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#短編
長編小説『because』 79
「涙止まった?」
「ううん、止まらない」
もう随分前から止まっている涙に嘘をついた。涙を流し続ければ、彼はこうして私を抱いていてくれるし、涙が止まってしまえば、彼は確実に私から離れてしまう気がしたから。
「しょうがないな」
「うん、しょうがないの」
彼は私の背中に回した手に少しだけ力を入れ、それに応えるように私も少しだけ力を入れた。
「沙苗さんは笑っていなきゃ、ダメだよ」
彼は私の耳元で、息を吐く
「涙止まった?」
「ううん、止まらない」
もう随分前から止まっている涙に嘘をついた。涙を流し続ければ、彼はこうして私を抱いていてくれるし、涙が止まってしまえば、彼は確実に私から離れてしまう気がしたから。
「しょうがないな」
「うん、しょうがないの」
彼は私の背中に回した手に少しだけ力を入れ、それに応えるように私も少しだけ力を入れた。
「沙苗さんは笑っていなきゃ、ダメだよ」
彼は私の耳元で、息を吐く