音大でもないのに吹奏楽の授業!? 東京科学大の取り組みは真のリベラルアーツ教育実践へ1つの答えを示してくれている
マガジン【越えていく大学】では昨年6回に渡り“「リベラルアーツ」に、望みを託して”と題して国内外の大学におけるリベラルアーツの状況、歴史、可能性を見てきました。
今回は、第4回でとりあげた「音楽と演劇」に関連して、2024年10月1日に始動したばかりの東京科学大学が、まさにご紹介した内容に重なる画期的な取り組みを実践しているとの記事を目にしましたので、ご紹介します。
※東京科学大学についての記事はこちら👇
10月1日名門2校統合!「東京科学大学」がもたらす、医学界へのインパクト|
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昨今リベラルアーツ教育の重要性が叫ばれていますが、では、果たして、日本の大学でその大切さが本当の意味で理解され、実践されているのか・・・
マガジン【越えていく大学シリーズ】で、リベラルアーツ教育について執筆いたしました。
その際、米国の大学で行われているリベラルアーツ教育では、パフォーミングアーツの授業がいかに重要な役目を果たしているのかについて触れました。
今回、東京科学大学で行われている吹奏楽の授業についての紹介記事を読み、旧来の一般教養や教養教育とは一線を画す本格的なリベラルアーツ教育がついに日本でも、行われていることに驚かされたのです。
《2024年10月7日(月) 朝日新聞・夕刊 すいエンス!吹奏楽を科学する1》
※下リンクは有料記事のため全文はご覧いただけません
▶東京科学大OPEN COURSE WARE 講義内容紹介
▶担当教員 高尾隆教授 教員インタビュー
たとえば、オーケストラ活動や室内楽などの音楽、あるいは演劇やダンスなどのパフォーマンスを、多様な大勢の学生で作り上げていく・・・
当然、そこには方向性を示したり、現場でリードする指揮者や演出家、脚本家がいて、そして、いろいろな楽器奏者や、主役、脇役など様々なキャストが必要です。
そればかりではありません。
裏方とも呼ばれる舞台周りを担う人たち、例えば大道具、衣装、照明などの担当者、さらには広報やPRの担当者・・・
理想の本番に向け、実に様々な人たちの手によって一つのステージや舞台が作り上げられていくのです。
重要なポイントは、記事にもありますが、そうした活動を、教授や先生といった上の立場の人による指導で行うのではなく、あくまですべてを学生が主体になって行う、という点です。
そうすることで、学生たちはリーダーシップやチームワークを、自然発生的に、直接学んでいくことになるのです。
単に、知識や技能を教え教わるという一方通行的な教育指導では決して学ぶことができない効能があるのです。
なぜ、こうしたリベラルアーツ教育が大切なのか――
それも、混迷を深める現代社会において。
もう一つ付け加えるとすると、現在、異口同音にダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(包摂性)の重要性が各大学で叫ばれていますが、なぜ、そうしたことが重要なのか?
単に、数値の上で男女や出自の多様性を実現しても、それは本質的な意味をなさないのです。
様々な人たちが集まることで、あるときには国籍・宗教など壁や認識を超えなければいけないでしょう。
そのために、繰り返しディスカッションや“協働”をすることで、真の連携・連帯を実現していく――
そうした中で、やがて、絆も生まれてくることでしょう・・・
こうした創造活動を、部活動やプラスアルファの活動ではなく、リベラルアーツ教育における正規の授業として行う。
紛争や戦火が止むことがいまだない地球上で、高等教育が果たすべき役割を考えた場合、こうした東京科学大の試みは、真のリベラルアーツ教育の方向性について1つの答えを示しているのではないでしょうか。
日本の高等教育も捨てたもんじゃない――
記事を読んで、つかの間の喜びを感じたのです。
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