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本と明け方/「りんご通信」(赤々舎)連載

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錘としての疾しさ--岡真理『ガザに地下鉄が走る日』

錘としての疾しさ--岡真理『ガザに地下鉄が走る日』

二〇一五年一一月一五日、昼前の、ぶあつい雲と雲のあいだからのぞく透きとおった青空と、ぬかるみ、ひとの足跡やものを引きずった跡で一部ぐちゃぐちゃになった地面の対照は、忘れられないシークエンスとなって私の頭の中に居座っている。仮設の観客席の指定された席に腰掛けた私は、雨天中止ではなく決行が主催者によって判断された千川の小学校のその運動場に、演劇を観に来ていた。劇の舞台となる運動場には学校の教室で使う椅

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「遠い連帯」に向かって--くぼたのぞみ『山羊と水葬』

「遠い連帯」に向かって--くぼたのぞみ『山羊と水葬』

右の人差し指と中指をおもいきりひろげてつくったY字のなかに軟式球を無理くりはさむなんてことをするから、指と指のあいだのぺったりしたみずかきみたいなぶぶんが痛い。冬のつめたい空気に毎日はだかのままさらしていた手は、おもての、節くれだったところがまだらにあかくなっていて、球をささえるために折り曲げた関節がぴりぴりした。だけど、そうやって工夫してから投げるのと投げないのとではどだい結果がちがってくる。だ

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