見出し画像

会社を辞めてほしくないなら、引きとめるな/しくじりマネジメント

こんにちは。読んでいただき、ありがとうございます。
 
メンバーからの急な「もう辞めたいです・・・」。
管理職を担う人はもちろん、後輩から相談を受けた経験がある人も多いと思います。

僕が初めてメンバーの退職を経験したのは、まだ管理職になったばかりの頃でした。

退職したいと相談された当時は、
「絶対に辞めない方がいい。うちの会社にいたほうが成長できる!」と思いましたが、留めることはできませんでした。
自分の無力さに打ちひしがれ、悲しくて仕方ありませんでした。

決して辞めること(転職すること)が悪いわけではないですが、
転職して更なるキャリアアップにつながることは非常に少ないですし、
当然、組織にとって痛手ですよね。

前段が長くなりましたが、メンバーから「辞めたい」と相談を受けた時に、
どんなスタンスで、どんな会話をすると良いのか?
僕の経験・学んできたことを共有したいと思います。


辞めたいと言われた時の基本的なスタンス

辞めたいと言われた時、真っ先に「やばい、引き止めなきゃ!」と思ってしまっていませんか?気持ちはわかるのですが、これがファーストリアクションになってはNGです。

何よりもまず、そのメンバーのキャリアを真剣に考えてください。
メンバーの家族になった気持ちで考えるのが、個人的なコツです。

家族なら、給与や条件がいい会社で働いてほしい…ということはもちろん、
やっぱり楽しくやりがいを持って働いてほしいですよね?
今現在のことだけではなく将来も含めて、考えますよね?

以前の僕は「辞められると、会社にとってマイナスだ!」という考えが前面に出た結果、
「今、辞めるのは絶対にもったいないよ」
「その会社に行くより、今の会社にいたままの方が良いと思うよ」
「辞めてどうするの?」 ← (辞めても良いことなんかないだろ、と言わんばかりの否定的な気持ちで)
こんな言葉で引き止めようとしていました。

気持ちが退職することに傾いているメンバーにその気持ちを押し出すと心を閉ざされてしまいますね。メンバーからすると、自分が一生懸命考えていることを否定されているような気持ちになってしまいます。
そうしてメンバーは、「はい、そうですね…。そうかもしれませんね…」で終わってしまい、話をこれ以上続けることをやめてしまいます。


家族の一員として考えれば、
「何かやりたいこととか、実現したいことがあるの?」
「どんなキャリアを積み上げていきたい、と考えているの?」
「これからのビジネス人生でどんなことを大事にしたいの?」
こんな投げかけに変わるのではないでしょうか?

今辞められると困るなぁ・・・という気持ちをぐっと抑えて、その人の家族になったつもりで、「今辞めることがそのメンバーの人生にとって最適なのか」考えてみましょう。


多重人格になろう

「家族の一員として考える」という基本スタンスと並んで、もう1つ大事な観点があります。
それは「人格を分ける」ということです。

どういうことか、実際に僕の会社で起きたエピソードで説明します。

あるメンバーから退職相談があり、そのメンバーの上司は「確かに、外の世界を経験してみるのもいいかもね。これまでにない視点を持てると思うよ」と伝えました。

そのメンバーは非常に優秀で、会社にとっても上司としても、絶対に辞めてほしくないメンバーの1人でした。
それでも上司は「家族の一員として考える」スタンスを実践。
「彼にとって会社が全てじゃない。転職が視界を広げるいい機会になる」という考えに行き着き、その気持ちを伝えました。
苦渋の決断だったと思います。

しかし、それを言われたメンバーが感じたのは、
「自分はこの会社に必要とされていない」
でした。

引き止められなかったことで「この上司は、自分がいてもいなくてもどちらでもよいと思っている」と感じたようです。

「人格を分ける」の意味、なんとなく予想はつきましたか?

上司としての「辞められたら困るから、会社に残ってもらいたい。君が必要だ」という気持ち。
先輩として、あるいは友人として「君の人生にとって何が最適なのか、一緒に考えたい」という気持ち。

この両方を、明確に切り分けて伝える、ということです。
相手にどの人格で話をしているのか、はっきりと伝え、本音で会話しましょう。


継続的に会話する

1回目の相談がいい感じに終わると、そこで会話をやめてしまう人が多い気がします。その場がうまくいって安心してしまうのか、聞くことが面倒なのか、聞くことが怖いのか、忘れてしまっているのか・・・。
これは、すごくもったいない。

転職しようという本気の悩みが、たった1回の相談の場で解消されることはないでしょう。他の人に相談したり、仕事環境が変わったりすることで、考えも変わっていくはずです。

「また、話そうよ」 「また、状況教えてよ」 「また、相談に乗るよ」
1回目の相談で、こんな言葉をかけている人もいるかもしれません。
でも…「また」って、いつですか??

メンバーから「また」声をかけてくれることは絶対にない…とまでは言いませんが、ほぼありません。
自分から、声をかけないといけないのです。

本気でそのメンバーのことを考えるなら、引き止めたいと思っているなら、
少しくらい、面倒に思われたとしても、声をかけて、一緒に考える状況を作りましょう。


いかがでしたか?
メンバーの退職は組織にとっては相当な痛手ですし、メンバーにとっては人生にかかわる大きな決断です。ぜひ、メンバー個人にとっても組織にとっても、最高の決断になるためのヒントになれば、幸いです。


終わりに

「こういうテーマで書いてほしい」というものがあれば、ぜひコメントください。
全く正解とかではありませんが、僕なりの考えを共有したいと思いますので、意見交換できると嬉しいです。
今回の記事に関して参考になれば、ぜひ「スキ」をいただけると励みになりますmm

いいなと思ったら応援しよう!

仮谷泰祐|働くを愉しく
応援いただけると、非常に嬉しいです。 全力でいい記事を書きたいと思います。 よろしくお願いします。

この記事が参加している募集