キャリアを後退させるな/マネアカ⑫
新年度を迎え、マネジャーや管理職の皆様は部下の新たな目標設定をする方が多いと思います。
たかが目標設定、されど目標設定。
いや違います。
目標設定とはメンバーの成長角度。モチベーションのあり方。組織としての成果。全てに繋がる極めて重要な管理職の仕事です。
それほど目標設定とはマネジャーの重要な仕事です。僕自身、この目標設定において、たくさんの失敗を経験しました。(よければ、部下の目標設定における失敗談をこちらにまとめています)
今日、お伝えしたいのは目標設定と言う場面でメンバーの「キャリアを後退させてはならない」ということです。
当たり前のように聞こえるかと思いますが、具体的にはどういうことなのか、ご説明したいと思います。
目標設定とは機会を与えること
メンバーの多くは自分の給料を上げるため、自分の力を今以上に発揮するため、どうすれば昇給できるか、昇進できるか。様々なことを考え、悩んでいるメンバーは多くいます。
ただし、上司からすると、メンバーが昇給できなかったり、上にあがれないということは何らか発揮能力が足りない。といった理由があるのだと思います(完全、年功序列の企業を除く)
例えば、
・協働が不得手で相手の立場にたった考えができていない
・企画力が足りてなくて、細部の見落としが多い
・メンバーを理解し、動かす力が足りない
等のような何かしらの課題(理由)があるのだと思います。
では、キャリアを後退させないというのは、どういうことなのか、ケース例を用いて考えてみたいと思います。
あるメンバーはグレードが上がらなくて悩んでいます。その理由としては「社内の協働者の立場にたち、相手の気持ちを汲み取り、動かす力が足りないこと」が指摘されている状況です。
そんな中、新年度から新たに与えられた仕事は、あるクライアントの引継ぎでした。そのクライアントは前任営業のミスにより、クレームになっている顧客です。上司からは「前任が取り組んでいた企画を引き継いで欲しい。半年前から取り組んでいるプロジェクトになるが、多方面からクレームが生じてしまっている。君の経験を生かして、顧客にご理解いただけるように説明し、クライアントとの関係性を復活させてもらいたい。
そんなミッションを与えられたとしたら、いかがでしょうか。
そのメンバーからすると、その目標をクリアできても「当たり前」と思われるだけです。元々、その力があるだろうと思って、任されているだけなので、次のステージに上がる力を身に着けているという証明にはなりません。
しかし、目標をクリアできないと「君でもダメだったのか・・・。」と捉えられてしまいます。厳しい状況を打破することを任されるくらいですから、その結果がマイナスにはならないかもしれませんが、当然ながらプラスになることはありません。
つまり、メンバーからするとハイリスク・ノーリターンです。
もちろん、何でもかんでもグレードを上げるためとか、次のステージに上るためのテスト的に仕事を任せるわけではありません。ただ、メンバーによっては次のステージのための期待を込めた目標を設定しなければ、便利使いされているだけと捉えられても仕方ないのです。
特に次のグレードに上がれないことを悩んでいるメンバーなら尚更です。
チャレンジのできない目標設定が続けば・・・
次のステージに向けたチャンスや機会はない。
でも仕事の難易度は高い。
その仕事をやりきっても見返りはない。
しかも、失敗すれば減点になる(とメンバーは思ってしまう)
文句を言わずやっても、昇進・昇格は全然できない。
冷静に読むと、そんなひどい状況、なかなかないだろ!と思うかもしれませんが、これ結構、実際にあると思います。少なくとも僕は何度も見たことがあるし、何度も聞いたことがあります。
会社に良いように使われているだけだ。
会社に大事にされていない。
もっと自分を生かせる職場・会社があるのではないか。
そう思って、退職する決断に至ってしまっても、おかしくありません。
僕の経験上、体の不調、人間関係不全、仕事についていけない。といった理由を除く前向きな転職と言われるものの多くは目標設定がきっかけになっていると思います。
そうは言っても・・・
もちろん目標設定は組織要請もありますし、メンバー1人ひとりに全てを合わせることは難しいかもしれません。ですが、目標の一部だけでも、メンバーのチャレンジテーマを設定したり、取り組み方のプロセスの中に新たなチャレンジを期待する等、工夫の余地はあると思います。
管理職でしかできない、管理職が担うべき大事な役割の1つは「仕事をつくること」です。会社によっては課長職ではそんなの難しい。という方もいらっしゃるでしょうが、課長にそんな権限はないというなら、部長と一緒に考えれば良いと思います。
人は財産。
そんな標語を中期経営計画や会社のビジョンめいたところに書いている会社を多く見ますが、本当にメンバーのことを大切に思うなら「やめないでくれよ」という泣き落としではなく、頭をこねくり回して考えて、期待と機会を与えることが大事だと思います。
終わりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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