「分離不安」と「巨乳にアッパー」!!|『Aチャンネル』に学ぶテクニック
アニメを研究して、創作に活かそう!
本記事では、「Aチャンネル」に「【不安を抱えるキャラ】の描き方」を学びます。
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作品概要
テーマ発表!!
本記事では、第1話「好き An April day」を分析します。
分析は、
・Step1:「三幕構成」を用いて、第1話のストーリーを整理する
・Step2:「三幕構成」を踏まえて、第1話のストーリーを要約する
・Step3:第1話で使われているテクニックの内、特に興味深いものを考察する
……という3ステップで進めます。
三幕構成
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ😻 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
【要約】結局どのような物語か?
<1>
本話で描かれているのは、ズバリ【トオルの不安】です。
「幼馴染で大好きなるんが、変わってしまうのではないか?(= 自分のもとから離れていってしまうのではないか?)」という【不安】。
これ、「分離不安」の一種と言えるでしょう。
<2>
本話には、「トオルが不安を覚えるシーン」が多数描かれています。
例えば……
・トオルが「るんちゃんと同じ学校に通える!」と歓喜して、るんの部屋を訪問 → るんは訳のわからぬ女とじゃれ合っていた
・るんは2年生、トオルは1年生。ゆえに教室が違う。同じ授業を受けることもできない。一緒にいられるのは休憩時間だけ
・学年が違うため、トオルはるんらの話題についていけない
こんな状況ですからね、トオルが【不安】を覚えるのも無理ありませんよね。
なお、るんとトオルの関係を「恋人(年の差カップル)」に置き換えてみると、トオルの【不安】をより理解しやすくなるかもしれません。
例えば少女マンガには、「年上の恋人においていかれてしまうのではないかという【不安(焦燥感)】を抱える女性主人公」がしばしば登場します。
<3>
そしてそんな【不安】を抱えるトオルに対して、るんが言った「変わってないよ、私たち」(第3幕)。
かくして、トオルの【不安】は和らぎます。
つまり本話は
・1:トオルが【不安】を抱く
・2:トオルの【不安】が強まっていく
・3:るんの言葉によって、トオルの【不安】が和らぐ
……という物語なのです。
なおトオルの【不安】は、完全に解消されたわけではありません。
トオルは第11~12話で再び強い【不安】に襲われることになります。
【テクニック】巨乳にアッパー!
<1>
本話には、「トオルがユー子の巨乳にアッパーを入れるシーン」が3回登場します。
いずれのシーンでも、ユー子は悲鳴を上げる。
るんは「あの2人は本当に仲がいいねぇ」と能天気なことを言う。
ところが……ここでご注目いただきたいのはナギ。
ナギの反応を整理してみましょう。
・【1】第2幕前半:能天気なるんに対して、「違うだろ」と呆れる
・【2】第2幕後半:ここでもやはり、能天気なるんに対して呆れる
・【3】エンディング:能天気なるんに対して、「そうだな」と同意する
ご覧の通り、3回目にしてナギの反応が変化しているのです。
<2>
さて、この「反応の変化」、これは一体何を意味しているのでしょうか?
すなわち……
・1:トオルは【不安】を抱え、ユー子を敵視していた
・2:しかし上述の通り、るんの「変わってないよ、私たち」という言葉によってトオルの【不安】が和らいだ
・3:その結果、トオルはユー子とナギに心を開き始めた(同じ「巨乳にアッパー」ながら、それまでのような「敵意」は感じられなかった)
・4:だからナギは、るんの言葉に同意した
そう、ナギの反応の変化は、「トオルが心を開き始めたこと」を示唆しているのです。
「貧乳キャラ(トオル)が、巨乳キャラ(ユー子)の胸にアッパーを入れる → 巨乳がぶるんぶるん震え、巨乳キャラが悲鳴を上げる」というサービスシーンを使って、「トオルの心情の変化」を示唆する……!
上手いやり方ですよねー!!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)