岸よいさか

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    映画、ドラマ、本などを見た感想まとめ。

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『KILLAH KUTS』右翼左翼ゲームを深読み〜水ダウどうなるのかな

Amazonプライムで配信中の『KILLAH KUTS』。手掛けたのはTBSの俊英プロデューサー藤井健太郎氏。お笑い芸人を使ってバラエティとしての体裁を保っているが、お笑いよりむしろこういう状況に置かれた人間はどうするのか?という人間観察としての側面がフィーチャーされたシリーズだった。 その中からEP3「右翼左翼ゲーム」が面白かったので、書いてみようとおもう。漫才コンビのウエストランドときしたかのが両チームに分かれてどちらが早く東京タワーにたどり着くかを競うが、道中の交差点

    • 映画『ナミビアの砂漠』感想 好きになれなくてよかった

      空虚で無意味で白けている。しかし軽やかで躍動感がある。主人公が診断される病気と同じように、この映画全体が躁鬱を繰り返している。全然こちらが予想している方に行かない展開と、まったく解決しない目前の問題と、ひたすら冷静さを欠いたコミュニケーション。 僕はこの主人公にまったく共感できないし、共感できてしまえなくてよかったと今のところ思っている。同様にこの映画も全然好きではないし、好きになれなくてよかったと思っている。こういう作品に正当な評価を与えたカンヌは凄いし、映画評論家は大変な

      • ReHacQ『村上隆vs斎藤幸平シリーズ』感想

        テレビ局のプロデューサーだった高橋弘樹氏が独立して立ち上げたYouTubeチャンネル「ReHacQ」の中で全4回に渡って配信された村上隆との展覧会巡りと対談のシリーズがめっぽう面白かった。あらゆる物の見方が根本から変わるかもしれないとさえ思った。自分の視野はなんと狭いものだったのか。 そもそも彼がこれまで何をしてきたのか、どのようにして今のポジションを築き上げたのかまったく知らなかった。元々あの萌え絵のトーンが苦手な性分もあって秋葉原のオタクカルチャーとは意識的に距離を取っ

        • もはや令和の教育ドラマ~『新宿野戦病院』感想

          先日最終回を迎えた『新宿野戦病院』。主人公の女性がだいぶエキセントリックなキャラだったせいか序盤で脱落した人が多かったみたいでクドカン脚本の割にあまり話題にならなかった気がするけど面白かった。 何よりこのドラマにおいて私が好きだったのはいわゆるストリートナレッジ(street knowledge)が詰まっていたことだ。学校や塾では教わらない経験や勘によって培われた知識を広く紹介していた。NPO法人は何をする場所か。警察はどこまで介入できるか。最新の法整備は。DVや虐待を受け

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          知る由もない身長の話

          昨日(8/17)の『オードリーのオールナイトニッポン』で身長が大きすぎる男はウケにくいという話をしていた。ザ・ギース尾関さんの身長が189cmあり、お笑いライブで2世代くらい下の若手にそのことをイジられるノリが発生しているとのこと。 それを聞きながら、このトークを完全に他人事として聞いている自分に気付いた(私が芸人ではないことを差し引いたとしても)。 なぜなら私の身長は178cmで、この手の話題に取り立てて何のコンプレックスも共感も感じないのである。確かによく「ちょうどいい

          知る由もない身長の話

          またこういうのかと密かに落胆しながら 『地面師たち』感想

          前置きとして韓国ドラマの話を。 素晴らしい韓国の映画やドラマはいくつもある。例えば『新感染』も『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』も『モガディシュ 脱出までの14日間』もめっぽう面白かった。 でも、わかりやすい会話やステレオタイプな展開で話の大枠をセットアップしていくパートが非常に大味かつ強引でリアリティに欠ける部分が多く、そこでいつも心が離れてしまう。視聴者や観客にこういう感情になってほしい、という制作者の思惑がドバドバ漏れ出ており、素直に泣いたり驚いたりしたくなくなってしまうので

          またこういうのかと密かに落胆しながら 『地面師たち』感想

          Podcast『奇奇怪怪』6/26回感想~都知事選のはなし

          この4月くらいから聴き始めたビギナー豆豆豆!です。6/26配信回は本題から逸れた話が盛り上がり、TaiTan氏のすっかり疲弊した闇落ち寸前の心境がまるごと表出した回となった。 ・俺もう最近疲れちゃった ・尖ってます、際どいこと出来ますみたいな人もうしんどい ・良心的でスマートな人との会話を大切にしたい ・痛くない人と会話を重ねて時間を共有したい と冗談を交えながら正直な心情を吐露するTaiTan。玉置周啓氏がそこに都知事選の話題を接続させる。NHK党が公職選挙法制度をハッ

          Podcast『奇奇怪怪』6/26回感想~都知事選のはなし

          映画『チャレンジャーズ』感想、あるいは(脱線回顧録)

          いやーこれが現代最先端の性の描き方なのか。爽快感とドロドロの粘り気を同時に味わうような感覚でまあちょっと観たことのない1本でした。先のことなど知るかという終わり方も無茶苦茶で、酷いと言えば酷いよね。あの後どうなるんだろうあの3人。 というわけで作品解説は有識者の人たちにまかせて、勝手な解釈を書こうと思う。特にこのチャレンジャーズというタイトルの意味、当然テニスの「ATPチャレンジャーシリーズ」の名前から取っているわけだが、監督ルカ・グァダニーノによる映画界、引いては現代社会へ

          映画『チャレンジャーズ』感想、あるいは(脱線回顧録)

          岡村和義 LIVE TOUR 2024 “OKAZ TIME”東京公演2024.6.6. 感想

          珍しくライブに行ったのでせっかくだからちょっと書いてみようと思うのですがその前にまず岡村和義について話すうえでそもそもどっち派ですか、という立場を表明しないとこの先を語ることができない掟になっているとかいないとか。なので、僕は斉藤和義から入ったクチであることは先に言っておきます。 最初の出会いは御多分に漏れずポンキッキですが、ちゃんとその存在を知ったのはたぶん「大丈夫」をラジオで聴いたのが最初。そのあと「空に星が綺麗」「砂漠に赤い花」の連続シングルを好きになった順番だったと

          岡村和義 LIVE TOUR 2024 “OKAZ TIME”東京公演2024.6.6. 感想

          終始笑い飛ばして読むのが正解なのかしら~書籍『東京都同情塔』感想

          ある事象を言語化すると気分が楽になった経験が僕にもある。以前から僕は何か辛い物や熱い物を食べると全身や頭皮に蕁麻疹ほどではない赤い斑点が浮き出てかゆくなり汗をかくということがあり、しかし何も起きない時もあり、何がきっかけで発症するのかわからずにいたのだが、ある人から「それ、寒暖差アレルギーじゃない?」と言われ、そんな名前のアレルギーの存在を初めて知った。その後辛い物や熱い物を食べるときに意識してみたところ、急な温度差に晒されると起きるという原因を知ることができた。 目の前に

          終始笑い飛ばして読むのが正解なのかしら~書籍『東京都同情塔』感想

          信じて待つ〜映画『パスト ライブス 再会』感想

          実に地味で、淡くて、薄口だ。演出はとても抑制されていて、大きな起伏を意図的に避けている。再会のシーンなどもっと過剰に盛り上げることがいくらでもできるがそれをしない。2人の表情と「言葉がない」という言葉が雄弁に語る。24年ぶりに会うのにである。 そしてその再会のあとパスタを食べに行くシーンで非常に印象的だったのは主人公の2人ではなくその夫、アーサーである。個人的にはこのアーサーの振る舞いにこそグッと来た。そしてその行動はすべて正しいものだった。 彼は確かに揺れていた。自分の

          信じて待つ〜映画『パスト ライブス 再会』感想

          GLAY『ここではない、どこかへ』

          こんなnoteも書いておこうかなというお試しですがGLAYの話を。最初に言っときますが僕は全くファンじゃないです。ファンの人たちごめんなさい。以下基本情報を。 1999年8月25日発売「ここではない、どこかへ」は、GLAYの17枚目のシングル。のちに5thアルバム『HEAVY GAUGE』収録。フジテレビドラマ「パーフェクトラブ!」主題歌。 ミリオンヒットなので代表曲の一つではあると思うけど、他にも彼らのヒット曲はたくさんありすぎて、時代と共に埋もれていった楽曲のひとつでも

          GLAY『ここではない、どこかへ』

          今月のコーヒー/EL TRIUNFO

          ずっとサブスクで買い続け飲み続けていたのですが、ただ漫然とやり過ごすと忘れてしまうので記録しようと思いたちました。これはコロンビアの豆。南米の豆の方がアフリカのと比べて酸味が少ない気がする EL TRIUNFO COLOMBIA アプリコットやアセロラの果実味、オレンジティーのような華やかさ。 シロッピーな質感と甘み。 Apricot, Barbados cherry, Orange tea, Syrupy. エル・トリウンフォ このコーヒーは、アプリコットやアセロラのよ

          今月のコーヒー/EL TRIUNFO

          見るという行為の不可逆性〜映画『悪は存在しない』感想

          EVIL DOES NOT EXIST. 悪が存在しないとは果たしてどういう状態のことか。このタイトルこそがこの世に悪は存在すると宣言しているようにも思える。「私は嘘をつかない」と言う人間はその時点で嘘をついている、という矛盾と同じ構造がそこにはある。 この作品内で流れる時間感覚を観客は冒頭で理解する。不協和音を含むストリングスが森の奥深くへと我々を誘う。もうこのまま106分この映像が続くのもいいかな…と思ったところで物語は動き出す。 この監督の前作(劇場公開順は)『偶然

          見るという行為の不可逆性〜映画『悪は存在しない』感想

          例えば登校する子どもを朝玄関で見送るとき〜映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』感想

          例えば小学校へ登校する子どもを朝玄関で見送るとき、これが今生の別れになるかもしれない、とは考えない。頭をよぎる瞬間は常にあれど、考えないようにして我が子を家から送り出す。いちいち毎朝そこまで敏感になっていられないからだ。 でも、そうなる可能性は0.0数%かもしれないが確実にある。何かひどい犯罪や事故に遭ってもう2度と会えなくなる。その時きっと、あの朝の取るに足らないやり取りが最期になるなんてと後悔するに違いない。 例えばスマホで何かの契約にサインする時、上記全てに同意する

          例えば登校する子どもを朝玄関で見送るとき〜映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』感想

          ゴッドタン「SDGs大喜利」が僕らに与える希望

          2月10日放送されたゴッドタンの企画「大喜利お題選手権」。その中でも特に絶賛され優勝したのがケンドーコバヤシが考案したお題「SDGs大喜利」。 本人いわく、大喜利の解答はその日その瞬間に消えていくものなのでせめて今日皆さんから出た答えだけでも再利用できないか、とのこと。 解答者は既出の解答から好きなものを選び、答えが面白くなるお題を出題し直す、というルール。 これがいざやってみると全ての解答が見事に再利用され成仏していく奇跡が連発していて凄かった。打率10割でウケまくる展開

          ゴッドタン「SDGs大喜利」が僕らに与える希望