見出し画像

女神のように美しかった王女の恋は

前回の続き。



美しすぎて婚約者が見つからなかったプシュケー王女。


美の女神ヴィーナスに嫉妬され、息子のアモルに嫌がらせをさせようとしたものの、ひょんな間違いからアモルがプシュケーに恋に落ち結ばれた2人。




毎日満たされたプシュケーでしたが、恋人の正体を知ることは禁じられていました。もしそうなったら、関係を終わらせなければいけないと告げられて。


2人の恋がばれたら、母ヴィーナスの怒りをかうことは必至です。そのため、いつもアモルは夜に会っていました。



ある日プシュケーは2人の姉をお城に招待します。



広く美しいお城で何でも与えられ、毎日恋人から満たされていたプシュケー。幸せ絶頂の妹を面白く思わなかった姉達は2人の仲が拗れるように一計を案じます。



「姿を見せないなんて魔物か何かじゃないかしら。そのうち殺されてしまうかもしれない。仕掛けられる前に仕留めたら?」


確かに付き合っているのに顔も知らないのはおかしいと思った彼女は、その晩アモルが眠りに落ちた後、ろうそくの火を近づけます。



彼の正体とその美しさに驚いたプシュケーは動揺し、溶けた熱々のロウソクの雫をアモルに垂らしてしまいます。



目を覚ましたアモルは約束を破られた事に怒り、直ぐ様立ち去ってしまったのでした。



あんなに大切にされていたのに、いきなり関係が終わった事にショックを受け、うなだれている様子を表したのが、今回の彫刻です。魂が抜けたようなとは正にこの事だと思います。



ピエトロ・テネラーニ 「見捨てられたプシュケー」 1819年頃 ピッティ宮殿内近代美術館



アモルとプシュケーを取扱った作品は、2人が夜に逢瀬を重ねるロマンチックな場面やプシュケーがアモルの正体を知る場面が多いです。

なので、彼らが別れた後の様子を表した作品は珍しいです。



この後プシュケーはアモルを取り戻すべく彼のお母さんヴィーナスの元へ行き、数々の困難を乗り越えます。彼女が嫌いで息子を渡したくないヴィーナスは、絶対に不可能な課題をいくつもぶつけるのですが、様々な神に助けられてクリアします。さらに嫉妬に駆られたヴィーナスはプシュケーを地獄へ行かせ、永遠の眠りにつかせてしまうのです。



しかしながら、プシュケーの事を許していたアモルはすぐに駆けつけて彼女を目覚めさせ、ゼウスと母に結婚させてほしいと頼んだのでした。



2人はアモルの願いを受け入れます。プシュケーを神々の住むオリュンポスに迎え、若いカップルの結婚を祝ってくれました。2人の間には子どもも生まれ、エドネ/ヴォルプタ(喜び)と名付け、幸せに暮らしました。




好きな人のために困難を乗り越えた、ひたむきで美しいお姫様のお話でした。



西洋美術を見る際の参考になさってみてください。




いいなと思ったら応援しよう!

フィレンツェ歩き ここだけの話
記事が少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。 皆様からのご支援はサービスの向上のため、本、論文、講習会、調査の費用に充てさせていただきます。 よろしくお願いします☺️