「釣った魚を調理するキャラA→まずは内臓や血合いを取り除く」というシーンを通じて、「表面だけを見て物事を判断してはならない=パッと見では上手くいっているように見えても、じつは内部に問題を抱えていることだってある」とAが考えていると示唆する ~アニメ「スローループ」の場合
◆概要
【「釣った魚を調理するキャラA→まずは内臓や血合いを取り除く」というシーンを通じて、「表面だけを見て物事を判断してはならない=パッと見では上手くいっているように見えても、じつは内部に問題を抱えていることだってある」とAが考えていると示唆する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「スローループ」(第3話)
▶1
本作の主要キャラの1人・恋(「こい」と読む、高1女子)。
ある日、
・Step1:友人のひより、小春とともに釣りキャンプに出かけた恋。
・Step2:ひとしきり釣りを楽しんだ後、3人は夕飯の準備をする。
夕飯を作りながら、やがて話題は親との関係に及んだ。
・Step3:じつは最近、ひよりの実母と小春の実父が再婚した。かくしてひよりと小春は義理の姉妹となり、両親を含む4人で暮らし始めたのだが……うーむ。
・Step4:小春は明るく元気で快活な少女だ。物おじしない性格をしている。ところが彼女はいまだに義母に敬語を使っていた。義母が善人だということはわかっている。しかし、どうにも距離を感じるのだ。小春は率直に言った「なんか、『よく知らないおばさんと暮らしてるなぁ』って感じなんだよね」。
すると、
・Step5:恋が言った「いいんじゃない?」「別に血がつながっていようが仲の悪い親子もいるし、子どもに無関心な親もいる」。さらに「……あんたたち、うちが仲いい親子って思ってるでしょ?」。
・Step6:ひよりと小春は声をそろえる「思ってます!」。実際のところ、恋とその父は大の仲よしに見える。
・Step7:が、恋は嘆息した「ハァ。隣の芝生は青いとはまさにこのこと……。よその家庭のことなんて表面的なことしかわかんないんだから。いいとこだけ見て、『自分たちもそうあらなきゃ』なんて考えちゃダメでしょ」。
・Step8:その言葉に、ひよりはハッとする。ひよりはまじめな少女だ。ある意味では、頭が固いとも言える。おそらく彼女は「早く『普通の家族』にならなきゃ」「早く『普通の親子』にならなきゃ」なんて考えていたのだろう。しかし恋の言葉を受けて、ひよりはつぶやいた「そっか。『こうしなきゃ』みたいなのはないのかな……」。
▶2
ご注目いただきたいのは、Step7である。
恋は言った「ハァ。隣の芝生は青いとはまさにこのこと……。よその家庭のことなんて表面的なことしかわかんないんだから。いいとこだけ見て、『自分たちもそうあらなきゃ』なんて考えちゃダメでしょ」。
恋とその父は一見すると大の仲よしに見えるが、実際にはいろいろあるようだ。
まぁそりゃそうだろう。
円満に見える家庭だって、いざ内側に入ってみると多々問題を抱えていたりするものだ。逆に、パッと見では不仲に見えるもののじつは良好な関係を築いている家庭だってあるだろう。
――「表面だけを見て物事を判断してはならない=パッと見では上手くいっているように見えても、じつは内部に問題を抱えていることだってある」というわけである。
とまぁ高1女子らしからぬ何とも大人びた発言をする恋だが、この時彼女は魚の内臓や血合いを取り除く作業をしている。
そう、釣りたてで新鮮、パッと見ではキラキラと輝いている魚といえども、その内側には内臓や血合いがある。おいしく食べるにはそれらを上手く処理してやる必要があるのだ。
以上をまとめると、【「釣った魚を調理するキャラA→まずは内臓や血合いを取り除く」というシーンを通じて、「表面だけを見て物事を判断してはならない=パッと見では上手くいっているように見えても、じつは内部に問題を抱えていることだってある」とAが考えていると示唆する】というテクニックが使われているわけだ。
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