My Ghost - アートにできること -
こんにちは。
皆さん、いかがお過ごしですか?
私はというと、相変わらず絵を描いています。
最近、こんな絵を描きました。
「My Ghost」
水彩画、F5サイズ
今回は、この絵を描きながら考えたことを、文章にしていきたいと思います。
とあるニュース
最近、とあるニュースを読んだ。
10年後に実用化されているであろう技術を取り上げた話。
曰く、細胞を培養する技術がさらに進化し、不慮の事故や病気により失った身体の一部を、自分の細胞から培養して作られたパーツに交換出来るようになる。
曰く、食肉も人工的に培養され、生きるために動物を殺める必要がなくなる。
その記事の信ぴょう性はさておき、どちらもSF作品ではよく出てくる未来の姿ではないだろうか。
映画「マトリックス」では、主人公たちの背中にコンセントの差込口のようなものが備わっており、そこにプラグを刺すことで仮想空間へ意識を移すことが出来る。
映画「AKIRA」では、主人公が"人工のサンマ"なるものを食べるシーンが出てくる。
それらの未来が実際に訪れるかもしれないことに、道徳的にどうこう言うほど、自分にはこだわりがない。
そういった技術によって、不幸でなくなる人は沢山いるのだろう。
身近に、病気で臓器の一部を失った人がいた。
未来の技術で、彼があの苦しみから解放されていたら、どんなに良かったろう、と思う。
ただ、自分のパーツが交換可能となり、自分を作る食事も培養されたものとなった世界では、「どこまでが自分なのか?」という疑問が一層身近なものになるようにも思う。
ルネサンスが求めたもの
最近「美術史」について勉強を始めた。
近代アートなどを見ると、難解なものが多い。
時代に評価されている作品というのは、何か一定の「文脈」のようなものがあるような気がしていて、なぜ近代アートが現在のような形になったのか知りたいと思ったからだ。
手始めに、言葉では知っている「ルネサンス」について調べてみた。
「ルネッサーンス!」と、芸人さんが声高らかに叫ぶ、あのルネサンスである。
基本情報でいうと
・時期:14世紀~16世紀ごろ
・場所:イタリア→西ヨーロッパへと広がる
・目的:キリスト教が主流となる以前の文化(ローマ・ギリシア文化)の復興
という感じらしい。
なぜ、古い時代の文化を復興しようとしたか、というと
・十字軍遠征によるエルサレム征服が失敗したことで、キリスト教教会の権力が著しく低下
↓
・それまで教会の教える様々な規律に従っていた市民らが「もっと人間らしく生きたい」と感じるようになる
↓
・キリスト教の教えが生活の基盤となる前の時代(ローマ・ギリシア)の生活様式についての研究が盛んになる
という流れであった、と言われているよう。
もちろん、上記の理由だけではなく
・十字軍遠征以降、東方との貿易が容易となり、そこで栄えた一族がルネサンス活動家への資金援助をした
・当時、ビザンツ帝国(東ヨーロッパに位置した国)がオスマン帝国に進行され、ギリシアについての知識を持つ学者たちがイタリアに亡命したため、ルネサンス活動がさらに加速した
など、色々な要因があり、ルネサンスというムーブメントが起きたよう。
(様々な歴史がそうであるように、ルネサンスの起源にも所説あるようですので、あしからず。)
そういった研究の中で、それまでの宗教を賛美するための芸術とは異なる、より写実的な芸術が生まれていったらしい。
うーん、なるほど。
やっぱ、その時代の出来事や人の考え方と、アートは相関関係が強いのね。
と、そんなことを感じた。
アートに出来ること
ここまで書いた2つのことを自分の中で混ぜ合わせた時に、当然のように
「じゃあ、これからの時代で求められるアートって何なんだろ?」
という疑問が出てきた。
恐らく答えなんかないし、それが分かるんなら誰だってすごいアーティストになれる。
ただ、私がひとつ感じているのは「これからは、より”自分”というものの存在が不安定になる」ということ。
(元々、これほど不安定な言葉はないのだろうけど。其れに対する不安定さがより身近に感じられるようになる、と思う。)
それによって起きる弊害は色々あるんだろう。
もしかすると、人間の中の「より人間らしい」部分を描くことで、不安定になる其れを具現化することが出来るんじゃなかろうか。
音楽とか、絵とか彫刻とか、哲学とか、心理学とか。
そういったものの重要性は、これからもっと増すんだろうな。きっと。
そんなことを考えました。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。