スヌーピーの恋人(闘犬) 川柳60句
ダイソーに銀閣燃えている壁画
闇にめし炊くスヌーピー調教師
アヌスみせ都市小説のウナギイヌ
蕨市の影の総理が誤字だらび
ランランの内宇宙にも堀田季何
けがれゆくおまえの量子物理学
桑畑三十郎の自動ドア
ゴダールの死のときに死ぬ意味の貝
聖なる河馬に意識下の新月に
蒙古から一句のなかのたぬき狩り
ア太郎と対消滅す弱肉屋
百獣の王子を孕む野比玉子
彫刻の都市に工作員の鶏
心技体工作員の鳥堕ちる
奉行所にラー油はみだす世界観
なると斬り自由律句を詠んでいる
信貴山の等高線をしめすおと
現象に高津臣吾の煮る煮カツ
カポエラに似ている姉の山の音
病院をでるたび沙蚕たちならぶ
繭からももれるアダルトラジオ局
欲動を中心にして靴たたむ
いっさいがたたみいわしであるミハル
ゴルバチョフ詣でに霙ふりしきる
意味というかたやきそばがやわらかい
盗聴妄想に足袋を数として
天秤がきれいなひとの民話集
ロンメルの或る視点から蜂死ねり
六畳に補色塗りけりポンキッキ
LPを割ってさいごの自慰の果
脳外のレトロポリスに詰将棋
指紋皆ぎざぎざベリーダンサーズ
犬の軍隊内愛に冬を待つ
湖池屋のラジオドラマをさらに録る
ひとごろし街の空缶ならべつつ
忠敬のむしろのように減ってゆく
ザビエルの東日本語解読書
有人衛星におもうFOCUS誌
父のドグラ・マグラを焼き冬立たん
梅肉をデーモン小暮ほどに斬る
マイメロを老人会が撃ってより
軍配差違え脳と脳ふやし
紡錘のジャイアンおちてゆく華厳
選球眼軍人くんのモアイよ
てでひらく筒井康隆述語集
彗星やあたまの中のジャズ奏す
珍魚展めざし卵の名をひねる
パラパラが右翼雑誌に載ると冬
脳移植してふたたびのコップ割り
イヤミスに抜刀隊に亀の泡
カジモドへ鐘撞きかえすくじら寺
尼寺のとなりにいつもゴムハウス
ゴールデンカレー文化の火喰鳥
銀河ひろく〈時〉ならざる時津洋
メタファーの蛔虫館に還る日を
フール・オン・ザ・ヒルに含ませる蜜柑
募金者が愛撫してゆくマンドリン
あり得べき光学メスのあり得かた
法皇の名刺拾いて冬立つや
ロボット三等兵との夜泣きそば
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