川合大祐
川柳を作っています。 「世界からサランラップが剥がせない」 などなど。奇妙な世界を基本、週一回お届けします。句集『スロー・リバー』、『リバー・ワールド』の人間です。
2021年11月28日から12月4日までの川柳まとめです。書けなかった日も多いけど、そういうこともあるということで。迷路です。
先週の川柳まとめ! 精神状態がズンドコでそれを反映した出来になってます。そういうのもまた面白いと思いますよ。笑ってやってください。
先週の日曜日から土曜日まで。「こいつ、懲りねえなあ」と思っていただければ幸いです。川柳です。
日曜更新。一週間の川柳です。今回は全6連作。「変」を味わいたい方、どうぞ。
——2024年11月16日−18日、名古屋旅行のつれづれに Ⅰ.創造開始 一〇〇句 父という酢味噌の腐る虹の國 父の名を豆腐潰しておもいだす 朝焼けて父の陰茎ぶらさがる 散り散りにレム睡眠の家具屋たち ユリイカをかたるマルチン幼稚園 ホルモンをうばって逃げる柴犬屋 神童のなますを縦に裂く仕事 バイク屋に貼りついている文字の渦 皮切りにきのこ図鑑の目次消え 不老者をのせて無人のバスなりき 夕顔がただそこにあるベルマーク 元締の出口に酸が置いてある
古賀メロディだけの渡海をしてしまう 煮卵にみえないカミュ、アルベール きしめんが浮かぶロリータファシズム史 名古屋市にダンボの世紀痕の釘 珈琲屋妻とのタイム・パラドクス 今市のカーブの向こうから野点 ブルーノ・ガンツの出囃子夢の國 冬蠅の数をかぎりとする戦車 九十九屋のおでんのなかの人魚都市 性欲の傘とじられて脳の能 テトリスのしくみから成る犀の壁 イベリコの言語破壊のあとに街 ゴーレムの単体さがす俚謡集 つつがなくいっさいの無にダリの模写 #川柳
散り散りにレム睡眠の家具屋たち 胎盤をもらい現実ピクニック コーヒー屋神のかたちを彫りながら カリメロの時間とともに岐阜を過ぎ 猿地獄ありせば時盤内ひろば 胎内の犀をかかえてゆくふたり 午後の午後うめつくすなりフラミンゴ 延々と音大生のみる仔象 どこまでが豹なのだろう銀河雲 白熊のかたちがまさに五・七・五 名古屋市よわれのマカロニ・ウエスタン 平和園ありて精神分析市 群盲のアルマゲドンをつつむ皮 ドリル市の喩えばなしに神の主語 #川柳 #定型詩 #
裸夫すべて東京ドーム外に棲む 道灌を黒い画集にはさむ冬 将棋師のメスメリズムの野辺送り 芳賀ゆいが芸大をみたことがない 清潔の世に倍速のみいら捕り ワシントンD.C.と云う擬寿がきや メロディー未満の楡がたおれてゆく 象徴をあなどるばかり桃舞台 ラッセンにちかづく地獄大使たち 猿丸の城に近親婚をして こんにゃくを翻訳するとただの冬 もうずっとがきデカを考えている がきデカおよび滅んでしまう世界 爆笑の千年灸にさかうらみ 世界軸はずれサンタフェ研究所
遠心力をください朝が消える 秀忠の根性焼きの白書捨て レトリック三部作から搦めとる 水葬をダチョウ倶楽部が逃げてゆく ぷよぷよに給餌おこなう冬隣 秘密裡にクラスメイトが冷凍庫 まぶだちを放つブラック・ジョーク界 ぼくたちのコアセルベートから擬音 航空機たらざるめしを今夜炊く 焚きあげる現象界にないΩ 夫婦して箸わたしするエベレスト 陰暦のいつが越前水母の日 隕鉄をもらい誰かを好きになる 乾パンを焼くブラジルに死のう団 山頭火人形置く調教室 すぐに
ダイソーに銀閣燃えている壁画 闇にめし炊くスヌーピー調教師 アヌスみせ都市小説のウナギイヌ 蕨市の影の総理が誤字だらび ランランの内宇宙にも堀田季何 けがれゆくおまえの量子物理学 桑畑三十郎の自動ドア ゴダールの死のときに死ぬ意味の貝 聖なる河馬に意識下の新月に 蒙古から一句のなかのたぬき狩り ア太郎と対消滅す弱肉屋 百獣の王子を孕む野比玉子 彫刻の都市に工作員の鶏 心技体工作員の鳥堕ちる 奉行所にラー油はみだす世界観 なると斬り自由律句を詠んで
第一章 大導寺ナヲキの犯罪 四九句 フーダニットの針が挿さってゆく水風船 黄金比もなくいちめんの襖 犯行予告書の音韻をしらべ 不在証明されるなか螺子のない家 純血の従姉妹に黴 思考機械の老いてゆく旅 氷山 祖父のアストラル体にぬかずくまで 一望監視どの出目金魚も死んで居り 犀をつぎはぎする石鹸嗜好者 闇 偽近親交配の偽パンチカード 探偵の履歴午前零時の鐘 超蝶チョムスキーの血にまみれ 変装する祖母の衣ずれ カート・
儒艮みよ父のセクシーコマンドー 海豚さかのぼるカフカの不眠都市 酢のものの丸ビルにくばられた痕 ラバウルにふざけていない濡れおかき 千切れたフィルム月下にすがる乞食 技師の愛した数字なにも書けず 録音室をでると飛翔体 かぶとがに万有の引力尽きて 無人ビル百人一首してしまう プリキュアに擬して馬頭観音像 にせもののおこさまランチ渓渡る 地母神のただれて加藤醤油店 三河屋を渦状銀河の心として 丸亀のマルムスティーンの反意識 沼津市の沼に豆乳時代かな
鱏の死を超えてふたたび野球拳 密葬の時間サンタフェ研究所 サイボーグ王女が写す境内図 キキジジの生涯に立つ焦土島 鳥一羽もなく舞妓の私小説 やまと路に原始五輪の終わるまで 長官のサンスクリット語の凡句 分身の時計修理し冬隣 冗談のハンバーガーに銛を刺す 手袋のかたちをそねむ町芸者 しゃぶしゃぶの渦に石森章太郎 幕末や反重力の音譜撒く 太陽のあたりを覆う牧師雲 時間論中古オランダ人の妻 たらればで言うと一水会に庭 ドミンゴがなにも象徴していない
捕食者飽和戦略京マチ子の夜 パラダイム・シフトいっぽん芋けんぴ カンブリア紀のうたに花いまは絶え 偶像崇拝者の苔桃 堕ちよ ミスター・ローレンス死後の世のきのこ 科學菩薩の日スケーターに明けず 洗脳文學誌秋暮るるばかり バカセの異常な愛情ふくめ煮や 原核の人魚がにぎる砂時計 蟲その母を喰い円周率寺 ペルム紀の幼帝に冬きたりなば ホロスコープに不朽なる烏賊リング 万華鏡の零をみつめる猿 遺伝子恟々たれ鳥の死す磁場 戦争について合成魚卵店 陽性患者へ
岸壁をうたがう俳句甲子園 ジュリエットひとり釣り堀大爆破 トング連盟ふえてゆく舎の美豚 ラグランジュ・ポイントずれる蠅の王 アスファルトについて述べよカツオの忌 群像劇にいつまでも麩菓子盗る だばだば杉の枯れてゆくインチ法 坂のなか数の小説ななめ書き 識閾に三ツ矢雄二のコーヒー屋 訛なき日々のブッデンブローク家 耳鼻科用牛乳瓶の熔かしかた ラ・ロシュフコー成田山のぼる・秋 豚カツの風景という電信社 猿蓑にあきすとぜねこ唱えつつ 神死んでキャベツ時間
Ⅰ.パーキー・パットの死ぬのにもってこいの日 四〇句 山嶽信仰ミノワマン死す パーキー・パットの日々のきのこもどき 病院船にわが昭和テレビ塗る 焦げパンをつかう降霊会 昼 昼餉にして円周率のばってら 甘党がロダンの句碑にぶちあたる 院内に原子ありけり泥うさぎ 一句成す毛深いひとのゼミナール うわさからブラック・ジャックかき直す 幼児用椅子にあわせて魔改造 無を想えエーデルワイスひびく町 私家版にくずれていったトリスタン ブロン中毒者が持ってくる卍
外道群れておりチルチル磁気嵐 オートバイ修理技術に海星なし 神棚買うロシアンルーレットの日 毒素ぬけてゆくアシッドジャズの歌碑 トーマス・マンのどこまでも泳ぐ図誌 自瀆することとしてハウス食品 どぶろく未遂麗子像くばられて 蜘蛛をつまむときファイナル私小説 カーの書く昼餉兄たちの転生 恒温動物の脳に大漁旗 蟹工船の象徴として畸星 時制はずれる幼帝のふとジャンプ 豚の神経叢にうしなう言語 空に三日月祖父江さんに祖父母 減薬のたびに減ってゆく陸亀 ラ
終わる小動物会議都市炎えて うどんからまる丸出だめ夫 北への 企画たおれてソヴィエトに傾く絵 ソーラーもなく浅沼稲次郎忌 一階にスパルタ市老いてゆく鹿 潜航せよ失語症の餅おとぎ 独房のめし時間論のほつれて ワンコインソナー腐王にたどりつく 月宙にあらず長官へ苔桃 パイとしての名まえにつねに偏移する 未来派のおじやにつかわない炎 不死の民族錆びてゆく罠しかけ コンサートホールひとつの否定蝶 虎よ! 虎よ! うつくしさの村消え ジョージ・オーウェルがつ
宗教的情熱アワダチソウに野火 火遁の術サンバ小集会より帰る 旅人かえる風船怪獣のほころび 史書のほころびをジャムパンをさらに求め 求道のガールフレンド鋼鉄都市 エディプスの市というどこまでもが夕焼け 夕ニャンつづく狂院画帳やぶかれて おきてがみをやぶく物理上の父母 ちちとははとの墨が墨のまままじわる 混線なおもつづくアグニの神 神は死なないチキンマックナゲット盗る正午 正午きてライナスの毛布湾へと流す 人形流すアルミの船に征露丸 征露丸をきざんではる
柔道の世紀に揚がるバナナ海老 出雲大社のクッキーを敢えて煮る イソップ寓話にずっと消える魔球 ガンダーラガンダーラお前が不免許医 きょうの日は六道輪廻マスカット切る 災いの都市にコーヒーゼリー塔 建たず アンチ・オイディプスの旗色に鳩サブレ 清水港から仲本工事丸帆をかかげよ 猿のひろうチップに太郎次郎社の記憶なし 預言者のチーズバーガー商会に霧 鹿おどしのない宇宙へえいえんの身をやつす 三号棟にロイ・シャイダーが居る 偈をうつすイクチオステガの瞼 桶