《見たことをまとめるのが苦手なタイプ》のアセスメントとその支援の方法 その10 集団生活の支援の方法②
② 顔の表情、身振りから情報が取れないので、人の気持ちが分かりにくい。結果として、他人とのコミュニケーションがうまくいかない。
人に気持ちが分からないのも、クラスメイトとのトラブルになる大きな原因の一つです。うまくコミュニケーションしているつもりが、失敗して大きなトラブルになったりします。それが、積み重なるとコミュニケーションが苦手だと思ったり、人付き合いを避けるようになったりもします。
今回も、事例を上げて説明します。
C君は、D君と廊下でレスリングをして遊んでいます。C君が優勢でD君を抑え込んでくすぐり始めました。D君は笑いながらも「やめて、やめて」と楽しそうな声を上げています。
C君はそれを見て、くすぐりを一層強めます。D君は段々苦しくなってきて顔をしかめながら「やめくれ、やめろ!」と怒鳴っています。それを見たC君は、D君が「更に喜んでいる」と思い込んでくすぐりを続けます。
D君は、さすがに切れてC君を思い切り殴りました。C君はビックリして殴り返しました。それから、二人は先生が止めに入るまで殴り合いました。
D君は「初めは楽しかったけど、途中から苦しくなった。『止めて』と言っても、止めてくれないから殴った」と説明しました。C君にそのように伝えると、C君は「俺がなにもしてないのに、いきなりDが殴ってきた」「Dは楽しそうで、苦しそうでなかった。Dは、嘘つきだ」と言って受け入れなかった。
この事例も、二人とも病院行きになり、親が出てきて大事になりました。どんな支援をしてあげたらいいのでしょう。
「分からないなら、相手の気持ちまで聞いてしまいなさい」と「覚えて」で教えてあげることです。「見て分からないことは、聞いて理解しましょう」ということです。
上記のケースでも、2つの場面でこれを使えばよかったのです。
一つは、「やめて」から「やめろ」に変わった時。「あれ『やめろ』と言ってるけど、まだ喜んでいる?それとも、もう嫌になった?」と聞けばよかったのです。そしたら「ええかげんに、やめろ。やりすぎだ。プロレスでくすぐりは、反則だぞ」と答えたでしょう。
もう一つは、いきなり殴ってきときです。「なんで、殴ってくるんだ?」と聞けばいいのです。「初めは、おもしろかったが、やりすぎ。腹がたってきた」と答えてくれるでしょう。どちらも、大事にならずに「ごめん、ごめん」で終わったことでしょう。
➪「相手の気持が(顔や身振りから)見て分からなければ、気持ちま
で聞いていしまう」と覚えておきなさい
これがうまく使えるようになると「今から言うことで、嫌なことがあったら言ってね」とか「今、言ったことで怒ってない?大丈夫?」とか言うセリフを会話の中で使うようになっていきます。
少し変な会話になりますが、トラブルになるよりマシです。
【参考】「覚えて」という手法については、下記の記事を参照してください。