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【読書感想】習慣と才能はとても地道なもの

こんにちは、Yukiです。
今回取り上げる本は、佐々木典士さんの『ぼくたちは習慣で、できている。増補版』です。

僕はこの本を読んでとても衝撃を受けました。同時に、今まで抱いていた考えが大きく変わりました。

とても良い本だったのでご紹介します。

明日の自分はスーパーマンという誤り

何か新しい事を始めようと準備しているときは、ずっと続けられると思ったことは誰でもあると思います。例えばランニングを習慣にするために、ランニングシューズやウェアを購入したとき。あるいは、新しい参考書や問題集を買って勉強を始めようとしたとき。やる気に満ちあふれており、何でも出来そうな気がします。

なぜだか明日の自分は、今日の自分とは違い、スーパーマンのようにエネルギーに満ちあふれ輝いて見える。

佐々木(2022)p.170

ところが、始めるとそんなに上手くいかないことが明らかになります。最初は上手くいっても、3日目、4日目ごろから怪しくなり、1週間経つころには前の自分に逆戻り。そんな自分に嫌気がさしてしまう。

著者は、未来の自分はスーパーマンではないと言います。

ぼく自身、何度も失敗してもやはり「明日の自分は違う」と思うのでこれはなかなか根深い問題だ。肝に銘じるべきなのは「明日の自分は、今日の自分と同じことをする」ということだ。

佐々木(2022)p.170

明日の自分はスーパーマンではない。むしろ同じことをする。「なんだそんなことか」と思うでしょうか。確かに、スーパーマンではないというのは、当然と言えば当然です。しかしながら、未だに多くの人が習慣化ができず、解決策を求め続けています。その証拠に、習慣をテーマにした本が手を替え品を替え出版され続けています。

習慣化できない原因は複数あると思います。そのうちの1つが、「明日の自分は、今日の自分と同じことをする」という、当然とも思える事実を見逃しているからではないでしょうか。この事実は、具体的な技法というより、それの前段階に位置する意識的な部分です。そこが、つまり前提が誤ったままでは、その後に続く技法も効力を発揮しないでしょう。たとえ具体的なコツがどれほど魅力的であってもです。

いきなり方法を試すのではなく、考え方を修正するところから始めることが習慣化を成功させる第一歩ではないでしょうか。

才能とは何か?

多くの人が、才能とは一部の人に先天的に与えられた特別な能力と考えているでしょう。スポーツを例にすると、僕らには再現が出来そうもないスーパープレーが飛び出します。並外れたパフォーマンスを見ると、「あれは才能があるからだ」と言いたくなるのも無理もありません。

僕もそのように考えていましたし、著者もそうだったと述べています。しかし、才能に対する一般的な考えは本当なのかと問いかけます。他の人から見れば才能を持っているような人が、自分には才能がないと公言しているからです。

著者は、社会学者のダニエル・チャンブリスの研究結果を引用します。彼の論文はこう指摘しているそうです。

●最高のパフォーマンスは、無数の小さなスキルや行動を積み重ねた結果である
●選手たちがやっていることには、特別なところや超人的なところは何もない
●継続的な積み重ねで、卓越したレベルに到達した

佐々木(2022) p.285

彼の言っていることは、派手さとは無縁で、むしろ脱力してしまうほど地味です。

才能を持っていると見なされる人たちは、自分には才能が無いと言います。それは、彼らが行ってきたことは、地味なことの積み重ねであると十分に自覚しているからではないか。著者はこのように言います。

しかし事実は地味だ。ただ習慣をコツコツ継続すること。習慣の継続が才能を作り上げる。

佐々木(2022)p.286

●センス=習得するスピードのこと
●才能=継続した結果、身につけたスキルや能力

佐々木(2022)p.288

(もちろん、他の可能性もあります。しかし長くなってしまうので、ここでは割愛します。興味のある方はこちらを参照してください。)

才能とは、習慣の結果、身についたスキルである。これが著者の結論です。僕たちが思い描いていたイメージとはまるで正反対です。人によっては受け入れがたいかも知れません。しかし、少しだけ前向きになることができるのではないでしょうか。

才能の形成の要因である習慣化のコツは、本書にちりばめられています。

本書の意義

ここまで、本書のごく一部を見てきました。この本の重要性をまとめると以下のようになると思います。すなわち、多くの人が通り過ぎていること、当然とも思える事実を改めて指摘している点で、本書の意義は大きいでしょう。

今回取り上げたトピックのみならず、本書に書かれていることはハッキリ言ってしまえば、派手なこと、目新しいことはありません。どれもどこかで聞いたことがあるようなことばかりです。もしかしたら、それを知ってガッカリする人もいるかもしれません。

しかし、習慣を形成する道は、こういった地味にも思えるものなのではないでしょうか。

僕たちは派手なもの、聞こえの良い言葉に飛びつきがちです。書店に並んでいる習慣に関する本を見てみると、「これさえやればOK!」「1分でできる」「すぐに変れる!」という売り文句に溢れています。こうした言葉を聞くと気分は良いものです。ですが、それで実際に変れるか、僕はとても疑問です。むしろ、同じような本が出版され続けている現状から、自然と答えは出てくるのではないでしょうか。

「習慣はすぐには作られない。時間も労力も必要である。これさえやればOKなんてこともない。」これが事実だと思います。この事実から目をそらさず、真正面から受けとめている本書の価値は大きいと思います。

終りに

この本さえ読めば習慣は身につけられるかと聞かれたら、僕は「No」と答えます。ヒントになったとしても、正解にはなり得ません。

だから、ぼくがこの本で書いていることは、そのまま伝わらないと思っている。読者の方が実践と失敗を繰り返す中でオリジナルの習慣とその方法論を身につけてほしいと思う。

佐々木(2022)p.261

他人の経験はどこまでも他人の経験です。したがって、著者が言うように、読者は試行錯誤を積み重ねる必要があります。そのためのコツは本書にたくさんあります。

この記事を読んで手に取っていただけると幸いです。


ここまで読んでいただきありがとうございました!

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