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63.素敵な言葉に出会う日々

日頃、エッセイを書いていても、詩を考えていても、必ず直面すること。
もっと使える言葉を増やしたい。私は、語彙力が貧弱なのだ。読書の習慣が身についたのは、ほんの三年前から。ボキャブラリーを養うには、日々、多くの言葉や言い回しに出会うこと、だと思っている。それを活かすには、出会った言葉をちゃんと保管しておかなければならない。記録していたりしていなかったり、そんな自分の曖昧さ故に、何かを書いたり考える時には、頭をぐにゃぐにゃと揉みほぐし、ひぃひぃ言いながら適切な言葉を探すのだ。

・永遠の憧れ、私の文芸の師

スピッツのボーカルである草野マサムネ氏が作詞の際に心掛けている、「言葉のピースをストックしておく」というテーマについて、以前記事を書いた。

(勝手に)私の文芸の師、草野マサムネ氏が紡ぐ詩は繊細で独創的で……、語っていると話が逸れそうなので割愛。以前、スピッツと同番組で共演していた、あいみょんちゃんも「この世の中の日本人の誰よりも、本来の日本語の使い方を知ってるんじゃないかなと思いますね」と語っていた通り、草野マサムネ氏は卓越した表現力の持ち主なのだ。

・一行から広がる物語、スピッツ文学

スピッツが生み出してきた曲は、およそ300曲以上。私は18年間ずっと、生活の一部としてスピッツを聴き続けてきたので、空気、水、食事、スピッツ、大袈裟ではなく、本当にそう思っている。心がぐさぐさに荒んでいる時、なんだか気分がいい時、人生の節目節目、スピッツの曲に何度も救われ、彩られてきたようなもの。そして最近、自分がこのように文章を書く一人になり、作詞家としての草野マサムネ氏にもっともっと学びたいものがあり、色濃く世界観のニュアンスを感じたい、と思った。何度も何度も聴いた曲、改めて歌詞カードと向き合う。ひたすら歌詞を読み込み、「おぉ!」と、特に心惹かれた歌詞を書き出してみた。

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一曲通してこそ成り立つ曲、なのだけど、「一行だけ書き出す」という行いによって、文芸に通じるものを感じた。たった一行で、物語の情景が浮かんでくる作品になっている。膨大な歌詞を書き出した中の厳選した一部をご紹介。※あくまで個人的なワンポイントを添えて

キツネみたい 君の目は強くて
彼方の記憶さえ楽しそうにつき刺してた
1993年 夏が終わる

キツネのような凛として強い眼差しの女性。未来に臆さない強さ、だけど隠し持った心の脆さを想像してしまう歌詞。

恋は迷わずに飲む不幸の薬
恋はささやかな悪魔への祈り
1994年 恋は夕暮れ

恋をすると正常な判断が難しくなることがある。不幸の薬でさえも正しいと飲んでしまうし、神や仏ではなく悪魔に心を委ねてしまうこともある。

貝の中に閉じこもることに命がけ
そんな日々が割れてまぶしかった次の頁
2007年 不思議

固い殻がばりばりに割れて、その隙間から光が差してくるような勢いを感じる歌詞。これから何かが起きるような予感が漂っている。

助けがほしいような怖い夢のあとで
呼吸整えて記憶をたどった 君の笑顔まで
2013年 スワン

真夜中、怖い夢をみて起きた時、孤独の中に一人取り残されたような感覚になる。怖い夢を忘れたくて思い出したのは、「君の笑顔」という答え。

しょってきた劣等感 その使い方間違えんな
2016年 ブチ

いつも私の背中をぽん、と押してくれる歌詞。今まで感じてきた劣等感、せっかくなので間違えず、昇華させたいと思う。

・言葉探しの日々は続く

今まで聴いていた曲の歌詞を書いてみる、そうすることで今までとは異なった視点からその詩に触れることができたし、ぶわっと想像力が膨らむ感じがした。スピッツの曲は、聴き手に委ねられたストーリー。草野マサムネ氏が曲について詳細な解説をしないという点に、やはり美学を感じるし、だからこそ自身の経験と重ね合わせてみたり、新たに物語を膨らませることだってできる。曲の主人公はどのような心境だろう、どんな表情をしていて、これからどう行動を起こすのだろう、なんだか小説を読んでいる時の気持ちと似ている。

私にとって入り込みやすい方法を考えた結果、大好きなスピッツを通して言葉を探す。いつも聴いている曲の知らなかった一面を垣間見れたようで、始終ワクワクして楽しかった。スピッツに限らず、読書、商品のコピー、記事、ラジオ、他にも生活に溢れているたくさんの言葉にもっと出会いたい。

おわり

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