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架空旅行記A

15
忙しない日常における現実逃避行。旅に行く暇もないので脳内にて旅をする、その旅行記です。どうなることやら、自分にもまだよくわかっておりませんw
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記事一覧

架空旅行記A#15

架空旅行記A#15

「えっ?た、食べ物ですか?えっと、なんかあったかな…?ちょっと待ってくださいね…。」

この時、
私の頭の中には2つのことがよぎっていた。
ひとつはバックパック。
私はこれもライブハウスに忘れている。
何かないかな?と思った時に
その存在を思い出したのだ。
確かに空にしたバックパックを
ホテルから持ち出していたはずだ。

買い物をするために
買い物袋として持ち出していた。
だが空腹のため頭がまわら

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架空旅行記A#14

架空旅行記A#14

…どれくらい歩いただろうか?
私は今無性に腹が立っている。
なにが、実に晴れやかだ、なのだ。

弘大から約1時間くらい歩いたところで
私は喉が渇き、ちょうどEDIYAがあったので
アイスコーヒーを買って飲みながら
さらに行くあてもなく歩いた。
秋とはいえ、
やはり小一時間も歩くと汗ばんでくるし
ちょうどいい気候でとても心地がよかった。

と、ここまでは良かったのだ。

その後、
旅だということで勇

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架空旅行記A#13

架空旅行記A#13

グツグツと煮え立つ鉄鍋。
白濁とした鶏のスープ。
薬膳がたくさん浮かんでいて
匂いがすでに美味しい。

広々とした店内右手の小上がり。
座敷席に我々六人は
胡座をかいて座っている。
友人はやはり常連な様子で
親しげに挨拶をしてから
六人分の参鶏湯を注文した。

程なくしておかずの皿が
たくさんやってくる。
キムチやカクテキ、
ニンニクや青唐辛子などだ。
Gが全員分の水を注ぎ
ひと口飲んで各々ため息

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架空旅行記A#12

架空旅行記A#12

「痛ててててて…。…寒っ。」
ここはどこだ?
とにかく寒くて体が痛い。

目を開けると目の前に
薄汚れたスニーカーの底が見えた。
ああ…そうか。
BENDERだ…。

コンビニ前にてVとたくさん話をした。
去年彼の父が亡くなり
家業を継ぐことになったこと。
Dとは小学校からの幼馴染であること。
仕事を継いだら今のようなペースでは
活動ができなくなる事。
最近別れた彼女のことも
教えてくれた。

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架空旅行記A#11

架空旅行記A#11

警察沙汰の大騒動を乗り越え
私たちはBENDERに戻っていた。

2つのテーブルにメンバーが2人ずつ座り
私と友人はその様子を見守るように
腕組みをして立っていた。

我々が止めに入った後、
何故だか責任者扱いをされ、
まあこっぴどく叱られた。
檻の中で一晩過ごすか、
しっかり監督するかどちらかだぞ!と。

何故、止めに入った我々が
檻の中なのだ…。
とは思ったが
まあ皆、頭に血が昇っていたのであ

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架空旅行記A#10

架空旅行記A#10

レコーディングの片付けを手伝いながら
私はある事に思い当たっていた。

今朝見た悪夢の
あの私の前に出ていたバンド、
あれはこの彼らじゃなかろうか?
なんだかそんな気がしている。
いや、きっとそうだろう。
演奏は入ってこなかったものの
どこかで見たような気はしていたのだ。

デジャヴだな…。
完全に予知夢だ。
やはり今日、私はこの弘大の街に
呼ばれていたのだろう。
そうに違いない。

自分の片付け

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架空旅行記A#9

架空旅行記A#9

不思議なもので
私は米や麺以外、
例えばパンやハンバーガーなどを食べた後は
割とすぐにお腹が空く。

私にとっては
何故だかあまり腹持ちがよろしくないのだ。

南大門からソウル駅まで一駅分歩き
そこから電車に乗り
弘大入口駅にやってきた。

なんとなく靴でも見てみようかな?
と思い大通りを歩き
二つ目の角を曲がり
何軒か靴屋を眺めていたら
突如腹が減ってきたのだ。

今はまだおやつ時をまわったくら

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架空旅行記A#8

架空旅行記A#8

韓国は弘大。
そこにあるライブハウスBENDER。
薄暗いステージ横の控え室にて
私はそわそわしていた。

もうすぐ出番なのだ。
私の前のバンドが
歓声と共に演奏を終え
楽屋に戻ってくる。

おつかれさまでしたー!
がんばってくださいー!

緊張感が高まってゆき
冷や汗がじわっと出てくる。

クラシックギターを持ち
ステージへと上がり、
椅子やケーブルをセッティングして
確認の為に音を出す。
ポロ

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架空旅行記A#7

架空旅行記A#7

はぁ疲れたっ!
複数のショッピングバッグを
ベッドにどさっと置く。
デスクが部屋の奥側にあることから
手前のベッドを荷物置きにすることを決めた。

明洞に戻る電車内で思ったのだ。
あ、明日着る服もないかもしれない、と。
色々と買う心づもりで来たものの
さすがに下着類だけはやりすぎた。

明洞に着いて
とりあえず、とアディダスに向かい
トラックパンツを購入した。
黒に白いラインの、
サイドボタンがつ

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架空旅行記A#6

架空旅行記A#6

店内へ入ると
コンクリートの床に
真っ白な空間が広がっていて
左手にレジがある。
2〜3人の店員が忙しなく何かをしていた。

反対側の壁には一点物の作品のようなものが
いくつか展示されていてとても印象的だ。

その空間を通り抜け奥へ進むと
これまたコンクリート張りの床の、
展示会の会場のような趣きの売り場がある。
広い空間を取り囲むように
壁面にハンガーラックやトルソーや棚が並べられ
大きな窓もい

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架空旅行記A#5

架空旅行記A#5

地下鉄の階段を下りながら
私は悩んでいた。

Tマネーカードを買い使うべきか
はたまた一回一回切符を買って乗るべきか。
TマネーカードはいわばSuicaのようなものだ。

その都度切符を買うのはまあ面倒だ。
しかし階段を下ってしまっている今
カードを買うにはまた地上へと
戻らねばならない。
Tマネーカードはコンビニなどで売っているのだ。駅構内でも買えるらしいが、
何故だか駅のTマネー自販機は販売を

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架空旅行記A#4

架空旅行記A#4

その辺の路地で煙草を吸っている。
この街に喫煙所というものは
なかなか見当たらない。

煙草を吸いながら見渡してみると
案外吸い殻がたくさん落ちている。
なるほど、皆困り果てて
こういった路地に逃げ込むんだろうな。

時刻を確認するとPM2:54。
もうホテルに入れそうだ。
携帯灰皿に煙草を捨て
ホテルへと向かう。

途中コンビニがあったので
立ち寄り店内を物色する。
GS25だ。
韓国のコンビニ

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架空旅行記A#3

架空旅行記A#3

アンニョンハセヨー
あの…チェックインしたいのですが…?

私は大して話せもしない
英語で問いかける。
これには理由がある。

韓国語は少ししかわからない。
でもチェックインくらいは出来るかもしれない。
しかし安易に韓国語で問いかけた場合、
向こうも勿論韓国語で応えてくる。
そうするとなんというか身構えてしまい
よくわからなくなるのだ。

なのでお互いの母国語ではない
英語で、チグハグながらも会話

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架空旅行記A#2

架空旅行記A#2

機内がガタガタと騒がしくなり
目を覚ます。

何事か?と目を擦ると
どうやら機内食の時間のようだった。

細い通路を忙しなく動き回るCAさん達。
手慣れた様子で次々と配膳していく様を
手際がいいなぁと
惚れ惚れと見ていると
自分の順番がやってきた。

ビーフオアチキン。
まあ大体これだろう。
そんな事を期待していたが
どうやら今はチキンしかないらしい。
まあ仕方ないか。
食べたいものは現地でたらふ

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