《注意集中に課題があるタイプ》のアセスメントとその支援の方法 その8 具体的な支援の方法⑦
「ユニバーサルデザインの授業法(どんな子どもにも分りやすい授業法)」の解説の続きです。
授業の流れの中で-4
16 指示は肯定的な表現を使っているか
否定的に指示されると、凸凹タイプは間違った行動をします。何もしていないのに、叱られたように感じるからです。次のような行動を取ります。
・指示内容を、聞いていないかのように無視する
・放っておいて欲しい感じで、わざと「してはいけないと、指示された
こと」をやる
「やるべきことを、こうやるんだよ」と肯定的指示してくれた方が、分かりやすいし、褒められたような気になってやる気になります。
例を上げておきます。
e.g. 「授業中は、トレイに行きたくなっても許可しません。授業の邪
魔になるからです。」
⇩
「トレイは、休み時間にいきましょう。授業中に行くと、みんな
の迷惑になるからね。」
e.g. 「問題は、1から3、3から6というように飛ばしてはいけませ
ん。急に難しくなって、困ってしまいますよ。」
⇩
「問題は、順番にやりましょう。段々難しくなっていくからね。
飛ばすと、急に難しくなっちゃうよ。注意してね。」
e.g. 「テストの回答は、汚い字で書いては損です。先生が読みにくい
と、先生はペケにします。読めないのは、間違いと同じだからで
す。」
⇩
「テストの回答は、きれいな字で書きましょう。頑張ってきれい
に書いていると、チョトくらいおまけしてしまうかも…。」
17 「 指示ができたかどうか」を確認しているか
(やらせきっているか)
指示を出すというのは、一大決心です。指示は「~してください」と命令しているのですから。だから、指示したからには、すべての人に行き渡って実行させないといけません。そうでないと「命令に、従わなくてもいいですよ」とメッセージを出したのと同じになります、具体的に書きます。
「教科書48ページを開いてください」と指示を出したのに、全員が48
ページを開いているのを確認しないで授業を勧めてはいけません。次のようなことが起こります。
・指示を聞きそびれて、勉強についてこれない子がいる。先生は「失敗し
たのに、助けてくれないんだ」と思われて、信頼をなくす
・その指示に従わなくてよかったので、今後、指示にいっさい従わなくて
よいと取られて(0か100かの考え方)、権威がなくなる
18 課題を始めるとき、何をどれだけすればいいか
を 具体的に指示しているか
発達の凸凹タイプは「課題を始めるときに、終わりまでの見通しが立たない」ことをすごく嫌います。「暗いトンネルを、ライトを持たないで歩くみたいだ」と言っています。だから、次のような行動に出ます。
・いつ終わるか不安だ。だから、始めようとしない。
・先が見えないので、やる気が出ない。だから、すぐ止めてしまう。
そうならないよう、次のように指示します。
「計算ドリルの⑦を1から5までやりましょう。それが終わったら、先生の
ところ丸付けに持ってきてください。その後は、いつもの指示通り行動し
てください。」
課題を出したあと、条件を付け足してたり条件を替えたりしてはいけません。見通しが崩れるからです。やはり、課題が混乱して「始めない」「やめてしまう」が起こります。例をあげます。上記の指示の続きです。
「あっ、1から5じゃなくて、1から10の奇数番に変えます。終わったら、偶
数番をすることにしましょう。」
「えー!!」
19 早くできた子どもが飽きないように、何かを工
夫しているか
凸凹タイプは、課題が早くできたときの指示がなかったり、何をするかが決まっていないと「何をしてもいいんだ」と考えます。だから、自分で決めて勝手に行動をします。そして、叱られてしまうのです。これは《落とし穴教育》です。例えば、次のようなことを、悪気なくやります。
・立ち歩く
・お茶を飲む
・友達としゃべる
・宿題をする
・絵を書く、工作をする、本を読む
クラスの中の知的にレベルの高い子どもが、早くできて退屈で困ってしまうということも起こります。だから「課題が早く終わった子は、どうするのか」ルールを作っておきましょう。よくある例を書いておきます。
・絵を書く ・本を読む ・折り紙をする
・運動場に出て、遊んでもいい
・先生の用意した、クイズやパズルを解く
➪魔法陣みたいなものがいいでしょう
・先生の用意した、少し難しい課題に取り組む
➪どんぐり倶楽部のどんぐり問題をおすすめします。
続きは《その9 具体的な支援の方法8》に書きます。