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     ぐうたらのあなぐら

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日常で思ったこと自由に書きます。ここはぐうたらのあなぐらです。
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哀れなモンミレイユと僕に外交官のプリンを

哀れなモンミレイユと僕に外交官のプリンを

「シャトーブリアン」って洋菓子のようだけれど、違うのか。なんでまた、そんな名前が、おかしいじゃないか、なんだか違和感があるぞ。
喫茶店やカフェの冷蔵ケースにアートのように陳列されてそうなものだけれど、なぜそう思うのか自分でもわからないけれど、この感覚に確固たる自信はないのだけれど、シャトーブリアンの正体は牛の肉、、、こうなると納得するまでに時間がかかる。
納得しようがしまいが、「あちらさん」はどち

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きんきんきん

きんきんきん

「しんしんしんと降った雪の日はきんきん寒い(仮)」

寒空の下、道ゆく人たちはコートに頭を突っ込んで歩く。遅れてやってきた冬はこれからが本領発揮、どんどん寒くなってくるのだろう。
賑やかなの表通りを一本奥に入った静かな夜道をゆく。
店内ではもうずいぶん前からクリスマスソングがかかっているが、なんとなく冬らしくない日が続いた。
今日はエスキモーの本を読んでいた。エスキモーはアラスカやカナダに住む先住

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晦日正月ぐうたん日記4

晦日正月ぐうたん日記4

大晦日

去年の夕方に揺れたんだねと母は言い、まあ大丈夫だろうとは、思えど断言できずに、かといって辛気臭いのも警戒して緊張するのも違うから、、だけどぽかんと忘れちまうのもそれはそれで違う。
姪っ子は覚えてるのか覚えてないのか、一年でたくさん大きくなったとはいえまだまだあどけない顔をしている。

ともあれ乾杯。
小学校の時分の友達のお母さんが働くお寿司屋さん、あらま、10数年ぶり?お久しぶりですっ。

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白い時間

白い時間

センセイはしきりにごめんねと謝り、大丈夫?と何度も言った。
12月25日の夜だからか、もしくは彼女の口癖なのだろう。
僕の横に座った彼女から、外の匂いがした。
おでんの汁と具のあいだから鯉が見える。センセイの方の器には日本猿が沈んでいる。
彼女はちくわにたっぷり辛子をつけて半分食べ、頬に手を当てながらおいひいと言った。
一軒目でたくさん食べたからと、センセイはおでんのちくわと昆布だけで、夕飯がまだ

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背中の穴

背中の穴

実家で久しぶりにゆっくりしていると、早めに帰ってきていた兄が僕の部屋の方に血相かかえてはいってきた。
「背中?」
背中を見てほしいのだという。
表で子供達と遊んでいたら尻餅をついて背中を打ちつけてしまったらしい。
かなり痛むそうで、顔を歪めながら僕に背を向ける。
この部屋には絆創膏一つありやしないのだから僕に見せたって仕方ないだろうと思ったがとりあえず見てやることにした。
彼は自分で服を捲った。

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チョコレイトで待ちながら

チョコレイトで待ちながら

「チョコレイトいります?」
駅のホームでおそらく知らない女性に声をかけられた。
以前どこかで会った人なのだろうと頭をスクランブルエッグみたいにかき混ぜてどうにかこうにか、彼女を思い出そうとし、大抵そういった場合、僕はコミニケーションがちぐはぐになってしまう。
自責の念と、どうにかやり過ごせやしないかという助平ごころとがごちゃまぜとなって平静を装えないのだ。
彼女の方からどこそこあれこれの時はどうも

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私たちブラウニーで会いましょう

私たちブラウニーで会いましょう

「いまどきブラウニーを知らない人なんていないよ」
出会ったばかりの女性に笑われた。
その日は笑われてばかりだった。
はたしてそうだろうか。僕はそのブラウニーというものがそれほど世間に浸透しているとは信じられなかった。
適当に入った喫茶店。何度も前を通ったことがあったが、入るのは初めてだった。
流行のグループや映画を悉く知らない僕に最初は驚いて、それからけたけた笑い、覚えたほうがいいよ、その方が絶対

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不意打ち冬将軍は小銭を数えてる

不意打ち冬将軍は小銭を数えてる

不意打ち冬将軍が小銭を数えてるのを見た(仮)

寝床で物を食うのは行儀が悪いのですよと教えられたからなのかどうなのか、誰も見ていなくとも寝床で食い物を持ち込むことはしない。
ただ横になって、テーブルの上にあるスナック菓子を見つめて暫しが経つ。
何をするにも億劫で、ただ座って菓子を口を運ぶという軽作業ですら面倒がって二の足を踏み、動けないでいる。

昨日お酒を飲んで晩飯を軽く済ませてしまったから朝か

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何度も花が咲いて墓が廃れた

何度も花が咲いて墓が廃れた

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「永い宇宙の時間に規則を見出し花たちはその営みをきめた」

先程まで降った雨がやっとやんで、しかし以前どんより曇り空、次いつ雨が降り出すかわからん。
大仙公園には古墳がいくつかあって(というより古墳があったところに公園ができて) クラフト作家の出店が百近く軒を連ねるイベント「灯火の集い」のせいなのか、それは関係ないのか、朽ち果てた墓場はこの上なくうら寂しい。
説明が書きのされた石膏に子供たちが

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みて惑星、自転車流星群

みて惑星、自転車流星群

「思えば朝に商店街に来ることなんてなかったなあ」
まだ開店していないお店が多い。
一キロ近くアーケードが続く大きな商店街。
八百屋があって漬物屋があってお肉屋があってカフェ、喫茶店があって夜な夜な猫たちが集まる公園がある。
七夕には、近所のみんなが集まってとっても和やかなお祭りが開かれる、お気に入りの商店街だ。少し家からは遠いが用がなくとも立ち寄りたくなる。
人がいない深夜に商店街を自転車で通り抜

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食い倒れ的小論文

食い倒れ的小論文

1 序論

飯を食うのは大事なことで、命を明日へと持ち越すに必要不可欠な行為であるはずなんだけども、昨今、というか、いつ頃からか、もう僕の物心ついた時にはそのきらいがあったように思うのだけれど、この命を継続させている行為に対する敬意のようなものが希薄であるなあ、と漠然と思い起こしてみたが、それも致し方なし。
現代、飽食、娯楽多角多用、時短、効率。
と、決めつけてしまうのもなんだか寂しい。何がと問わ

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来たる栞日、まぼろしの福の神

来たる栞日、まぼろしの福の神

1

「ぬるいラーメンは駄目だね」
ツミツさんは車に乗り込んだ後にそう呟いて、というのも彼が先ほど食べたラーメンセットの話し。
確かに、ぬるいラーメンはいけない。
僕が食べた蕎麦は温かったけれど、量が侘しく、それに今日歌いにいくところは長野県松本、信州そば、味の文化財、、何もここで蕎麦を食わなくてよかったなあと後悔したときには、遅かった。「きつねそば」引き換えチケットがひょろり出てきたところだった

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きちんと珍奇紀行記

きちんと珍奇紀行記

きちんと珍奇紀行記

1 喫茶曲がりでのライブ 

自動車で三時間、東京へ行くことに比べれば近いもの、といったって運転するのはベースの加藤さん。
僕はやっぱりちんと座っているだけ。途中、京都駅でマンドリン弾きのジンをひろう。
朝から曇天模様、途中ざんざんざん、雨が降ってきて四方山を白けさせ、フロントガラスを激しく叩きはじめた。
幸先悪いなあ、やだなあ、何か良くない事あるんじゃないだろうかなんてのは

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月見ル君と僕にゃ宿はなし

月見ル君と僕にゃ宿はなし



僕が遠出するとなると、落し物やらなんやらの一つ二つのトラブルに見舞われるのが普通で、それを避けることは不可能の近く、殆どあきらめている。

行きの電車、切符を無くして改札を通れなくなってしまった。駅員さんに聞くと「さいどお支払いいただくしかないですね」冷酷な一言、つっけんどんに突き放されてしまう。
彼女の態度や言葉に侮蔑の念が込められていやしないかと疑心暗鬼になる。だって、一つ目の改札は潜れ

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