酒のアテなんだよね~
気付けば菜っ葉が好きになってた話。ラブい。
かなり昔のnoteだけど、いまだに読み返して感心する。
玉子焼きへの解像度が高いと自分でも思う。うむ。
・おわりに
さて、やっと書けた。
長くなってしまった。ので〆はさっくり。
いい会でした!ありがとう!
またやるよ~~またね~~
BGMに合わせてスピッツをのせようかと思ったが、noteでスピッツを載せすぎたので草野マサムネと秦基博のコラボ曲を。
全てが可愛すぎる!!
それはそうと、このnoteはリンゴといっても椎名の林檎さんのライブの直後に書きあげました🍎
あぁ過去の素晴らしき音楽を聴けるのも、新しく生まれる音楽も楽しめるの良い時代だ!!
おわり。