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なんでもかんでも「多様性」って…

こども園で働く保育士です。

園の方針やその時の園長の考え次第ではあるけど、ディズニーやUSJなどがハロウィンで賑わうこの時期、私の働く園ではそれにちなんだ行事も制作も飾り付けも、できません、そして、しません。

理由は、「多様性」を認め合うため。

現代ではこども園内にも色んな国の親がいて、異国にルーツを持つ家庭もあって、色んな宗教や信仰のおうちがあるから。
要するに、ハロウィンは日本由来の伝統行事でもないし、国・宗教・信仰によっては他宗教や偶像崇拝を禁止されている場合があるから。

近年では国際結婚も増えているし、仕事などで日本に移住される異国の方も多い。
豚肉は不浄として食べられない宗教があったり、牛肉は神の使いだから食べてはいけない宗教があったり、実際にこども園でも「宗教食」としてアレルギーと同様な扱いで、給食から除去や代替で対応することがある。

そういう「多様性」いう名の、宗教や信仰上の理由から、ハロウィンもクリスマスも基本、私の働く園では何も取り扱わない。

かぼちゃの絵や制作・飾りは「秋の味覚」としては
アリだけど、それにオバケっぽい顔を描くのはダメ。
線引きあやふや。。。

私はそこまで頭の古い人間ではないし、自分には特別な信仰など何もないから言えるのかもしれないが、日本でハロウィンの何がダメなの?と考える派です。

今や市販菓子のパッケージでもショッピングモールの飾りでも、日本で暮らしてりゃどこでもハロウィンは目に入る。
クリスマスもそうだけど、もう日本文化に入ってきて何十年もたっているのだから、「それは異文化だ!」とわざわざ国内の子どもの教育から排除する必要などないと思うのよね。

雪だるまはアリで、サンタはナシ???

異国から日本に移住してきて家族単位で暮らしている人たちなら、郷にありては郷に従え的な発想で、その国の文化もある程度は理解する柔軟さを持っておられるんじゃないかな、とも思う。

もしも私が海外に移住する逆の立場になっても、その国の風習や伝統は理解しようと努力すると思うし。受け入れはできなくとも、尊重はできる。
だけど宗教的禁忌って、絶対的な物であってそんな甘い物ではないのかもしれない。私には、何が正解かはわからない。

だけど「排除」という形ではない方法を考えるのも、教育のあるべき姿なのでは。

例えば、日本の学校の授業で図工の時間に、クリスマスをテーマにツリー・ブーツ・リース等を制作するとして。イスラム教の親を持つ生徒の子が自分は作りたくない(作れない・作る意味が分からない)と言うのなら、何か別の物を自由に作ればいい。
その「テーマから外れた物を自由に作る」ことを認めたらどうなのか。

で、きちんと、クリスマスというのはキリスト教の行事であることを伝え、世の中には色んな宗教や信仰が存在し、それはこれから自分で選択できたり・考えて決めたりするものである、と。
子ども同士の相互理解に繋がる機会にすればいい。

日本の子どもたちでも、クリスマスはキリスト教の
ものだと知らない子が結構多い。
日本だって、全員が仏教徒じゃないよね。
多宗教な国だし、特別な信仰を持たない人も多い。


私たちの国では当たり前のことが、他の国では当たり前じゃない。それも、当たり前。

日本じゃ、結婚式で神父に誓うこともあれば、御葬式でお経を唱えることもある。
行事なんてものは、本人がそれでよければヨシなのよ。伝統を重んじたい人、新しいスタイルを取り入れたい人、それぞれでいい。
私なんかは、やりたいようにやりゃあいいじゃないの、って思っちゃう。


なのに今の時代は、なんでもかんでも「多様性」と言う。

片親の家庭もあるから父の日・母の日をやらなくなり、ジェンダー論からひな祭りもこどもの日もやらなくなっている。
全員がそうでないのなら、マイノリティを尊重して、教育の場では全体行事や一斉指導から外される。

でも、それって本当に、多様性を認め合ってる

ただ【やらない・触れない・取り扱わない】では、お互いを「知る機会」にならなくない?

ややこしい問題や繊細な部分から目を逸らすのは簡単だ。
学校や園長がダメと言うからやらない、のも簡単。
でも、グローバルな時代や多様性の時代を本当に目指したいのなら、世の中にある色んな国や文化を知る機会を減らすことは、違うんじゃないかと私は思う。

正解が出せない問題を考えたり、自分の意見を持ったり、自分とは違う考え方を知って理解したりするのも全てが「学び」だと思うので。
答えは出なくとも、疑問に思うことや考えることを、私はやめたくないなぁと思うのでした。
おしまい。

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