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【今でしょ!note#53】 知らないことは怖い、知らないことが怖い
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
今日は、最近感じた「知らないことは怖い、知らないことが怖い」というテーマで書きます。
異動先でのトラブル対応
私は去年から異動になり、新しい職場の責任者の立場で仕事をしています。
はじめての部署なので、組織文化、お客さんとの関係性、商品自体の仕組みも詳細がよく分からなかったのですが、最近発生したトラブル対応で分からないなりにも理解しようと努めて試行錯誤し、何とか対応を終えることができました。
久しぶりに緊張感でとても疲れたのと同時に、それを乗り越えた充実感がありました。
また、乗り越えるために必要な学びのプロセスとして、「知らない」ことを「知る」に変える経験値作りのために必要な要素など、後進育成の観点からも気付きがありましたのでシェアしたいと思います。
対処までのイメージの引き出し
何かのトラブルに直面したときに、「怖い」と感じるかどうかというのは、その人が持っている「対処までのイメージができるかどうか」にかかっています。
トラブルを認知してから、一次対処完了までの初動の流れを少し分解していくと次のような流れになると思います。
何が起こっているのか事実を把握する
起こっていることの影響度を把握する
影響度に応じて最初に対処すべき問題を特定する
最初に対処する問題の原因を分析する
原因を取り除くための段取りを立てる
原因を取り除く=対処する
対処結果に問題がないことを評価する
まずは、この流れの中で、「これはクリアできる」と思えるものと、「これはクリアできるイメージが湧かない」という仕分けを行います。
上述した最近のトラブル対応のケースでは、何が起こっているか、その原因は周囲のメンバーへのヒアリングで理解したものの、5と6を進める上でのルールや暗黙知であるお作法(例えば、対処方針をお客さんと合意するために提出する資料の完成度はどのくらいでOKなのか等)が分からず、「怖い」と感じました。
この部分は、自分でコントロールできるイメージが湧かなかったので、その時点で早々に諦めて、迷わず先輩に助けを求めました。
ただ、この「①怖いと感じたこと」と、「②その対処の流れを、(先輩と一緒に)一通り自分でやったこと」が経験できたのが、私にとっては最高で自身のスキルアップ(トラブル対処のノウハウ蓄積)と充実感に繋がりました。
と言うのも、個人の課題解決能力を高めるためには、この2つのand条件が揃わないとダメで、それを今回の経験を通じて会得できたからです。
もう少し分解すると、課題解決能力の大小は、頭の良し悪しというよりも、どれくらい「対処までのイメージの引き出し」を蓄積できているか、にかかっています。
例えば、私の親は「一人で海外なんて怖くて行けない」と言います。
しかし、海外に行くのに慣れた人であれば、最低限の英語が使えれば何とかなるし、飛行機もネットで調べてトランジットを駆使すればあらゆる手段があり、GrabやUberにクレカを紐づけておけば最悪現地通貨がなくても、国内移動も何とかなると思えるはずです。
これは、その人自身のスキルや能力云々というよりも、実際に自分で困ったときにやってみて、「こういう時はこう対処すればよい」のパターンを、引き出しとして持っているだけです。
怖いと感じるだけで最後まで自分でやってみた経験をしないと引き出しになりませんし、怖いと感じないことを自分で一通り経験してみても、どうにも本気度や緊迫感が違うので引き出しになりません。
課題解決能力の向上に必要なのは、「怖いと感じ、(自分で試行錯誤したり、解決できる人のサポートを得ることで)自分でやって乗り越えること」です。
組織で上のポジションに行く人は引き出しが多い
一般的な組織はピラミッド型で、上のポジションに行けば行くほど、マネジメント範囲が大きくなります。
当然、マネジメント範囲が広がるということは、様々なパターンの課題・トラブル解決の責任を負うということですから、対処までのイメージの引き出しに蓄積がないと太刀打ちできません。
もちろん、「にわとりたまご」で、ポジションが上がるから引き出しが増えるパターンもあれば、引き出しが増えたから上のポジションに行くパターンの両方あります。
出世して上のポジションに行くことの是非は置いておいて、引き出しを多く持っておいたほうが当然自分にとってのキャリアや仕事の選択肢も広がります。
だから、定期的に環境や仕事内容を変えて、引き出しを多く作っておくことが重要です。
「怖い」というのは、引き出しを増やすための絶好のチャンスなのです。
突然の異動や、やったことのない仕事に直面して終わった、、と絶望する必要は全くなく、「やった!絶好のチャンス到来!」くらいのスタンスで、明るく迎え入れましょう。
怖いポイントは人それぞれ
そもそも、怖いと感じることは人それぞれです。
数年前に、新しく参入した自分の上司にあたる人と海外出張に行きました。
その方は、いつも冷静で頭もよく、いろんな修羅場もくぐり抜けてきた人なので、仕事におけるトラブル解決能力や推進力はピカイチです。
しかし、一緒に帰国を迎える日に、国際線のある都市の空港までの国内便が飛ばないかも、、という状況になったときに、その方はかなり焦ってずっとフライト状況を調べていたんですね。
私は、東南アジア内の移動については、百戦錬磨戦士を自負しておりましたから笑、全く動じることなく、空港まで車で移動する選択肢もあるし、最悪飛行機に乗れなくても、そこからホテル取って翌朝便で帰国すればいいや、くらいで考えていました。
もちろん性格の違いもあるでしょうが、人が怖いと感じるポイントは、経験の差にかなり依存しているということです。
だから、課題解決能力を先天的なものと捉えて、鍛えるのを諦めたりする必要は全くありません。単純に場数の話なのです。
引き出しを増やすために
ここまで、新しいトラブルや課題に直面した時に、冷静に対処できるかそうでないかは、「怖いと感じたものを何とか自分で解決した」場数・経験値の差である、という話をしてきました。
だから、個人視点として自分の課題解決能力の向上を目指すのであれば、ドンドン新しいことにチャレンジし、「怖い」と感じた時にはチャンスだと捉えて自分でやり遂げる経験をたくさんしましょう、ということになります。
では、後進の育成観点では、どのように捉えれば良いのか。
私は今回の経験から「対処のイメージができる人と、対処のイメージができない人を意図的にペアにすることで、チーム力を底上げする」重要性を再確認しました。
以前、山口周さんのお話を聞いていた時に、「自分のチームにとても優秀な人と、経験値が少ない人がいるとして、一番難しい仕事にどのように取り組むか?」と問われた時に、「多くの人は、一番難しい仕事に優秀な人をアサインして、経験値が少ない人には難易度の低い仕事をアサインすると考えるが、それは間違い。一番難しい仕事は、自分と経験値が少ない人が一緒に取り組み、難しい仕事の対処の仕方を一緒になって叩き込むべし」という話をされていたのを思い出しました。
当時、なるほどと唸りましたが、今回の私の経験にも通ずるところです。
経験値が少ない人にこそ、本人が「怖い」と感じるような一番難しい仕事をさせて、自分が一緒に取り組んでサポートしながら本人に解決してもらうことで、初めてチームのノウハウは全体として上がっていきます。
一番難しい仕事を、一番優秀な人に対応してもらっていても、チーム全体としての課題解決能力はなかなか上がっていきません。
それでは、今日はこの辺で。
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