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人生が10秒で決まる、100m走という競技の魅力を語る

僕は、無類の陸上好きである。
その中でも、王道の100m走が好きだ。

先日、パリオリンピックでも男子100mが行われました。

日本勢は準決勝でサニブラウン選手が自己ベストの9.96で走ったものの、全体10位のタイムで惜しくも決勝に進めず。

決勝レースを制したのはここ数年間短距離の王者に君臨し続けているノア・ライルズ。タイムは9.79で、2019年以来5年振りに自己ベストを更新。

大舞台で勝負強さを見せつけ、200mも制覇して短距離の二冠達成にも望みを繋げました(元来彼は200mの方が得意。バケモノです)。

2位は同じく9.79をマークしたジャマイカの新星キシェーン・トンプソン。ライルズとの差は僅か0秒005。
3位に続いたのは9.81のフレッド・カーリー(米国)。

今回決勝に進んだ8名は、なんと全員が9秒台をマーク。
しかも7名が9秒8台、8位だったオブリク・セビル(ジャマイカ)でさえ9.91。間違いなく、五輪史上最もレベルの高い100m決勝でした。

かつて9.58という異次元の記録をマークしたウサイン・ボルトが100m走の歴史を牽引してきましたが、当時の彼は圧倒的な王者でした。

他の選手を寄せ付けない、圧倒的な速さ。
彼を追いかけたタイソン・ゲイ、ジャスティン・ガトリン、アサファ・パウエルなんかは9秒6台後半~7台の記録を持っていましたが、試合において全員が実力を発揮することはごく稀なこと。

実際、ボルトが世界記録を出した2009年の世界陸上でも9秒台は上位5人のみ、9秒9を切ったのは上位3人(ボルト、ゲイ、パウエル)だけでした。

それが、今回の五輪では7人が9秒8台。
全員が実力を発揮しきり、ほぼ自己ベストに近いタイムを出しています。
ボルトのような圧倒的な王者はいないものの、間違いなく短距離の世界全体のレベルが向上している。それが良く分かりました。

サニブラウン選手の準決勝での走りも非常に見事なもので、従来の世界大会であれば準決勝の9.96は十分決勝に進めるタイムでした。
ましてや、世界の大舞台で自己ベストを出している訳ですからね。
中盤以降動きが硬くなったと本人が語ってましたから、おそらく9秒9台前半は出せる地力はあるのでしょう。
しかしながら、今回の五輪における決勝進出ラインは9.93。
実力をフルで出し切っても、決勝に届くかどうかは微妙なライン。
おそろしいまでにレベルが向上している。

僕は、100mの面白さは10秒ですべてが決まってしまうこの刹那感、儚さにあると思っています。
自己ベストを出すも出さないも、決勝に進むも進まないも、この後の人生がどうなるかもすべてが僅か10秒で決まる。

4年間の五輪に向かっての努力が、10秒弱のレース3本に全て集約されている。そう思うと、すごく熱量が凝縮された競技だと思いませんか。

ちなみに、今回男子100mを制したノア・ライルズ選手は無類のアニメ好きとして有名です。

試合で遊戯王カードを身に着け、優勝したらかめはめ波を撃つ男です。
日本大好きでかわいいので知れば知るほど推せます。皆さん200mでも応援しましょう。

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