初ツーリングは喜びと優しさでできていた
中免を取って一週間。
片道一時間かけて自転車で運転免許センターへ免許を書き換えに行き、免許証用の写真を持ち込んだためにプラス2時間かかり、ようやく手に入れた免許を使って今日初めてツーリングに行ってきた。
本当は取ってすぐ乗りたかったのだけど、あいにくの雨続き。昨日なんか、晴れると言ったのに午後ずっと降っていたのだ。
今日こそ乗れると思ってた私はこんな具合である。
それを話したら、運転に慣れている友達が、翌日(つまり今日)仕事の始まる12時までのあいだ付き合ってくれることになった。
本当にありがたい。持つべきものは友である。今度お菓子持っていこう。
今まで自転車で30分かけていた道のりが10分で行ける。
感動である。
何回か「風になってる~~!!」と叫び、友達に「インカムオンになってるから聞こえてんぞ」と言われた。
ヘルメットにブルートゥース付きの無線機をつけていて、同じものをつけている人同士はメットの中で会話ができるという便利な道具である。
信号待ちで発進するたびに「エンストするぞ~」と脅してくる友人。「言霊だからねそういうの!!」と泣き叫びながら毎度発進してた。
少しの力であれだけの速度が出せるというのは本当に楽しい。
風を切る感覚。空気が当たってくる感覚。
ワクワクが止まらないというのはこういうことを言うのだろうと思った。
そして休日だったこともあって道が混み、目的地に辿り着く前にタイムアップとなった友人は途中で離脱、職場に向かっていった。
ありがとう、おかげで遊布野は風になれたよ。
残りの道は自力で行く。
頼れる人がいないというだけでこんなにも緊張するものか。まっすぐ行けばいいだけなのに、道はわかっているのに。
結局どこへも寄れず、行ける所まで行って、コンビニでお茶を買ってUターンして戻ってきた。つまり私は隣県まで2時間かけてコンビニのお茶を買いに行ってきたことになる。なんだか私らしくていいなあ、おもしろいなあ。
ただ、私の後ろについた車はいらいらしたと思う。何回か慣れずに発進時にエンストしてしまったし、ヒヤッとさせたに違いない、本当に申し訳ない。
でも誰も無理に車間詰めてきたり猛スピードで追い越したりクラクション鳴らしたりしなかった。焦らせたらまずいと思ってくれていたのかもしれないが、優しさに感謝である。
サンデードライバーどころではない、初ドライブなのだ。
ごめんなさいと、追い越していく車に頭を下げた。バイクにつける初心者マークが欲しいなあ。
それか、背中に大きく「下手です」と書いたジャケットを…いやさすがに度胸ないわ。それを着る度胸は死ぬ気で練習する度胸に変えたい。
そしてまた2時間かけて帰ってきて、今度は嵐山にある、友人のやっているお土産物屋さんに顔を出した。免許取れたら乗って来るね、と言っておいたのだ。
向こうもびっくりしただろう。
店の外でフルフェイスの奴がびょんびょん跳びながら両手ふってたらさ。
素でヘルメット取るの忘れていたのだ。
お客さんもきれたので、しばらくお話をしながら休憩させてもらった。
目標をひとつ達成することができたことを、いっしょに喜んでもらった。
初ツーリングに付き合ってくれた友人しかり、彼女しかり。
喜びを共有してくれる相手がいるということは、嬉しさを何倍にもしてくれることを知った。
とても楽しいが、ひとたび何かがあれば車以上に命の危険のある乗り物だし、万が一、歩行者や自転車相手に何かあれば相手の命を奪ってしまう危険な乗り物である。
初めて乗ってこのスピードで走って「楽しいけど怖い」と思ったその気持ちを忘れずにこれからも乗っていこうと思う。
そしてこのお店の彼女、私が竹を使って何か作品を作ったらうちに置くよと言ってくださっている。ひとつ夢叶って、またひとつ次へと向かう。そんな一歩一歩がとても楽しいのである。
自分の力で前へ進む楽しさである。