【短歌十首】車椅子の風景その2
スロープの入口塞ぐ自転車よ置いてやろうか檸檬を一つ
自由とは善意の人らに階段を運ばれるより一つのスロープ
独りでもすいすい歩ける街・駅の厚意の無関心ここち良し
車椅子で良かったこと? 特にない、推しが覚えてくれる以外は
爆音を浴びて拳突き上げれば立ち上がれそうなライブ会場
五階から10.0で着地する夢の中では我は超人
「迂回しろ」「次の次の電車を待て」マジョリティの世は悪びれもせず
届かない横断歩道の押しボタン押して去る人今日のヒーロー
私のは小回り利くのよ見も知らぬチェアウォーカーに心中マウント
エレベーターの鏡を正規用途で見たことなくてごめんなさい
短歌集『車椅子の風景その1』はこちら
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