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エッセイ

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日常のあれこれについての記事です。 食べ物以外をまとめています。
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#読書感想文

読んだら散歩に行きたくなった

その本を読んでいたら、居ても立っても居られなくなった。 よし、私も散歩に出よう。 *** 健康やダイエットの本ではない。北大路公子さんの新著『キミコのよろよろ養生日記』である。 乳がんを患った北大路さんが、治療の過程で失ってしまった体力を取り戻すべく奮闘する日々を描いた1冊。背景は重たいが、文章はこれまでと変わらぬ”ゆるっ”とした軽快さで、まだ半分も読んでいないのにすでに何度もふき出してしまっている。 そう、まだ全然読了していない。散歩が登場するのは、北大路さんがが

『ポトスライムの舟』を読んで

先日、慣れない読書感想文を恐る恐る投稿したのだが、スキもコメントもいただけてすごくハッピーな気持ちになった。温かく出迎えてくださってありがとうございました。 それと同時に、やはり本に関心が高いかたが多いんだなあ、本いっぱい読んでですごいなあ、とこれまた初心者丸出しの感想を抱く。コメントでおすすめいただいた本も、もちろん私は未読だった。背表紙は見た記憶はあったけどね!(自慢にならないよ?)。 エッセイに比べて小説は読むハードルが高い。しかしお寄せいただいたコメントを拝見して

好きなエッセイの特徴

趣味と実益を兼ねていろんな人のエッセイ本を読んでいる。 私は小説よりもエッセイのほうに取っつきやすさを覚えるタイプなのだが、先日すごく苦手な雰囲気のエッセイ本に当たってびっくりしてしまった。 本全体にうっすら存在していたテーマ自体が合わなかったのがひとつ。それと、なんというか「この人はクラスで一緒になっても互いに関わらなかっただろうな」みたいな、ある種苦手意識を抱いたのだった。 その点、今読んでいる本はものすごくしっくりきている。 読書感想文が苦手な私が「ここ(not

ボーナスデーにおとっときの本を読む――『万感のおもい』

2月29日。 約4年に1度のうるう年。 過去3年間にはなかった1日。 もう2月が終わってしまう……2月少なすぎだよ……と愕然としていたが、昨年ならもう3月だったと思うと29日があることのありがたみをひしひしと感じる。 2月末の締め切りがあったのもあり、人生で1番うるう年が好きになっていると言っても過言ではない。毎年あってくれてもいいよ。なんなら他の月みたいに30日まであっていいんだよ(強欲)。 *** 昨晩見た「うるう年はボーナスのようなものだから好きなことしようぜ」

疲れた人に癒やしを届ける本

悩みを抱えた人が食事を通して道を開いていく、というような枠組みの作品を書店でよく見かけるようになって久しい。 大体ハッピーエンドになるのはわかっていながらも、前半の悲しい雰囲気で自分も落ち込んでしまうのでここしばらくそういう本は読んでいなかった。 しかし先日コミックエッセイの棚にふらっと立ち寄った際、とある表紙のおにぎりに惹かれてパラパラとめくってみたところ、お迎えせずにはいられなかったのである。 クマやゴリラといったキャラクターたちが、疲れて体力も気力も失いかけた人間

刺激をもらった本のみなさん+α

文フリではほとんど自分たちのブースにいたのだけど、少しだけ席を外してふわーっと回ってくることができた。その戦利品がこちら。 見本誌コーナーもあるし、とカタログをほとんど見ていなかったのだが、187ブース規模だし見本誌コーナーには冊数制限あるし出していない方々もいらっしゃるしで事前予習の大切さを痛感したのだった。 帰宅してから『ここに行きたかった!』というところが何か所もあったよ……みんなは気をつけてくれよな! お迎えした商品がどれも素敵だったので、ちょっと紹介させてくだ

イギリスの暮らしを覗く

地元にある小さな書店へ久々に足を運んだ。最近は大きめのところばかりだったので、ひょっとしたら1、2年ぶりかもしれない。 懐かしさに浸りながら棚を眺める。するとすぐにビビッとくるものに出会ってしまった。こぢんまりしているからこそ巡り会えるというのもあるし、ここの品揃えやレイアウトも素敵なんだろうな。 今回一目惚れしたのは『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし365日』(江國まゆ)である。 紹介文にあるように、上半分が写真・下半分が文章という絵日記(写真日記)のようなレイアウ

本棚に常駐させたくなった、「玉手箱」

とある小説を探しに、図書館を訪れた。 その本はめでたく発見されたが、せっかく来たのにそれだけでは味気ないと、他の棚もついでに覗いていく。 こういうとき、エッセイコーナーは必ずと行っていいほど立ち寄る。ここんところ、図書館に行くのはエッセイ本を探すためか、ほかの本を選ぶついでにエッセイを探すという2パターンだ。 現在行きつけの図書館はこぢんまりしているが、エッセイというカテゴリーによるものなのか、そのときの心の具合によって目に入りやすいタイトルが変わってくる気がする。その

熱意がページ数に勝利した

飛龍伝、読み終わりました。 (いかにも。) 予想以上のハイスピードさに自分で驚いている。2日で読み終えるなんて思っていなかったのだ。 前回も言ったように、私が観たかった舞台の原作というのが、『飛龍伝』を読む動機になっている。本当にただそれだけだったので、ここで描かれている学生運動(70年安保)についての知識は皆無に等しく……あ、ちょっとあらすじ引用しますね。 ちなみに、主人公の神林美智子は、実際に60年安保闘争で命を落とした樺美智子がモデルになっているとかいないとか。

プーさんのおかげです

昨日、久しぶりに前のめりで読めた新書をご紹介した。 本が読めない、というか開きたくない時期が定期的に来がちな私。しかし、実はこの新書を読む前にも文庫を数冊読んでいた。どうした自分。急に読みだして。 ……プーさんのおかげかもしれない。 (過去記事ばかり挙げてごめんなさいね) 背伸びせず、今の自分が読める本、読みたいと思える本を大事にしようと思った。それが『クマのプーさん』だった。文章は柔らかく、キャラクターたちはみな個性豊かで愛らしい。 私はディズニー版も観たことがな

国語辞典を作る人たち

私は昔から、頻繁に国語辞典を引く子ではなかった。 小学生のときに初めて買ってもらった辞書は、小学生向けコーナーに並ぶなかから見やすさや触り心地を比べながら選んだ。そのおかげで自分の好みに合うものを持てていたが、最後までほとんど新品同様だった。 ***** いつからか母のおさがりの辞書を使いだした。三省堂国語辞典の第三版。文庫本とほぼ変わらない大きさなのでフィット感がいいし、棚から取り出してめくるという動作を気軽にできるのもよかった。 小学生のときの反省……ではないが、

お腹は空く、でも心は満たされる

ついこの間まで作家である坂木司さんの印象は、「かの有名な『和菓子のアン』の作者」そして「すごく筆が早い方」という2点だった。お名前とご活躍は知っているが、本を読んだことは無かった。申し訳ない。 しかし、ある1冊の本を読んでからは、上の2つを差し置いて「お菓子に真剣に向き合う気さくな方」というイメージがトップに君臨したのである。 『おやつが好き』文藝春秋、2019年 単行本:1375円(税込) 文庫:737円(税込) エッセイが好き、かつ食べること、特にお菓子が好きという

物作りって大変で、だけど面白い。

最近、図書館の児童書コーナーにハマっている。昔からわかってはいたけども、私はいわゆる大人向けの書籍コーナーにいるよりも、こっちの方が性に合うみたい。手に取るスピードも、借りる冊数も全然違うもの……。 そんな中で、今回特に「これはすごい!」と思った1冊を紹介させてください。 パンダ広告社に勤める主人公、本田パンダは5年目のコピーライター。彼の視点から、広告作成のあれこれや、言葉と格闘する様子が描かれていく。 小学4~6年生向けとは書いているが、広告会社及びコピーライターの

「ひきこもり」が功を奏したグルメ

旅行はなかなかできないが、意外と近くで名物に出会えることがある。 それはスーパーマーケット。気付くと沖縄フェアや関西フェアなど、本来はその土地に行かないと買えないであろう食品を気軽に見ることができる。百貨店での全国物産展も開催されない中、より身近なスーパーでちょっとした旅行気分を味わえるのはお得とも言える。 しかし、買ったことは……ほぼ無い気がする。スーパー=日常生活のものを買う場所、というスタンスなため、単価が安いとは言えない名物品はよっぽどのことがない限り買えないのだ