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【詩】夕暮れの各駅停車
絹豆腐の心をちぎって配り歩いたひとは、揺られる電車の中で、今日も黒い闇に目を溶かしている。闇から闇へループするひとの横で、本を手にするきみの世界だけ、まだ、息をしていた。日が暮れるまで心を差し出したひとが、希望にすがる行き先は、墓場の踊り場。窓の外には地図に残ってゆく世界がお行儀よく並んでいて、どちらに心が宿っているのか、溶けかけた景色に尋ね歩く。紫になりかけた空と川の境目は、絶え間ない時間を過ごしながら夜を待っていて、それから目を逸らしたい暗闇は、結ばれたい未来へと繋がっているのでしょうか。吸って吐いた車内の空気は、行き先の定まらない人生を止めようとしています。
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