いちやなぎ

京都在住 いちやなぎという名で音楽をやっています。1人でギターもって歌ったり時にはバンドでも。ここでは詩やエッセイ雑文など自由に文章を書きます。 初の小説集「さりとて裸でちくわ笛」発刊

いちやなぎ

京都在住 いちやなぎという名で音楽をやっています。1人でギターもって歌ったり時にはバンドでも。ここでは詩やエッセイ雑文など自由に文章を書きます。 初の小説集「さりとて裸でちくわ笛」発刊

マガジン

最近の記事

何度も花が咲いて墓が廃れた

1 「永い宇宙の時間に規則を見出し花たちはその営みをきめた」 先程まで降った雨がやっとやんで、しかし以前どんより曇り空、次いつ雨が降り出すかわからん。 大仙公園には古墳がいくつかあって(というより古墳があったところに公園ができて) クラフト作家の出店が百近く軒を連ねるイベント「灯火の集い」のせいなのか、それは関係ないのか、朽ち果てた墓場はこの上なくうら寂しい。 説明が書きのされた石膏に子供たちが遠慮なく乗っかって遊んでいる。 古墳群をぐるりぬけると、すみっこに「都市緑化セン

    • みて惑星、自転車流星群

      「思えば朝に商店街に来ることなんてなかったなあ」 まだ開店していないお店が多い。 一キロ近くアーケードが続く大きな商店街。 八百屋があって漬物屋があってお肉屋があってカフェ、喫茶店があって夜な夜な猫たちが集まる公園がある。 七夕には、近所のみんなが集まってとっても和やかなお祭りが開かれる、お気に入りの商店街だ。少し家からは遠いが用がなくとも立ち寄りたくなる。 人がいない深夜に商店街を自転車で通り抜けるのは爽快で、宇宙空間でワープしているような想像が膨らむ。 通り抜けに商店街を

      • ぽんぴろぽんぱん音楽日記(2024秋)

        10月1日 岡林信康/ 私たちの望むものは 彼がこの曲を作った頃とはまるで違う世界になった。だろう。 「私の望むものは絶えず変わってゆくことなのだ」 望むものを僕たちはどれだけ手に入れたのだろう、或いははじめっからそんなものは無かったのか。 人間はいつの時代も何かを望むことをやめられない。 僕は人間が持っていられる幸せの数や重さには限りがあって、変わらないんじゃないかなと思っている。 10月2日 デヴィットボウイ/ Starman 自分にとって特別な曲って、本当に人に手

        • 来たる栞日、まぼろしの福の神

          1 「ぬるいラーメンは駄目だね」 ツミツさんは車に乗り込んだ後にそう呟いて、というのも彼が先ほど食べたラーメンセットの話し。 確かに、ぬるいラーメンはいけない。 僕が食べた蕎麦は温かったけれど、量が侘しく、それに今日歌いにいくところは長野県松本、信州そば、味の文化財、、何もここで蕎麦を食わなくてよかったなあと後悔したときには、遅かった。「きつねそば」引き換えチケットがひょろり出てきたところだった。 今回ご一緒にさせていただく、ヨフケさんが頼んだ肉炒めが一番美味しそうだった。

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        • ぽんぴろぽんぱん音楽日記
          12本
        •      ぐうたらのあなぐら
          126本
        • ぽんぴろ展覧会
          1本
        • 短編小説
          2本
        • 掌編
          2本
        • album
          3本

        記事

          きちんと珍奇紀行記

          きちんと珍奇紀行記 1 喫茶曲がりでのライブ  自動車で三時間、東京へ行くことに比べれば近いもの、といったって運転するのはベースの加藤さん。 僕はやっぱりちんと座っているだけ。途中、京都駅でマンドリン弾きのジンをひろう。 朝から曇天模様、途中ざんざんざん、雨が降ってきて四方山を白けさせ、フロントガラスを激しく叩きはじめた。 幸先悪いなあ、やだなあ、何か良くない事あるんじゃないだろうかなんてのは杞憂で、喫茶「曲がり」では、遊びに来てくれたお客さんや、喫茶曲がりの方々、そして

          きちんと珍奇紀行記

          月見ル君と僕にゃ宿はなし

          1 僕が遠出するとなると、落し物やらなんやらの一つ二つのトラブルに見舞われるのが普通で、それを避けることは不可能の近く、殆どあきらめている。 行きの電車、切符を無くして改札を通れなくなってしまった。駅員さんに聞くと「さいどお支払いいただくしかないですね」冷酷な一言、つっけんどんに突き放されてしまう。 彼女の態度や言葉に侮蔑の念が込められていやしないかと疑心暗鬼になる。だって、一つ目の改札は潜れて、しばらく先にある二つ目の改札、この短い間に切符を紛失したのだから粗忽者にはち

          月見ル君と僕にゃ宿はなし

          しあわせのいどころ

          僕についてこれば、「幸せのいどころ」に連れて行ってやるよ!そんなところで寝てないでさっさと準備しなよ(仮) なぜ紙袋を持つと、ちょっこし特別な心持ちになるのだろう。取手がない類の紙袋、カサカサいわせて買ったものを取り出すと、紙の匂いがほんのり漂う。あの時でしか得難い、仄かな幸福の種があるような気がしてならない。 少し不便、それでも許せる。 コロッケが入った紙袋、パンが入った紙袋、ハンバーガアが入った紙袋、ドーナツがはいった紙袋、クッキイが入った紙袋、ポップコーンが入った

          しあわせのいどころ

          アスパラガスは誰の夢

          もう大体は、校庭に遊びに出かけてしまっているが、数人室内に残ってる子もいるにはいて、お昼を食べ終わったあとに先生とお喋りしたり、折り紙をしている子、それは女の子ばっかりなものだから、余計に恥ずかしく、そして情けなく、悲しくなってくる。だけれどもどうしても体がうけ付けない。 いつもなら外に飛び出ておにごっこだとか、サッカーだとか海賊ごっこだとか、猫の額ほどの狭い幼稚園のグランドをおもいっきり駆け回っている時間だった。 狭いなんて思っているのは大人たちだけで、子供にとっては十分な

          アスパラガスは誰の夢

          チキンラーメンみたいな日

          目を覚ます。 やってしまったという気持ちがにょきょき芽を出す。お空は日暮れ色。 今日のお昼、チキンラーメンを食べた。 子供の頃、コマーシャルを見てまんまと食べたくなり、母親の持つ買い物カゴにこっそり入れ、例に倣って卵一つ落とし、湯を入れ、期待膨らませながら犬のように待ち、丼をあけて、さあいざ、しかし膨らませた期待は頼りなく、みるみるうちに萎んでいく。 期待したほどでは無かった。 それから、コマーシャルに乗せられ、買わされて、うーん、やっぱり思った程ではない、というのを何度

          チキンラーメンみたいな日

          さりとて草履で坊ちゃん日記

          よっつの草履はぺたんぺたん(仮) 時間に余裕をもった筈なのに、気づけば余裕をどこかに落っことしちゃって、結果余裕がないなんて事は想定範囲内の事で、どれだけ余裕もったとしても結局は余裕がなくなるのは僕の人生において、瑣末な事、一々気にしていては身がもたぬということで、ある意味余裕を持って、ぎりちょん、発車一分前に、電車に滑り込む。 先に余裕をもって乗車していたタニザワさんの横の席に座る。彼は本日お供していただく男、先輩。(今回の「さりとて裸でちくわ笛」のどれかの話で、彼をモ

          さりとて草履で坊ちゃん日記

          おばけなんて怖かない!

          おばけなんて怖くない、と今では思っている。 小さい頃には、今ではとんと姿を消した心霊や宇宙人を扱うあやしい番組を見て、寝るときに後悔するという、ごく人並みの経験をしている。もちろん一度や二度じゃなく。 しかし最近では怖くて夜も眠れないなんてことは、まあない。 僕が唯一大人っぽくなれているところかもしれない。 僕の場合、怖くなってしまう条件は暗闇にあった。昔から、身の毛がよだつ思いをするのは決まって暗いときだった。逆に明るささえあれば、大体耐え忍ぶことができた。 僕の周りで

          おばけなんて怖かない!

          食い倒れ的小論文

          1 序論 飯を食うのは大事なことで、命を明日へと持ち越すに必要不可欠な行為であるはずなんだけども、昨今、というか、いつ頃からか、もう僕の物心ついた時にはそのきらいがあったように思うのだけれど、この命を継続させている行為に対する敬意のようなものが希薄であるなあ、と漠然と思い起こしてみたが、それも致し方なし。 現代、飽食、娯楽多角多用、時短、効率。 と、決めつけてしまうのもなんだか寂しい。何がと問われると答えるのに困ってしまうけれど、とにかくなんだか漠然としない蟠りがある。恭し

          食い倒れ的小論文

          ぽんぴろぽんぱん音楽日記(2024夏)

          8月1日 noura mint sey mail/Arbina ヌーラメントセイマリはモーニタリアという国のアーティスト モーニタリアはアフリカは西サハラのお隣(もちろんこれを書くにあたって調べました) グリオスタイルのムーア音楽を現代バンドサウンドに踏襲した(らしい)彼女の音楽は、僕としては、マリのバンドsoghoybluesの匂いを感じるなと思ったらお隣の国なのね。 8月2日 ベルアンドセバスチャン/another sunny day 夏のはじめに、古本屋「三密堂

          ぽんぴろぽんぱん音楽日記(2024夏)

          スイカ畑からこんにちは

          パカンと二つに割ったスイカをスプーンでくり抜いて食べ、ボウル型にしていく。 祖母の畑で育ったスイカ、毎年夏になると沢山もらって毎日のように食べていたのだけれど大抵、家族みんなが先に飽きてしまって、僕が大半を食べることになり、食べ過ぎて、手洗いでびっくり、出したモノが真っ赤だわなんて事すらあって、そんな事あってもお構いなしにひと夏中食べ続けるのは、そりゃあ勿論、スイカが大好物であり、僕の中では全果物の中で一等賞、どれだけ食べたって飽きないのだった。 というのは、実家に住んで

          スイカ畑からこんにちは

          ぽんぴろ展覧会

          入り口はあちらで出口はこちらであります。 お客さまが今立っておられるのは、入り口と出口のちょうど真ん中でございます。 あなたがもし、出口からお入りになった時、それは、入り口となりましょう。 あなたがもし、入り口からお入りになった時は、それはやっぱり入り口となるのです。 では、入り口から入って入り口から出た場合、又、出口から入って出口から出た場合、、、。 この辺で、よしときましょう。 楽しんでください。 1 「街へ靴を買いに行くところなんだよ、靴ベラしか持ってない」

          ぽんぴろ展覧会

          都市の潮目に泣きっ面

          すったもんだ日記 8月2日 新横浜まででよいのに東京までのチケットを買ってしまい、まあ差額払戻せばいいかと思っていたら、払い戻せませんと大きな駅員さんにつっけんどんにつっぱねられてしまい、こちらが間違えたんだから文句言う資格もないかと、とぼとぼ改札をくぐり、気分転換に駅のコンビニにはいって、アイスコーヒーsサイズを買ったのに、mサイズのボタンを押してしまう、ここでもミス。 「sサイズを買ったんですがmサイズを押してしまいました」 慌てふためく僕に対して店員の彼女は落ち

          都市の潮目に泣きっ面