見出し画像

最後にトヨエツが全部持っていく。Netflixドラマ「地面師たち」感想

和製クライムサスペンスの傑作誕生。

ということで、本日はNetflixドラマ「地面師たち」の感想。
正直、思った以上に素晴らしい出来でした。

”悪”が主人公の骨太エンタメ

この作品を一言で表現すると、『邪道なのに王道』。
まず、主人公がゴリゴリの犯罪者。
もちろん彼には犯罪に加担するようになった理由があるんですが、どんな理由付けがあっても地上波のドラマじゃこっちサイドの人は主人公にできない。

映画なら犯罪者が主役のもの結構ありますけど、それだと尺が2時間前後になる。
全7話もかけて犯罪者が主役のドラマをやれるっていうのは、本当配信限定作品の強みだよなーと思う。

内容的には、結構質実剛健なんですよ。
作中で起こる詐欺事件は2つだけ。
しかも、1つは言わば地面師たちの紹介に使われたようなもんなのでメインの事件は実質一つ。
7話を通して、ほぼ一つの事件を描いているので話がめちゃくちゃ分かりやすい。


音楽と演出がキレキレ

そこに対して、キレキレな音楽と演出が乗っかる。こんなクールな作品、日本でできるんだって驚きました。

まず、石野卓球氏による緊迫感溢れる音楽がサイコーです。
OPもEDもめちゃくちゃカッコ良いし、BGMも緊張感のある物語にぴったり。石野氏、ドラマの劇伴担当するの初めてらしいですね。めっちゃ意外でした。

地面師・不動産会社・警察という3つの視点を良い感じのバランスで見せる脚本もうまい。
登場人物は多いし、ややこしい業界の話なのにそれを全く分かりづらくせず、かと言って説明的でもない塩梅も良いです。

伏線回収の仕方や、登場人物の動かし方もめちゃくちゃ上手い。
作中で出てきた「ダイ・ハード」の話をハリソン山中(豊川悦司)が拾った時、マジで震えましたよ。
この感覚、映像作品を観てて久々に味わいました。
このシーンは本当、ぜひ観ていただきたい。


アクの強いキャスト、そして全て持っていくトヨエツ

めちゃくちゃ豪華っていうよりは、地上波では絶対実現できないアクの強いキャストを揃えるのがいかにもNetflixらしいです。

主人公を演じたのは綾野剛ですが、これだけのキャストの中で存在感を放ち、物語を引っ張っていくのは大変だったはず。
しかしながら、やっぱこの人って雰囲気がありますよね。
立っているだけで涼しげで、なんかカッコ良い。
淡々と丁寧に話していても、その中に悲しい過去や孤独感が見え隠れしている気がする。

そして、もはやネトフリ専属俳優とも言えそうなピエール瀧、リリー・フランキー、染谷将太の安定感。この人たちが出てたらもう間違いないんです。
それぞれ、完璧にイメージ通りの役が当てられてましたね。

小池栄子も、本当芸達者というか。MCもできるしダンスも上手いし、マジでこの人何でもできるよね。
あと、この人も顔が良いですよね。クセがあって頭に残るのに綺麗な顔立ち。

北村一輝は、あんなに顔も演じたキャラの個性も濃いのに綺麗に作品に馴染むのがうますぎる。
良い意味で空気のようで、演じているのが北村一輝であることを忘れてしまうぐらいのクレイジー具合を纏ってました。

山本耕史の昭和~平成で時が止まってる感とやられっぷりも最高です。
やっぱ、やられ役がうまければうまい程こういう作品は面白くなる。
この人、結婚後から役者としての評価がどんどん上がってるよね。
僕たちアラサーの青春・堀北真希さんも幸せでしょう(関係ない)。

池田エライザのフレッシュさ、クールさはこの作品の清涼剤的な役割。
アクの強いベテラン勢が多い中で、メインキャストで唯一の20代というフレッシュさが光る。

サブキャスト勢でいくと松尾諭、吉村界人、アントニーも良い味出してました。
特にアントニーが演じたオロチの無能感と憎めなさ、でも結局めちゃくちゃ自分勝手なところはキャラとしてめちゃくちゃ好き。人間としては最低だけど。笑

そして、圧倒的な存在感を見せつけたのがなんといっても豊川悦司。
途中までも十分パンチあったんですけど4話以降のフルスロットル感は凄いし、6・7話を観た後だと冗談抜きで彼のこと以外思い出せなくなる。笑

最初から最後までこの作品を支配していたのは彼だったんだとイヤでも思わせる存在感。この役は誰もできないでしょう。

珍しく褒めに褒めちゃいましたけど、ほんと面白かった。
しかも、こんなぶっ飛んだ話が実話ベースっていうのも驚き。
続編を狙わない割り切った終わり方も、これに関してはネトフリらしくなく好印象でした。

全7話完結ですが1話が短く、テンポもめちゃくちゃ良いのであっという間に観終わってしまいます。
一見の価値ありの作品なので、気になっている方は是非ご覧になってみてください。

いいなと思ったら応援しよう!