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Mizunoto-i
2023年9月30日 11:12
(↑前編 ある密かな恋⑦はこちら)マナは強気でボーイッシュなところがあった。そこは好きなポイントの一つだったのだが、屈託のない笑顔や、ほどけた髪が好きだった。特にいつもポニーテールやツインテールなどで、髪を束ねていたことが多かったから、髪を下ろしたマナの姿と出会えた時は、何か心が踊るというか、特別なものを見ることができた気分になった。どういう流れだったのか詳しいことは忘れたが、マナと仲の
2023年9月24日 11:06
(↑前編 ある密かな恋⑥はこちら↑)マナについて印象的な思い出の1つに、6年生のときのある日の給食があった。そこからマナに対して僕は本氣で惚れたのかもしれない。確か5月頃だったように思う。僕とマナは同じ班になった。確か席も隣か前後だったと思う。マナと間近に居た日々。不思議と記憶が薄い。もしかすると刺激が強すぎたのかもしれない。6年と書いたがもしかすると、5年のときだったのかもしれな
2023年9月24日 10:15
(↑前編 ある密かな恋⑤はこちら)マナに関して現存する写真は、学校配布のドットの粗い卒業アルバム。カメラ屋が撮った若干ピンぼけたもの。親の撮った焦点のあってないもの。一歩踏み出して、どうしてマナと一緒に写真を撮らなかったのか。残しておかなかったのか。いまになってもそんなことを感じさえするのだ。勇氣というのは一体何か。武道を学んで久しいが、実はどんぴしゃに好きな人に何ができるのか。
2023年9月20日 23:49
↑前編(ある密かな恋④)はこちら↑団地のエレベータマナと僕は同じ公営団地に住んでいた。公営団地が並んだ下町に住んでいたが、住んでいる棟も同じ。比較的高層の公営団地で、エレベータがあった。だからマナと下校時などにエレベータで一緒に乗り合わすことがあった。僕が7階。マナが8階だ。かけひき小学校からの帰り道。マナが先に下校していて、僕の前に居たら気づかぬように歩みを早める。逆
2023年9月18日 13:53
↑前編(ある密かな恋③はこちら)↑ 彼女のことを異性として意識したのは、5年生のときだったと思う。同じ団地に住んでいた彼女。僕が階上へのエレベータを待っていた夏休みのある日の昼下がり。エレベータから彼女が出てきた。おろされたツヤのある黒い髪。サイドに光る金色のピン。横顔。サラッと吹き抜ける香り。後姿。全てがスローモーションになって…目を奪われた。普段あまりしない髪を下ろすスタイルと
2023年9月17日 15:26
↑前編(ある密かな恋②)はこちら↑運動会の組体操の練習。9月の暑い日。色濃く、その頃の土埃、汗の匂い、感情を伴って色濃く思い出される。彼女はロングヘアスタイルだったが、普段は髪の毛を束ねていることが多かった。普段髪の毛をおろすことが少なかった分なのか、彼女が髪の毛をおろすとがらっと女性っぽくなり、鼓動が聞こえるくらいに胸が鳴った。9月のその運動会の練習の日。彼女は珍しく髪を下ろして
2023年9月17日 09:18
↑前編(ある密かな恋①)はこちら↑近いのに限りなく遠く思え触れたり、長時間話すことさえ叶うことはなかった。一言あいさつを交わすだけで、すべての世界の幸せを手にしているように思えた。その時間があっという間に過ぎたあとも、からだ全体がぽかぽかしている感覚になった。何かに熱くなるとか、熱中するとかいうけれど、あのときの感覚を再現できるのであれば、何を引き換えにしてもいいとさえ思える。世
2023年9月10日 23:39
サラリと風になびく髪、髪をかきあげる仕草、結わえる仕草、後ろ姿。すべてが印象的で、自分の瞳にずっと閉じ込めていたい気持ちに駆られてしまった。そこに居る他の男子が邪魔に思えた。笑いかけている人がうらやましくてたまらなかった。自分はそれをブラウン管に映るもののように感じ、まるで清純で触れてはいけないもののように思っていた。触れればチョウチョの羽根のように繊細でつぶれてしまいそうな。そんな気