クエの全てを食べ尽くす”頭料理”とクエ料理の数々。
3年前にはじめてクエを1匹買って作った頭料理。
あの時は3.5キロのクエだった。それで書いたのがこの記事、
頭料理で検索するとかなり上位に出てくる(ウィキと農水省の次にでてくるのウケる)
とっても嬉しい事だが、頭料理デビューの拙い備忘録なのが気になっていた。
あれから3年、クエを買い頭料理を回を重ねるごとにサイズが大きくなり今回はついに15キロのクエ(初回の4倍以上!)
そうすると内臓類もデカくなるし、部位も切り分けやすいし食べ比べやすい
あと、今回はタイミングも絶妙で鮮度抜群だったので内臓類が綺麗に食べれたので書きます。少し長いかもだけど丁寧に書きます。
頭料理が気になった人に届くように。
・15キロのクエを解体!
まず、サイズがでっっかい!!
腰にくる重さ。腰椎がミシミシ鳴る。
これを海中で銛突きで仕留めた漁師さんへ改めて敬意を。
洗うのも一苦労なので、ある程度バラしてから洗ったり拭いたりする。
このサイズだと骨もごっついのでデカい出刃包丁にトンカチで頭を落とす。
料理とは思えない作業風景。
軟骨の部分に上手く刃を刺し込めても固い。
頭、とれました。良い顔でしょう?
クエは皮が分厚いうえにデカいのですき引きが楽。
蛇みたいなサイズのウロコ付き皮がペリペリ剥がれる。
ここまでいったら洗う作業にはいる。
血合いを取るのもタワシとかササラでやる。
で、しっかり綺麗に拭いたら捌く。
こっからは水になるたけつけない事!
綺麗な骨~!
腹骨を切るの固すぎて大変なので、この日はよく切れるハサミでバキバキと。安全第一。
・頭料理は地道で地味
さて、こっからは内臓類の話です。
頭からエラを外し、内臓類を外し、仕分けていく。腑分け。
このハサミが優秀すぎるんじゃ。
で、こんな感じ。
内臓類は傷みやすいので手早く、そしてなるたけ低温でやるのです。
幽門垂ってのは胃と腸の間の部位で、消化酵素をだす器官らしい。
酒盗や塩辛にはいってる部位といわれ納得、コレがはいるおかげで内臓類の分解や熟成が進むんだな~
ただ、クエのに関してはほぼ内臓脂肪な上に生臭いので使い方には要注意。
くえ鍋の〆のおじやに少し混ぜ込んだのがけっこう臭かったけど、
小籠包に混ぜ込んだのは素晴らしく良い仕事をしてた。
生姜を効かせたのもあるけど、臭い食材は皮で包むと美味しくなる説(鯉で実証)がますます信頼できる。
いつかの鯉記録。
腑分け
で、大事なのが内臓。
左のデカいのは胃袋。ひっくり返してあります。
内臓類は基本的によく洗って、たわしでこそいで、塩で粘膜や粘液を剥がす。
一応解説。
腸はそのまま使うと臭いので切って開いて洗うのが定番だが、細いホースで中をギュンっと洗うのもアリ。
浮袋の隣の細長い身、これが卵巣?この時点で気づけなかった。
食道はエラと胃の間。こりこりモチモチ。
皮に身がついてしまったら皮身って呼んでる。
膜類は浮袋、カマの裏、頬の裏、腹身の裏などいくつもの場所でとれるけど、そんなに味に違いは無いので一緒くたにして良いと思う。
頭料理は基本的に茹で。
塩と酒を少し加えた湯でゆでる。
厚みと固さによって茹で時間、茹で具合は変える。
皮や膜やエラはサッと茹で、舌や唇は2分程度、心臓や脾臓は湯にいれたら火を消してじっくり数分、みたいにね。
適切な状態にもっていく。
茹でたとは冷水に落として〆る。
舌は茹でると骨がスッと抜けるので、大ぶりで骨付きで茹でるべし!!
舌、過去一美味しい部位でした。できるだけ大きく食べよう!!
カマ下というかアゴ元というか、あのあたりのごついコラーゲン部位。
ブルブルで中に少し身がはいってるアレです。美味いよね。
ちなみにエラは頭から外したら水に晒し、骨部分から切り離す。
このエラを剥がす作業がめっちゃ得意になりました。
小さな柳刃包丁で手早くツルツルと剥がします。
写真ではまだ血抜きが甘い。
何度も水を変えて色がでなくなるまで。
各部位ごとに切ったり、ちぎったりする。
この日は肝をペーストにしてチューブにした。
好きなポン酢や醤油と混ぜてつかうの良かった。
が、クエの肝はけっこう癖が強いんで、佃煮とかが適してると思う。
やった事無いけど、レバーペーストとかもよさそう。
・盛り付け
綺麗に盛り付けるのもいいけど、今回は手巻きスタイルだったので薬味や彩りは別添え。
分かるように盛り付ける。
奥に見える赤大根と大葉、それと海苔で巻いて食べる。
味付けは、醤油、ポン酢、酢味噌、針生姜、大根おろし、ゆうこう、ネギ、柚子胡椒、かぼす胡椒、梅ニンニク、など。
部位も味付けもトッピングも多種多様、楽しいぜよ。
本来はポン酢とか三杯酢、紅葉おろしが定番らしい。
もちろんそれも大好きだけど、クエ会に慣れてきた人らはちょっとずつ遊ぶのだ。
・部位ごと味や特徴
・茹でて美味しい部位TOP5!
・面白い、使い方次第で化ける部位!
まぁ、完全なる独断と偏見の分け方です。
使い方次第ですな。
エラは上手いことやればフカヒレみたいにできないかなぁ~と思っている。
・茹でる以外の内臓の使い方いくつか
・煮凝り
定番ですね、皮や唇、浮袋なんかが定番。
しばらく煮てコラーゲンを溶かし、味付けて冷やし固める。
甘辛でも塩でもポン酢でも美味い。
千切り生姜とか刻みネギを合わせるのもいいよね。
・佃煮
これも定番ですね。
肝臓、心臓、エラ、食道あたりはよさそう。
甘辛く、生姜を効かせよう。
・味噌漬け/粕漬け
今回はじめてやってみた!
カマ下の皮身と胃袋をね、茹でてから味噌と酒粕で漬け込んで炙って食べた!これ、絶品だった!!
肝臓とか心臓以外は合うと思う!
・頭料理について
とりあえずこんな感じでいかがでしょう。
こんな文章でもどこかで誰かの役に立つかもしれないしね。
少なくとも前回のnoteよりは詳しいと思うし、クエの内臓への理解が進んでいると思う。
ま、またいつか新たに更新する日がくるでしょう。
それと、こんな偉そうなことを書いていながら、まだ頭料理の本場、大分の竹田に行ったことないので行きたい。
行って本場のを食べたいんじゃ。
大人数で、鮮度の良いクエが入ってれば、じゃないと食べれないというハードルがあるので気楽じゃないけど、行きたい!!何卒!!
・クエ会の様子。
で、こっからはおまけ?にしては長いけど、クエ会の備忘録です。
クエを1匹で買う人には参考になると思う。
毎回、何人かで手分けして楽しんで料理をしています。
では、食べた順番にどうぞ。
お刺身
最初は生で醤油でいきたいもんでしょ?
フグみたいに菊盛りしてた時期もあるけど、最近は専ら一人一山にしている。
分かりやすいし、確実に数か所の部位を楽しんで貰えるからね。
この日は頬身と背身。
柔らかく淡白な頬身、それよりは少し歯応えと脂のある背身。
前回は背身と腹身でやったな。
どちらにせよ、脂や歯応えの強いのを奥に、サッパリ淡白なのを手前にすると味が分かりやすい。
ウロコの唐揚げ
これは最初の最初から定番。
すき引きしたウロコつきの皮をサクッと唐揚げに。
すき引きしたのをサッと洗って塩と酒、少しの片栗粉をまぶしてサクッと揚げる。
コレ、最高最強のスナックです。
ウロコのサクサクした軽さと皮のモチモチした旨味が良い。
あと、揚げたてじゃなくてもずっとサクサクなので、揚げ置きできるのも良い。
くえロンポウ
最近は一品遊びをいれるようにしている。
クエという最高級の白身でやるとどれほど美味くなるのか気になってね。
この日は小籠包。
ゼラチン質を使う中華の代表格。
色んな切れ端やこそいだ身と幽門垂を叩き刻んでミンチに。
唇と皮を塩と酒で煮込んでゼリーに。
ひき肉と合わせて小籠包に。
副材料としてみじん切りの生姜、みりん、醤油を少し。
幽門垂は臭みがあるからと怖かったが、小麦粉の皮で包むと臭みが気にならなく謎の減少通りスッキリめちゃ美味かった!!
一口くえ鍋です。
頭料理
これは解説済み。
噛み応えがあるので、満腹感が凄い。
食べるのに時間かかる、酒のアテとして素晴らしい。
レアミート
写真が無いけど、レアミート。
頬身、かま肉、腹ぼの柑橘〆、の三種を食べ比べ。
薬味も残ってたし、せっかく綺麗に部位を分けれたんでね。
腹骨をすいたあとの所についてる脂の強烈な部位を腹ぼと読んでいる。
塩して柑橘か酢で〆るとめっちゃ美味い。ギュンっと旨味。
こうやって名札をつけるの良かったんで皆様オススメです。
セビーチェ
コレは主催者の諸田さんがペルー料理の人なのでね。定番。
セビーチェはけっこう食べてきたけど、魚の種類にこだわるのが多くないんで、こうも質の良い魚でやるとこんなに美味いのか!と毎回驚く。
あと、普通に柑橘とクエは相性が抜群なのでそりゃ美味い。
ラープ&モック
この日は僕の友人のさとうさんを呼んでラオス料理を作ってもらった。
彼の料理については☟で。
ラープ、モックどちらも圧倒的に美味かった。
もちろんカオニャオも!
特にモック!!
身以外にもゼラ質のある皮や膜、エラも入ってて、それが凄く綺麗にまとまっていた。
あぁ美味しかったなぁ。
これまで食べたモックは、タラ→タイ→クエ。
そりゃあどんどん美味しくなるわ!
また食べたいな~
・ホップステップ
割愛するのも考えたけど面白いので書き残す。
生のホップをたくさん差し入れ?してくれたので、料理好き有志三人で料理対決をした。
ホップ、難しい食材だったなぁ~~
ホップとくえ骨髄の春巻き
王道でしょう。揚げることで苦味をまろやかに。
骨髄のクリーミーさも合ってた。
ふきのとうの天ぷら的の華やかバージョン?的な鮮やかな苦味。
ホップ酒粕バターのどら焼き
僕の1品
申し訳ないけど、生地は市販品。時間なくて、、
でもバランスは良かった。
有塩バターに発芽玄米粒酒粕と刻んだ生ホップを合わせた。
ホップバターがかなり苦く、攻めすぎた?と思ったが、生地に粒あんと一緒に挟んだら良い塩梅になった。ヨシ!
ホップのリゾット
出汁はくえとハーブゆで汁。
乳製品の感じと米の甘さと合わせることで、苦味を抑えつつ香りは活かせる。
米の炊き具合が固めなので、しっかり噛む必要があり、それが良い!
苦さが先にくるが、噛んでいくうちに米の甘さで覆われる、あの塩梅好きだなぁ。
くえ寿司
さて、クエ料理も終盤。
ここでもう一度僕のターン。
お寿司です。
刺身では淡白な箇所を楽しんで貰ったけど、ここでは濃厚な腹身で。
シャリは2割くらい赤酢をまぜた優しいが芯のある味。
一般的な白身よりも旨味が強いので、少し赤酢をまぜるくらいがいいね。
この後、特に脂の強い部分だけ炙りました。
なんという強烈さ。
九州の甘い醤油がめちゃめちゃ合ったなぁ~
くえ鍋
〆はやっぱし鍋よね
くえの骨と頭とアラでクツクツと煮込む。
というか沸騰した所にいれて再沸騰しただけでかなり美味い。
しっかり引くとかなり美味すぎる出汁が引ける。
具は定番の豆腐白菜椎茸など。
クエを皮付きで厚切りで。
鍋のクエってのは、ビックリするほど煮崩れない!
ぽろぽろしないし、モチっとする。
こんなに鍋に美味い魚はそうそういないと思う。
もちろん、鍋の〆は雑炊。
少しだけ酒を混ぜた玉子で綴じてあげるとフワッと香る。
コレ、美味しいんだぁ~
毎回〆のおじやでクエ身や皮をどっさりいれて贅沢する。
最高です。
ポン酢を垂らすのもいいよね。
って感じ!
これで一応終わりかな。大満足大満腹。
・クエひれ酒の記録🍶
おまけのおまけ、くえのヒレでヒレ酒はできるのか?
という呑兵衛の願望を叶えてみたので、記録します。
先に言います、やるべき!!
ひれ、ごっっっついです。
ごっつ過ぎて付け根あたりは肉も脂も凄いので、使えなそう。
ひれはよく洗って、塩で粘膜をこそげて、ブラシでこそげて、、
で、開く。
けっきょく、ヒレ先の数センチを切り取る形でやった。
が、もう少し大きくていい。
写真のは大きくて5cm程度だが、8~10cmあっていい。
干して焼くとかなり縮むのでね。
で、開く。
ひれの上下?左右?で開けます。包丁と仲良くしよう。
で、しっかり洗ったら水気を拭く。
キッチンペーパーでも新聞紙でも良い。
干し上がりでこのくらいサイズが欲しかったので、ちょっと計算違いだったかな。
で、本来は陰干しで1週間とか。
だけど、時間がなくてオーブンで110℃で30分+余熱でやりました。
このくらい反り返る。
写真左側のは網で焼いたヒレです。
ヒレ先すぎて薄いと丸まっちまうので、もう少し厚みのあるデカいサイズでやった方がよかったかなぁ。。
とか思ってた、熱々の飛び切り燗にした日本酒にヒレをいれて呑んでみたさ。
うっっっま!!
なんこれ!?!?
ヤバい、旨味凄い。
こんなにヒレ薄いのに??
臭みもいないし。
これで事業を起こしたいくらい美味い。
クエを食べてたのもあるかもだけど、フグのヒレ酒と張れる美味さ。
コレはクエの質が抜群なのもあるだろうがそれにしても美味い。
ま、とりあえず超オススメです!
次にクエを買ったらもっとガチでヒレ酒をこさえよう。
1匹で何枚とれるかなぁ~~
・おわりに
長くなった。
また長い文章を書いてしまった(斬鉄剣??)
けど、クエの内臓料理に悩む人で、ここまでたどり着いてくれた人はきっと読んでくれるであろう。
魚の内臓類って家畜に比べて捨てられてばかりだけど、意外と面白いのよ。
まぁ確かに鮮度や特殊な技術や知識が無いと難しいのはそうだけど、あん肝や鱈の白子、いくら、カツオの心臓、そういうのは食べる文化あるでしょう?
それのさ、各国、各地域で探せば相当な物になると思うんだ。
ほら、クエの頭料理だって大分の一部だけだしさ。
ただ、何度も言うけど、内臓類は特に鮮度や衛生、毒にきをつけてね。
シガテラとかも怖いからさ。
とりあえずこうやって内臓料理に興味をもってくれただけでも嬉しい。
これがきっかけで食品ロス関連の活動をしはじめた料理人は心からそう思います。
・おまけのおまけのおまけ:過去のクエ料理を少し。
骨付きのクエ唐揚げ。
骨付きは縮みにくいし旨味濃い。漁師さんのイチオシ。
クエと肝味噌の海苔巻き
これ日本酒が進んだなぁ~
くえパッチョ
イタリア料理人を呼んだ会で。
炙ったクエと柑橘と綺麗なソース、たまらなかった!
アクアパッツァ
これもイタリアン、美味すぎた!!
人生最高のアクアパッツァと言っても過言じゃない。
上品さとコラーゲンと旨味を併せ持ったカマ肉すげえわ。
フィレオフィッシュ。
過去一のおバカな料理。
クエでやったらどこまで美味くなるのか、料理人が真剣に馬鹿したのよかった。面白い。
今後はなにができるかな。お楽しみに。
今度こそおしまい。
最近のマイブーム。
元気が出るね。