彼女は生き延びるためにシスコンになった|『未確認で進行形』(10)
本記事は、アニメ「未確認で進行形」を徹底分析する特集の……第10回である★
第1回からご覧になることをオススメします!
今回のテーマ!
第9回では、紅緒の「人となり」をざっくりご紹介した。
今回も……紅緒!
彼女の「シスコン」っぷりをより深く理解するための考察を行う。
※右から2人目:紅緒。
【1】紅緒が強烈な自責の念を抱くまで
本記事では、紅緒の「シスコン」っぷりを徹底的に考察するのだが……さて!
まず、「紅緒はなぜシスコンになったのか?」というところから考えていこう。
そもそも、紅緒は生まれついてのシスコンではない。
ある日、ある出来事をきっかけとして、彼女はシスコンになったのだ。
そしてこの「紅緒がシスコンになるまでの経緯」は、2つのフェーズに分けて考えると理解しやすいと思う。
まずは、第1のフェーズ「紅緒が自責の念を抱くまで」を見てみよう。
※紅緒。
【2】「自責の念」が「シスコン」に変化するまで
ここまで、「幼い紅緒が自責の念を抱くようになった経緯」をご説明してきた。
この「自責の念」がその後どうなったのか、作中では明言されていないが……おそらく、これこそが「紅緒がシスコンになった原因」だろう。
それでは、第2のフェーズ「『自責の念』が『シスコン』に変化するまで」をご説明しよう。
以上、「『自責の念』が『シスコン』に変化するまでの経緯」をご説明した。
つまり、敢えて悪く言うならば……紅緒は「自分(の心)を守るために、『私は妹を死ぬほど愛している』と、自分と周囲を騙した」のだ。
※補足:「騙した」とは言っても、それは無意識に行われたものである。紅緒自身は、「自分が欺いた」ことを自覚してはいないと思われる。
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元々……紅緒は小紅を大切には想っていたが、「シスコン」というほどではなかった。
上述の引用文を再掲すると、「妹はかわいかったけど、どこにでも付いてきて、私は姉だから面倒見なきゃいけないし……たまには友だちだけで遊びたかった」というわけだ。
つまり!
紅緒は生まれつきのシスコンではなく、小紅の事故をきっかけに「シスコンになった」のだ。
※最愛の妹にみとれる紅緒。
【3】紅緒の愛の対象が拡大するまで
以上、「紅緒がシスコンになるまでの経緯」をご説明してきた。
しかし、話はまだ続く。
なぜなら、「紅緒は小紅だけを愛している」のではないのだから。
すなわち……第9回でご紹介した通り、彼女は真白のことも溺愛している。
それどころか、真白の母(見た目も中身も幼女っぽい)にも心動かされている。
そしてまた、見ず知らずの幼稚園児から「お姉ちゃん」と呼ばれて嬉しそうにするシーンも描かれている。
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逆に、「妹らしさのないキャラ」には心躍らないようで……例えば、こんなシーンがある。
小紅が、このはについて訊いたときのことだ(第7話)。
小紅「どんな人なんですか?」
紅緒は生徒会長、そしてこのは生徒会書記だ。
だから紅緒は、このはをよく知っている。
紅緒の答えは……一言「長女」
小紅「……えっ?」
紅緒「どうも妹っぽさがないなぁと思ったら長女らしくってねぇ。アハハ!」
このはは完璧超人たる紅緒を崇拝しており、紅緒に近づきたいがためにいまの高校に入学し、さらに生徒会にも入ったほどなのだが……一方の紅緒はどうも特別な関心を持っていないようなのだ。
なぜなら……そう!
妹っぽくないからだ。
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つまり!
紅緒の「シスコンの対象」は当初は小紅だけだったが、いまや「妹っぽいもの全般」に広がっているのだ。
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さて、ここで疑問が浮かび上がってくる。
一体なぜ、紅緒の「シスコンの対象」は拡大したのだろうか?
作中では理由は明言されていないので、これまた推測となるが……おそらくこういうことだろう。
つまり、「小紅を溺愛する姉」としてふるまう内に、「姉」であることが紅緒のアイデンティティとなった。
かくして彼女は誰に対しても「姉」としてふるまい、そして広く「妹っぽいもの」(例えば真白)を溺愛・庇護するようになったというわけだ。
※【補足】アイデンティティ:「私は○○である。○○をする人間である」といった自分に関する認識のこと。例えばある人は、「(妻にとっては)夫」であり、「(子どもにとっては)父」であり、「(会社では)課長」であり、「(親にとっては)息子」である。紅緒も同様に、「夜ノ森家の長女」「女子高生」「生徒会長」などのアイデンティティを持っているが……彼女は何よりもまず「姉」なのだ。「姉」として行動することが最優先になっている。
本記事のまとめ
※紅緒と、彼女の愛する「妹」2人。
補足
<補足①>
本記事では、紅緒を「シスコン」と称してきたが、もしわかりづらければ「妹萌え」と換言していただいてもかまわない。
<補足②>
第9回で詳述した通り……紅緒は、学校で多くの生徒の憧れの的となっている。
その慕われっぷり、そしてそれに対する紅緒の女神のような微笑み……これはつまり、彼女が生徒たちにとっての「(『大いなる母』ならぬ)大いなる姉」であることを意味している。
彼女は「みんなの姉」なのだ。
※グレートシスター・紅緒。
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(担当:三葉)