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【詩】ごちそう

肉も魚も野菜も果物も全部、ぼくのからだの一部になって、消費を繰り返しながら、ぼくは増えてきた。なのに、どうしてあなただけはいつも特別なの?今日はごちそうよって、美味しい野菜が真ん中に並ぶことは、思い出にはなくて、合格発表の夜を独占している。ひとりでは特別になれないのに、特別はひとりしかなれない、孤独を一緒に背負う約束を交わしながら、現実と幻想を行き来する。孤独の単品売りが得意なぼくに、特別を教えてくれる誰かは今もいなくて、ぼくは、いつまでも、ぼくで、ぼくは、これからも肉。

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小鳥遊 ゆに (Yuni Takanashi)
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