#29 目覚めが遅い街
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竹子は今、中国に住んでいる。
中国の広東省の、とある大都市とも言われる地域だ。
先が見えない程の高層ビルがそびえ立ち、地下鉄が隅々まで張り巡らされていてビュンビュン走っている。
熱帯特有の木々が道路の両端に植え付けられていて、街中を歩いているだけでも植物園に来たような、なんだか不思議と優雅な気分になる。
金融機関が密集している。
かと思いきや、ちょっと郊外に行けば、今度は工業団地に溢れている。
地元ワーカーはもちろん、ところどころ外国の方も見かけ、どこもかしこも活気でいっぱいだ。
広い中国から見ればほんの小さな場所だが、確実に経済のエンジンを回している。
そんな若さがあり、常に活発に前へ前へと進んでいる地域なのである。
ここに住み始めてもうすぐ一ヶ月になるが、一つ驚いたことがある。
タイトルにもあるように、この街は「目覚めが遅い」のだ。
同じ「大都市」と言われている東京であれば、朝4時台にはもう始発の電車が動き出し、6時台ともなれば街中には職場へ向かうサラリーマン達でいっぱいになっている。
だが此処はどうだ。6時になっても街中でほとんど人影を見当たらない。
始発の電車はなんと6時半。
7時になってようやく一部のコンビニがオープン。
あたりがざわざわと賑やかになり始めるのは、7時半から8時前後だ。
なんとも不思議な光景である。
「これ程の経済都市なのだから、さぞ朝も早いだろう」と思っていたが、大間違いだった。
今回中国に転職する際、実は周りから散々脅かされていたことがある。
所謂「狼性企業」が多いから、気をつけろとのことだ。
「狼性企業」というのは、その名の通り「狼のごとく、ガツガツ働く企業文化」のこと。
近いイメージでいうと「モーレツ社員」精神で、時間と健康を犠牲してまで仕事の為に必死になることだ。
よって「無事転職出来たのは良いものの、不運にもこういった企業に当たってしまったら……」ということで、メンタル弱めな竹子が倒れてしまうんじゃないかとかなり心配されたのだ。
ただ、これも杞憂に終わった。
私はめっちゃホワイトな会社にちゃっかり転職出来てしまったようなのである。
定時になると皆ぞろぞろと電気を消し、退社。
遅刻は基本厳禁だが、交通状況が悪い場合、前もって連絡すれば数分の遅れも許される。
住宅手当に食事手当(会社の食堂を利用した場合)。
加えて本業に影響が出ない範囲でなら、多少の自由行動もOK(資格勉強、敷地内散策など)。
こりゃもう強運としか言いようがない。
なので現状、割とストレスフリーに暮らせている。
今後の作業としては、まず会社から徒歩で行けるアパートを借り、より通勤の負担を減らすこと。
環境に慣れ、気持ちがすっかり安定したら、今後の目標を立てて語学などの習い事を本格的に再開すること。
創作活動を増やすこと。
等々。
特に「CATTI」という翻訳・通訳資格は絶対取ろうと思っているので、今後これに全力投球していきたいつもりである。
是非この街で、新しい自分を作り上げていきたいものだ。
📚新しい街の顔、新しい顔の私
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