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ゼロから始める伊賀の米づくり25:屋根裏から出てきた骨董品『(仮)米選機・万石通し』
前回のコンバインのメンテナンスからしばらくし、落ち着いた頃。
実家の片付けを再開することにしました。
元々、この実家の米づくりを継ぐことになったのも、昨年父が亡くなったことがきっかけです。
9年前に祖父、昨年に父を亡くすことになり、とにかく日々、やるべきことを進めてきましたが、ようやく落ち着けそうなタイミングがやってきました。
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いざ、この祖父の工房も片付けていくことにします。
祖父は大工であり、木材の仕入れ等も行っていたようですが、その名残で多くの木材も残っています。
既に虫食いなどで朽ちてしまったもの、時代が変わって建築の規格が合わないもの等あるそうで、祖父と父の共通の友人であるピンさんに手伝ってもらいつつ、片付けていきます。
と、何やら変わった形のものが屋根裏(梁)に乗っていたので、降ろしてきれいにしてみることにしました。
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出てきたのは、なんとなく米づくりに使っていたらしい形跡のある木製の農機具でした。
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おそらく、上の部分から籾か米を入れるのだと思うのですが、使い方がわかりません。
離れて作業していたピンさんもやってきて、こんな風に言いました。
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『これは、米選機か?こんなもん、農業の学校で教えるような骨董品やな』
「ベイセンキ?あぁ、米選機ですか」
『上から籾を入れるやろ。で、そこの網を転がって二段、三段と落ちていって選別されるんやな』
「へぇ〜、そんなものがあったんですね」
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『農林省、推薦品…、どこで作ってるものやろうな?読めん』
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読めそうなものだけ選んでみると…
農林省推奨農機 元祖〇〇商標登録
ナルミ号
唐箕・立線米撰機
萬石・廻轉乾燥機
株式会社カネウメ農機具製作所
こんな風に読めそうです。
以上の情報から『万石通し』で検索してみると、一番この農機具に近い形のものが出てきました。
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祖父や父が亡くなって以来、家の歴史、歩み、ルーツ等を辿ることも多くなりましたが、こんな骨董品まで遺されていたとは驚きでした。
おそらく、父も祖父も健在であれば、こうして表に出てくることもなかっただろうと思います。
この(仮)米選機・万石通しそのものを眺めてみると、木製の作りの中に工夫や凝った機構も見受けられ、技術の精密さに驚かされます。
兼業の米農家としては、機械化が進んで大いに助けられているところもありつつ、かつての営みや技術の痕跡をこうして知れることは本当にありがたい。
先代、先先代が亡くなることで失われた知識・技術・人間関係や繋がりも多かったのだろうと思いますが、今、自分が把握できる範囲の知見については、丁寧に遺していければと改めて思えました。
遺した知識や技術は、やがて興味を持ったり、もしかしたら必要性が出てきたときに、跡を継ぐ誰かにとっての助けになるかもしれません。
SDGsや地球環境の保護というスケールではありませんが、将来世代のために足元からできることとして、自分は知見を遺すこと、そんなことを考えるようになったようです。
さて、この(仮)米選機・万石通し、もう少し詳しく見て復活もさせてやりたいな🌱
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