どんな言葉を使ったとしても、その素晴らしさを言い表すことはできない。僕はカンプ・ノウにいる。そこは僕にとって完璧な場所だ。乾いた空気。透き通るような日差し。僕は全身でバルセロナを吸収する。
青、赤、黄。カンプ・ノウは主の色に染められる。涙が頬を伝う。カタルーニャの誇り。フットボールへの愛。その象徴としてのFCバルセロナ。”SOM EL BARCA”。「我はバルサ」。純度の高い思いが、その言葉に凝縮されている。
ゴールラインとハーフウェーラインに立ち、寸分なきリフティ
“KING OF ASIA”のバナーが踊る。アジアの王として臨む、ワールドカップ最終予選。大陸を席巻した煌びやかな攻撃。その攻撃は本田圭佑や香川真司といった名手たちによって彩られる。その華やかさは緊張という名の冷水によって引き締められ、高揚感が埼玉スタジアム2002を包んでいた。
すべての動作が流れるようでありながら、同時に止まっているように見えた。優雅な舞を連想させる、軽やかな余韻。今野から前田へ。前田から香川に落としてリターン。スペースへと駆け出す長友を追うようにボ