変な人 (43)大江戸線の、お針子ばあさん。
そのばあさんは、とても熱心に針仕事にいそしんでいた。
しかし、それは電車の中だった。
打ち合わせに出かけるために乗った大江戸線でのこと。
私の前の席が空いた。
「おー、ラッキー」と腰掛ける。
座席の位置は扉から2番目。一番扉側の端の席には年配の女性が座っていた。
そのばあさんの動きがおかしい。
膝の上のトートバックは大きく口が開かれている。
ばあさんはその上に両手を置き、何かを抱え込むようにして、しきりに手を動かしている。
横目で見ると、手元にはハガキ大