続・「センスのよいマンガ」って何ですか?|「顔がこの世に向いてない。」
センス、センス、センス!
どうせなら「センスがよい」って言われたい。
……が、「センス」って何だろう?
こんにちは。傑作マンガを分析・研究する「21世紀マンガスタディーズ」のお時間です。
本記事は、まの瀬さんの傑作「顔がこの世に向いてない。」を考察する記事の第2回(全2回)です。
第1回はこちらからご覧になれます。本記事の前にお読みになることをオススメします。
「第1回」の要点
・本作の魅力を一言でいえば……「センスがよい★」
・で、「センス」って何だろう?
・本作を読んだ人が「センスがよい★」と感じるのはなぜか?どこからそう感じるのか?……解き明かしていこう!
・第1の要因は「キャラとキャラ同士の関係が複雑!」。
三葉「本記事では第2、第3の要因をご説明します」
清水「承知しました」
三葉「それではまいりましょう!」
【センスがよいポイント②】キャラの些細な言動に強烈なリアリティがある★
清水「ふーむ、なるほど!」
三葉「以上が2つ目の要因です」
清水「確かにメチャクチャリアリティがありますね」
三葉「ですよね!ストーリーの本筋にリアリティがあるのは当然として……それにとどまらない!ほんの些細な1コマ、1つのセリフにも上述のようなリアリティがある!」
清水「ふむ!」
三葉「コレがすごいと思うんですよね」
【センスがよいポイント③】セリフが哲学的★
清水「ふむふむ!」
三葉「コレが3つ目の要因です」
清水「なるほど。確かに哲学的な香りが漂うセリフですね」
三葉「でしょ!」
清水「何よりも、肩肘張らず、ストーリー中にさりげなく登場するのがよい!」
三葉「そうそう!例えば『ラスボスとの戦い』のようなここぞという場面に、もったいぶって登場するのとは対称的な……このさりげなさ!」
清水「ふむ!」
【センスがよいポイント】まとめ
三葉「さて、最後に以上3つの要因を整理しましょう」
三葉「……というわけで!」
清水「はい」
三葉「『センスのよいマンガ』を目指す方は、本作を参考に、以上3点に配慮するとよいのではないかと思う次第です」
清水「ふむ!」
------
【補足】完璧なバランスを保ったキャラデザ★
三葉「補足のコーナーです!」
清水「はい」
三葉「清水さんがどうしてもキャラデザに言及したいとのことで」
清水「ええ」
三葉「伺いましょう」
清水「ここまで見てきた通り、本作はストーリーもキャラ設定も大変見事なのですが……」
三葉「ふむ」
清水「同時に、キャラデザのバランスがまた素晴らしいと思うんですよ」
三葉「ほぉ」
清水「いえね、マンガやアニメの世界には『ブス』『ドブス』『ブサイク』『この世のものとも思えぬ相貌』なんて設定のキャラは一定数いますが、では彼らのデザインはどうなっているかというと……」
三葉「なるほど。絵を見る限りでは、大してブスではない、と」
清水「そうそう!『私はブスだから』と落ち込んでいるキャラを見ても、『いや、お前ふつうじゃん?』と感じてしまうんですよね」
三葉「あー、確かに」
清水「では醜悪さを極めればよいかというと、それはそれで問題があるでしょう。特にヒロインの場合、やはりどこかしらに親しみやすさとか、かわいらしさのようなものがないと読者はついてこない」
三葉「ふーむ」
清水「その点、ミヤのデザインはすごい!」
三葉「ふむ!」
清水「このカバのような顔!じつにブス!」
三葉「昔、ファミコン用ソフトに『ワギャンランド』というのがありました。主役はワギャンという緑色の怪物なのですが……私、初見時にはこれを想起しましたね」
清水「ほぉ……『ワギャン』。聞いたことがあるような……どのようなキャラでしたっけ?」
三葉「ケロロ軍曹をもう少し化け物っぽくした感じというか……うん。緑色のカバのような怪物ですね」
清水「なるほど」
三葉「ふむ」
清水「とまぁ、そんなミヤですが」
三葉「ええ」
清水「その一方で不意にかわいいと感じるシーンもあるんですね」
三葉「ほぉ」
清水「北見が無邪気な笑顔を見せたり、ミヤの好きなものに関心を示したりするシーンです」
三葉「ふむ!4話、あるいは10話ですね」
清水「そう!特に4話!不意に『恋する少女』風の表情を見せるミヤ♥」
三葉「あー!アレはグッとくるものがありましたね」
清水「そうそう!『じつにブス!しかしかわいい……気もする……』という絶妙なバランスを保ったキャラデザだと思うのです」
三葉「なるほどねぇ」
清水「すげぇ!」
------
【追記】本作の作者・まの瀬さんがコメントしてくださりました。私は!猛烈に!!!嬉しい!!!
------
関連
------
最新情報はTwitterで!
------
最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)