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読書ログ10 『サロメ』 オスカー・ワイルド/福田恒存 訳
他の用事をいったん休んで読んだ一冊。用事ってのは勉強なんだけど、適度な読書はリラックスやらリフレッシュやらにいいとAIが申しておりましたので。そもそも長時間起きてて眠気がきてて、何もできないからねこれでは。でも不思議と読書はできた。私が読んだこの作家のものでは三冊目かな。またおもしろいものでしたねえ。
『サロメ』 オスカー・ワイルド/福田恒存 訳
こちら戯曲になります。聖書を下敷きにして書かれた一本、訳は古めかしいが、いっそ妖しい雰囲気が出てよろしいものでした。異国の古典を読んでる感マシマシ。この訳によって執拗にヨカナーンを求める王女サロメの恋心、狂気、不気味さ、危うさが引き立つようなもんじゃないですか。恋とはどんなものかしら、といって、このサロメの姿を見てたらわかるかもしれない。逆か。わからなくなるのかね。踊ってくれたら、褒美として国の半分だろうが宝石だろうがなんでも与える、といわれてもまったく揺るがずに、ただヨカナーンが欲しいとだけいったのだった。やがて銀の皿が運ばれてきて、「お前の口に口づけしたよ」の台詞が悲しく響いたとき、この恋は成就したといえるのかどうか。彼に口づけしたいというサロメの望みは叶ったのではあるが……。
ビアズリーの挿絵が多いのもよかった。そもそも四月あたり美術展で観てくるつもりで、そういえばこの本にビアズリーが、と連想のように思い出し、積んでたところから取り出したという事情もある。予習ですね。この挿絵たちのなんともいえぬ独自性よ、妖艶さよ。この人は長生きしてたらどんな画家になっただろうな。
『サロメ』はリヒャルト・シュトラウスのオペラにもなってるのでそちらも気になるところ。何やらものすごい名演があると聞いている。その公演、CDやらDVDやらで市販されているかはわからんのだが。
薄い一冊でリフレッシュとしたところでした。
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