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【詩】憶えている
リマインドされる前に、これまで育てた脳内に期待を寄せて、iPhoneがゴールテープを無表情で切る姿を、何度も勝手に知らされたぼくには表情がある。稀に咲いた過去は盛大に労う、ぼくのきれ切れの記憶。取り出したい出来事は、取り出す執念の後ろを歩いて、ぼくの目に、斜め上ばかりを見させる5分間。白い壁は、ぼくの記憶にこびりつこうとこっちを見ているけれど、ぼくには使うことのない未来の景色として焼却される。それでも、きみの誕生日だけは、過去も未来も美しくする祝祭としてずっと撫でていたいし、そっと火をつけながら、きみが愛される理由を伝えつづけたい。この瞬間、世界が静かになって、きみの笑顔だけを照らす光となる、ぼくの唯一洒落た記憶の使い方。
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