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書籍編集者です。 https://realsound.jp/book/2022/11/…

マガジン

  • 沈思黙読会

    読んでいるとき、私たちはいったい何をしているのか。 それを知るために、読書の仕方を一度シャッフルしてみたい。 そんな気持ちで恐る恐る始めてみることになりました。 私のイメージは夕方に路地で見られる「猫の会議」です。 議題はわかりません。発見があるかないかわかりません。 そんな不定形の試み・実験に 週末の大事な時間を投入してもかまわないという奇特な方がおられましたら ご参加ください。(斎藤真理子さん)

  • 美術特講

    学校で使用されている「美術(アート)」の教科書は、日本と欧米では大きく異なります。日本の「美術」の教科書は薄く、そしてなによりアートは自由に見ることが大事だと書いてあります。一方、欧米の「アート」の教科書は分厚い。それは「アート」=「美術史」だからです。現代美術の最前線の作品の背後にラスコー洞窟の壁画からはじまるギリシア・ローマ、キリスト教、ルネッサンス、印象派……と、そこには膨大なヒストリーとコンテクストがあり、それをどれだけ感受できるのかが重要で、それこそが長く教養の基準とされてきました。残念ながら、日本の教科書では、それは学べません。美術特講では、最前線にいるトップクラスの研究者によって、大学半期分の授業を2日の集中講義で行います。クオリティの高さはもちろんのこと面白さも保証付きです。 ※講義によっては、【1日集中講義】の場合もございます。

最近の記事

沈思黙読会⑩ 読んだ本のご紹介 その2

2024年8月17日(土曜日)、神保町expressionで行われた沈思黙読会、第10回目に参加された皆さんが持参されたのは、こんな本でした。 Gさんの「南へ行っていた人の1冊」 「言葉の木蔭 詩から、詩へ」宇佐見英治:著/堀江敏幸:編(港の人) 夏になると原民喜の詩や小説を写経のように書き写す、という習慣を去年やめたんですけど、そうするとやっぱりなにか落ち着かなくて。どうしようどうしようと思って「シベリヤ物語」を読んでみたり、西新宿の方にある平和祈念展示資料館に初め

    • 沈思黙読会⑩ 読んだ本のご紹介 その1

      2024年8月17日(土曜日)、神保町expressionで行われた沈思黙読会、第10回目に参加された皆さんが持参されたのは、こんな本でした。 斎藤さんの「文庫3冊+豆本」 「原民喜戦後全小説」下巻(講談社文芸文庫) 「遠くにありて」山内義雄(講談社文芸文庫) 「飜譯者の反省 こつう豆本・117」山内義雄(日本古書通信社) 「明るい夜」黒川創(文春文庫) 今日は軽い本ばっかり4冊持ってきました。 山内義雄さんはフランス文学者で、「モンテ・クリスト伯」や「チボー家」など

      • 沈思黙読会:斎藤真理子さん「8月、原民喜を読む。最初に読んだときはたぶんスーッと通り過ぎた。何度か読むうちになんとなく記憶に定着してきた。読むたびに薄皮一枚ずつ重なっていく。はじめて読んでから40年、今、一番好きになっている」

        第10回 沈思黙読会での斎藤さんが語ったこと。その2 前回、いつも参加してくださっているTさんが原民喜の詩集を持っていらしていて、そこからの連想もあって、今日は「原民喜戦後全小説」という講談社文芸文庫から上下巻で出ている本の下巻を持ってきました。 原民喜って、身体の動作がぎこちなくて、歩いても走っても人から見るとおかしかったらしいんですよね。すごく無口だし、人に何かしてもらってもお礼とか言えないような人で、非常に誤解されやすかったと、梯久美子さんの「原民喜 死と愛と孤独の

        • 沈思黙読会:斎藤真理子さん「本だけを読む時間」を持つことが、今ではよくあることではない。読書というのは、実は「本と本の間」が大事なのかなと思う。

          第10回 沈思黙読会で斎藤さんが語ったこと。その1 今日も暑い中、集まっていただきありがとうございました。お盆休みの方もいらっしゃるのかなと思いますが、これまでで一番人数が多いかもしれないですね。 このところ、日本では大きな地震があったり、大雨が降ったりと災害が続いていますが、南海トラフの報道があってしばらくして、韓国の知人から「地震がいよいよ本当に危ないなと思ったら、いつでも韓国に避難してらっしゃい」というメールをもらったんです。そこにには加えて一言、「いつ戦争が起きる

        沈思黙読会⑩ 読んだ本のご紹介 その2

        • 沈思黙読会⑩ 読んだ本のご紹介 その1

        • 沈思黙読会:斎藤真理子さん「8月、原民喜を読む。最初に読んだときはたぶんスーッと通り過ぎた。何度か読むうちになんとなく記憶に定着してきた。読むたびに薄皮一枚ずつ重なっていく。はじめて読んでから40年、今、一番好きになっている」

        • 沈思黙読会:斎藤真理子さん「本だけを読む時間」を持つことが、今ではよくあることではない。読書というのは、実は「本と本の間」が大事なのかなと思う。

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        • 沈思黙読会
          39本
        • 美術特講
          5本

        記事

          沈思黙読会⑩から。「読むことと、読む場の深まりについて」

          2024年8月17日(土曜日)、神保町expressionで行われた沈思黙読会、第10回目に参加された方々のご感想を公開します!(順不同です)  Aさん 会の中で話したことと重なりますが、自分の中でのまとめとして書かせていただきました。 今回初参加で、本を読めなくてずっと困っていた私が、読書からこんなに大きな幸福感を感じられるなんて、思いもしませんでした。 それは既に申込の時点から始まっていたように思います。本を読むという体験について、この会のXやnoteを読んで自分な

          沈思黙読会⑩から。「読むことと、読む場の深まりについて」

          沈思黙読会⑨ 皆さんの持参本紹介

          2024年7月13日(土曜日)、神保町expressionで行われた沈思黙読会、第9回目に参加された皆さんが持参されたのは、こんな本でした。 斎藤さんの「文字が作り出す世界を味わう3冊」 「続明暗」水村美苗(ちくま文庫) 「メリディアン」アリス・ウォーカー(朝日新聞社) パク・チャムセ「チョンシンモリ」(民音社) 先月、ここで夏目漱石の「門」を読んだ後に「明暗」を読んだので、それなら未完で終わった「明暗」の続編として水村美苗さんが書かれた「続明暗」も読もうかなと。

          沈思黙読会⑨ 皆さんの持参本紹介

          沈思黙読会:斎藤真理子さん「子供が本を読みはじめるときのプロセスは人によってかなり違うのではないか。そしてそのことは大人になった人の読書をどう規定しているのか。ということ」

          第9回 沈思黙読会での斎藤さんが語ったこと。 前回の沈思黙読会からの一か月で、あらためて「本を読む」こと以前に、「文字を読む」ということが、人類にとっては相当特殊なことなんだなと、考える機会がありました。  今、『世界』という雑誌で、韓国の翻訳家のチョン・スユンさんと、毎回お互いに何か質問を一つ投げかけて、それについて答えるという往復書簡のようなエッセイを連載しているんですが、前回、チョンさんから「子どものときに読んだ本について教えてほしい」という質問があったんですね。特

          沈思黙読会:斎藤真理子さん「子供が本を読みはじめるときのプロセスは人によってかなり違うのではないか。そしてそのことは大人になった人の読書をどう規定しているのか。ということ」

          沈思黙読会⑨から

          2024年7月13日(土曜日)、神保町expressionで行われた沈思黙読会、第9回目に参加された方々のご感想を公開します!(順不同です)  ●Aさん 3回目になると、どんな体験かということが少し積み重なったこともあり「分厚い本の読みはじめにいいな」というイメージが持てていてこの機会のために本を選ぶということをしてみました。『百年の孤独』は発売を楽しみにしていて買う前からこの会で読もうと思って、一ページも開かずまっさらの状態でもってきました。ワクワク感も手伝ってすいすい読

          沈思黙読会⑨から

          沈思黙読会⑧で読んだ本!

          沈思黙読会もついに8回目。皆さんが持参されたのは、こんな本でした。 斎藤さんの「仕事としての読書とただの読書の違いを実感した2冊」 「母(エミ)」尹 興吉(新潮社) 「門」夏目漱石(岩波書店) 午前中は仕事としての読書で「母」を読んだんですが、これがとても激しい小説で、情報を取るためだけに読んでいるのに、むちゃくちゃ疲れました。でも、こういうものがかつて韓国の中堅作家から日本人に向けて書かれたというのはすごく大事なことだと思います。 一方、午後は前回に引き続き「門

          沈思黙読会⑧で読んだ本!

          沈思黙読会⑧斎藤真理子さん「情報を取るのが目的ではない、純粋に小説を読むことの楽しさについて」

          第8回 沈思黙読会での斎藤さんが語ったこと。 沈思黙読会も、いよいよ今日で8回目です。8回って四捨五入すると10になっちゃうんですけど、いつの間にそんなにやったんだっけ? みたいな気がしますね。 8回やってみますと、1回目や2回目のことはもうずいぶん忘れてしまっています。ただ、やっぱり何度思い出しても、1回目が一番、発見が大きかったんですよね。スマホを切って読書するとこうなるのかっていうことを、本当に自分の脳と身体で「え?」って驚いた記憶があるんですけれども、その後は、や

          沈思黙読会⑧斎藤真理子さん「情報を取るのが目的ではない、純粋に小説を読むことの楽しさについて」

          沈思黙読会⑧から

          2024年6月8日(土曜日)、神保町expressionで行われた沈思黙読会、第8回目に参加された方々のご感想を公開します!(順不同です)  ●Aさん 2回目の参加でした。 初回は「公共空間の中で読書する自分」をかなり意識しましたが、今回は読書に集中している周りの皆さんの存在が励みになり、リラックスして読書できました。 コロナ禍では日常が非日常になってしまい、物語が読めなくなってしまいました。前回、スマホの電源を切った環境で、長時間読書に没頭することができ、「私の人生に読書

          沈思黙読会⑧から

          沈思黙読会⑦で読んだ本!

          回を重ねること7回目。今回の沈思黙読会に皆さんが持参されたのは、こんな本でした。 斎藤真理子さんの「くたびれたときの1冊」 「門」夏目漱石(岩波書店) 実家に父の持っていた漱石全集があって、帰省したときにはいつも「三四郎」を読むんですが、先日帰ったときになぜか「門」を読みたくなってしまった。漱石の前期三部作の中でも「三四郎」や「それから」には青春の華やぎといったものが多少あるけれど、「門」は、もう完全に地味な生活にシフトしてしまった夫婦の話なんですよね。自分自身が年をと

          沈思黙読会⑦で読んだ本!

          沈思黙読会⑦斎藤真理子さん「夏目漱石『門』を読みながら、脳内音読について、あれこれ考えてみた」

          第7回 沈思黙読会で、斎藤さんがお話になったことのまとめです! 先回からゴールデンウィークを挟んで3週間。また早かったなという感じがしています。前回は、ゴールデンウィークに入る前にここでお話をして、翌日は新潟で本に関するイベントがありました。新潟出身の翻訳者3人で、好きなことをしゃべるというイベントをやったのですが、かなりたくさん人が集まってくださって、いつもこの沈思黙読会に来てくださっている方も東京から駆けつけてくださったりもして、ありがたかったです。 そして、新潟で本

          沈思黙読会⑦斎藤真理子さん「夏目漱石『門』を読みながら、脳内音読について、あれこれ考えてみた」

          沈思黙読会⑦から

          2024年5月18日(土曜日)、神保町expressionで行われた沈思黙読会、第7回目に参加された方々のご感想を公開します!(順不同です)  ●Aさん 2回目はずいぶんリラックスして参加したような気がします。 途中、少し眠たくなったりしながら、それでも本が目の前にあるので、 その眠たい状態に応じた読み方を模索するうちに、眠気が減っていくのも新しい発見でした。 ある種、「読むしかない」状態というか、別に強制されているわけでもないのに、とにかく「読む」という状態に何らかの形で

          沈思黙読会⑦から

          沈思黙読会⑥で読んだ本!

          毎回、参加者の皆さんが持参された本を紹介していただくのも沈思黙読会の楽しみのひとつになりつつあります。第6回(2024年4月27日)は、こんな本が一堂に会しました。 ◎斎藤さんの「あまり深く考えずに持ってきたけれど読んでみたら面白かった2冊」 「日本近代短編小説選 明治編2」(岩波書店) 「海鳴りの底から」堀田善衛(朝日新聞出版) ◎Aさんの「橋本治の3冊」 「蝶のゆくえ」橋本治:著(集英社) 「これで古典がよくわかる」橋本治:著(筑摩書房) 「帰って来た橋本治展」図

          沈思黙読会⑥で読んだ本!

          沈思黙読会⑥斎藤真理子さん「不安であっても、活字となかよくすることはできますか?」

          第6回 沈思黙読会で、斎藤さんがお話になったことのまとめです! 今日で沈思黙読会も6回目です。今回は先月から今日までの時間が短かったように感じるんです。それがなぜか考えてみると、この場所で次回、何を読もうかと考えるのが楽しかったから、ということに気づきました。仕事で読まなければいけない本もあれば、他の参加者の方が読んでいた本が気になって、次はそれを読んでみようかなと思ったり。沈思黙読会で読むために、どんな本を持っていこうか考える、そんな新しい楽しみが生まれてきた。予想もして

          沈思黙読会⑥斎藤真理子さん「不安であっても、活字となかよくすることはできますか?」