短編小説 -芳醇な血- Part2
私はその予報の前日にスーパーマーケットで赤ワインを買った。四千円と、そのスーパーマーケットで並ぶワインの中では高い物で、別に私はワイン通でもなんでもないから、それこそ何でもよかったのだけれど、予報で「数年ぶりの大雪」と言った、天気予報士の言葉を思い浮かべていると、自然と少しだけ割高なワインに手が伸びたのだった。
家に帰り、ワインを置いた。シャワーを浴び、外の方へ目を向けてみてもまだ雪は降っていない。
明け方から降るという予報なのだ、当たり前だろう。
明日、朝目が覚めた時に広がる真っ白な世界を思い浮かべてみると、やはり私の心は踊りだしてしまう。きっと、この日本にだって雪で苦労している人はたくさんいるに違いない。雪によって命を落としてしまう人だっているのだ。そういった人たちに対してはとても申し訳ない気持ちになるけれど、それでも、私は白銀の世界が待ち遠しい。
そんな世界を思い浮かべながら床に就いたのは、深夜一時を回った頃だった。雪はまだ降っていない。ゆっくりと目を閉じて、私はいつの間にか眠りの底へと引き込まれていた。
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