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【詩】7回目のレシピ

まずはじめに、架空のレシピをきみに向けてつくります。チョコレートを送るなんて、そんな美味しい文化を嘲笑いながら、声も気持ちも涙もボウルに詰め込んで、かき回す時間まで全部プレゼントしたら、そろそろ気が済むのでしょうか。今日は視界に入るように、きみの顔に似せて作ろうと思います。出来上がりのものはこちらです。出来が悪いのは、きみがいつもあっちを向いているせい。ねえ、わたしをリボンでグルグル巻きにして、ハートを添えれば、可愛がってくれる?花でも飾って手を合わせれば、この気持ち、成仏できる?萎れそうなハートを忘れる前に、きみの笑顔、最後に見せてくれませんか。トッピングに必要なんです。あ、もう7回目の2月14日。ラッキーセブンなんて言ったのは誰。

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今日はバレンタインですね。チョコレートを渡そうと思っている全国のひとが、まっすぐな想いを伝えることができますように。詩に出てくる「わたし」は、どうやら諦めの悪い子のようです。でも、これくらいの強い気持ちを持ちつづけることができるのは、とても素敵なことだなと思います。
ちなみに現実の「わたし」は今日の午前中に渡しました。心を込めて選びました。作っていません。しっかりと選びました。ありがたいことに、一緒に食べていいそうです。どこかの有名なひとは、自分がつくったチョコレートを頬張るわたしたちの顔を一度も見ることはないのだろうなあ。そう思うと、チョコレートを渡す相手の顔が見られるって、幸せなことなのかもしれません。
受け取ったひとが、最後まで美味しく食べられますように。そして、想いが望む未来に繋がらなかったとしても、頑張った自分を労いながら、やさしい夜を過ごせることを願っています。
この気持ちがみなさんの心のポストまで無事に届いていたら、うれしいです。

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小鳥遊 ゆに (Yuni Takanashi)
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