Part2 2024年度 大学入試最新動向(続き)・Part3 2025年度 新課程入試の注目トピック
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(前回からの続き)
木戸 ここからは、「まだ間に合う!主要私立大 主な共通テスト利用入試」ということで、共通テストが終わって、まだ出願を受け付けている大学の一部をご紹介しております。
明日( 1 月 19 日時点)になりますが、このスライドにあるような大学であったり・・・。
ここから 2 月ごろにかけて、共通テストの成績だけで合否が決まる大学の出願もまだまだ受け付けています。共通テストの結果は様々かとは思いますが、最後まで諦めずに積極的にチャレンジしていただければ、と思います。
そして、国公立大学の募集日程についても触れておきたいのですが、後期日程は全国的に縮小しています。そのなかで新たに後期日程を設定したり、無くしていたものを復活させるといった大学も出てきています。
坂口さん、後期日程を復活させる大学にはどのような意図があるのですか。
坂口
いや、それを申し上げてよろしいのかどうかわかりませんが・・・(笑)。
前年、あるいは前々年あたりの入試状況を見てみると、定員割れ寸前の恐怖を味わったところが多いですね。あるいは、そこまでいかなくても、前期日程が全体的に倍率が下がっていて、低調な倍率になっていますから、ここにある難関大学の一つでも定員割れになる危険性が全くないわけではない。
そういう時のために保険として後期実施を設定するという意味合いが非常に強いと思います。
前期日程の倍率が下がってくると、2 つのやり方があって、ひとつは特別選抜でたくさん取っておく、もうひとつは後期日程でもう 1 回埋められるようなシステムにしておく・・・それらの“いずれか”、あるいは“いずれも” というふうに変わってきていますね。
木戸 となると、これからも突然後期が復活したり、なくなったりすることもあるかと思いますが・・・。
坂口 ただ、今申し上げたように、保険としての実施ですから、そんなに大きな枠は残さないですよ。大きな枠を残しておいたらそれ自体がリスクになってしまいますから、ほんの小さな枠で募集することになります。受験する方としてはそんなに期待はできないですね。
奥村 若干名くらいですよね。
木戸 ただ、みなさんには最後まで諦めずにがんばってほしいなあ、という気持ちもありまして・・・。前期・後期ともに補欠合格が出ていて、出願時の倍率が 10 倍を超えていても実質倍率は 1 倍台に落ち着くような大学もあります。また、欠席率も年々上がってきているというデータもあります。
出さなければ合否の土俵に上がることはできませんので、後期日程も貴重な受験機会の一つとして捉えていただき、出願も慎重に検討していただければと思います。
坂口 1990 年代にこの前期・後期日程がはじまって、後期日程というのは出願したんだけど、実際に受けに来るのはだいたい半分。つまり欠席率はだいたい 50 %ぐらいだったんですけど、ここへきて急速に欠席率が高まって、出願したけど実際に受けに来るのは 3 分の 1 というふうに変わってきています。それだけ国公立大学の前期日程が入りやすくなっている、私立大学も入りやすくなっている。
それに合格した人はもう受けに来ないわけですから、後期日程は以前よりも低倍率が出現する割合がかなり高くなってきています。
木戸 ぜひ受験生の方にはチャンスをつかんでいただきたいと思いますね。
坂口 受験しに来た人は全員合格ということもないわけではない・・・。
では、それはどこですか、と聞かれてもそれはわからない。終わってみないとわからない、そこが悩ましいところですね。
木戸 まあ、それも出願しないとわかりませんので、チャレンジして頂ければと思います。
Part 3 2025年度 新課程入試の注目トピック
木戸 それでは、最後のパートになります。
少し先の話にはなりますが、2025 年度新課程入試、注目のトピックです。
今回 4 つ挙げております。
今日はこのなかの 3 つを取り上げて解説したいと思います。
まずは、「共通テストの出題科目、試験時間変更」です。
木戸 来年度の共通テストから新課程入試となります。
変更点ですが、国語が試験時間を 10 分延長して、大問が一つ増え、「実用的な文章」を用いた大問が出題されます。地歴公民は科目体系が大きく変わります。また数学の②が数学Ⅱ、B、Cという科目になります。
そして、何と言っても「情報」が新設されます。「情報Ⅰ」は 60 分 100点満点の試験になります。
奥村さん、「情報」は新設科目になるわけですけれど、新しい科目といういうことで不安を持っている受験生の方とか、先生方もどうやって指導したらよいかお悩みの方もいらっしゃるかと思いますが、「情報Ⅰ」はどのような問題が出されることになるのでしょうか。
奥村
もちろんまだ本番の試験が行われていませんから、過去問というようなものはないのですが、一昨年、令和 4 年 11 月にまとまった形での試作問題が出ました。そのとき情報Ⅰがありましたので、そこである程度の方向性がわかるかな、と思います。
あとは、代々木ゼミナールを含め予備校や業者が模擬試験で予想問題を出しますから、そういったところで慣れていく、ということになるかと思います。
ほかに、たとえば歴史総合、地理総合も同じことが言えます。こちらも先ほどと同様、試作問題がありますので、大いに参考になるかな、と思いますが、一つ意外な盲点になるのが先ほど申し上げた国語ですね。国語に実用的な文章が入ってくる、しかもこの表にありますように、もともと 80 分のものが 10 分増えて 90 分になる。そして大問が 5 題なんですよね。だから、本当のことを言えば、100 分になってもおかしくなかったのですが、90 分にした、といったところで、もしかすると、分量的な問題として、かなりヘビーになる可能性はありますし、ますます速読などの力が要求される可能性があります。そこは心の準備はされた方が良いかと思います。
木戸 模擬試験等もいろいろ活用していただきたいなと思いますが、代ゼミサテラインチャンネルでも 2025 年度に向けてということで、共通テストの対策の指針の動画を公開いたしました。
それぞれの科目について代ゼミの講師が解説をしておりますので、こちらの方もご覧いただければと思います。
木戸
2 つ目の変更点、調査書の様式変更です。
2021 年度の高大接続改革を受けて枚数が任意となっておりましたので、言ってしまえば好きなだけ何枚でも書くことができるという状況だったのですが、今回裏表、両面1枚に見直しされます。
というのも、働き方改革を受けた教員の負担軽減の観点などが、新しい様式変更になった要因となっているのですが、こちらも奥村さんにお伺いしたいのですが、両面で 1 枚になると先生方の負担軽減も期待されると思うのですが、いま生徒さんは色々な活動をされていますよね。
探究学習に関してもいろんなことを調べたりしていると思うのですが、そういった生徒さんの活動が多様化しているなかで、過不足なく生徒さんを評価することを記載することは可能なんですかね。
奥村 昔は手書きだったわけですけれど、今はフォーマットができて各高校でもパソコンで入力できるような体制になっているようですが、もちろんこれは高校の先生のお仕事ですけれど、1 枚ですからやはり端的に書かざるをえません。そういったところでの工夫が必要だろうなと思います。
生徒さんの方からもどういう点をアピールするのかといったところは、先生とよくコミュニケーションをとっていただいて、効果的に書けるように、先生に伝わるようにしていただければと思いますね。
坂口 高大接続改革で、何枚でもいいよ、というのが出てきたわけですよね。
奥村 そうです。
坂口 でも実際やってみると、一生懸命書いてくれる先生と、そのへんは省力化して書く先生と、調査書の作成者によって差が出てくるところもあるわけですよ。それから提出された方も扱いにくいでしょうね。どうやって点数化するとか・・・。
だから、高大接続改革で理想的には何枚でもいいよ、だったんだけれど、現実を考えるとやっぱり 2 ページ程度にしないとヤバイよね、ということで、元に戻ったということなんじゃないですかね。
奥村 ただ、おっしゃるように総合型選抜とか特別選抜ではウエイトは大きいですから、この調査書の内容は非常に重要ですよね。
坂口 総合型選抜などには別の資料(記載用用紙)がありますから、そちらで詳しく書けばいいんですね。
木戸 志望理由書とかですよね。
奥村 大学独自の書式ですね。
坂口 そう、活動歴とかね。
木戸 続いて、さきほどからも女子枠の関連で総合型選抜や学校推薦型選抜の話が出ておりますが、今後も拡大していくでしょう、ということで、2025年度も新しく女子枠を作りますと公表している大学もこのとおり多くございます。
ですので、一般選抜だけにこだわるのではなくて、もし生徒さんの志望とマッチするようであれば、こういった選抜もチャンスの一つとして活用するのも手かなと思います。
木戸 そして、特別選抜は増えています、と先ほどからお話ししているのですが、データとしてどれくらいなのかというと、2015 年度から特別選抜の入学者数が毎年どんどん増えておりまして、一般選抜は 2018 年度ころから減少が目立っています。直近 3 年を見ますと入学者の半分以上は特別選抜で入学していることがわかります。
木戸 これをもう少し詳しく国・公・私立別で見ていきますと、上にある全体は先ほどと同じですが、特に一番下にある私立は特別選抜を利用されている方が多いということがお分かりになるかと思います。
坂口さん、この特別選抜の割合が増えていくという傾向はやはりこのまま続いていくのでしょうか。
坂口 続いていきますよね。国立大学については、特別選抜で 30 %まで入れましょうという目標を設定しちゃっているということもあるのと、何せ一般選抜の倍率が低くなって、先ほども申し上げましたけれど、どこで定員割れが発生するのかわからないという非常に危ない状況になっている。
国立大学の前期試験の志願倍率、去年が2.77倍ですよ!
これは志願倍率ですから、実際欠席する人もいる、少し上乗せして合格を発表するとか・・・。非常に倍率が低くなっているので、国立大学としても、特別選抜を拡大してそちらの方に頼らざるを得ないという面がある。
私立大学は、そういう状況は以前からあるんですけれど、特に 2021 年に新型コロナで一般入試がどうなるかわからないという時に年内入試で、合格者を増やしてしまった。志願者が増えないのに大学の方が合格発表をたくさんしてしまった。そうすると、一般入試の志願者は減るわけですよ。
そうすると次の年、一般入試が減りそうだから、やっぱり年内に取っておこうと。これがどんどん拡大してゆく。
だから、いずれそうなっていくにしても、2021 年の新型コロナの拡大がトリガーを引いてしまったみたいなところがあって、急速に特別選抜にウエイトがかかって行っていますね。
それと、私立大学は、グラフのオレンジ色の部分、つまり総合型が増えてるんですよ。国立大学も、少しわかりづらいですが、総合型が増えている。今回の 2024 年の特別選抜でも総合型の志願者が増えています。学校推薦型はほぼ横ばい。
これは何が違うかというと、合格が決まる時期なんですよね。総合型の方が早く出願して早く決まる。多分、その差だと思います。だから早く合格を勝ち取りたいという人は、全員じゃないですけれど、一部は早めの総合型へどんどん流れていく・・・。
受験生側の動きも、大学側の思惑も、それが一致して特別選抜が拡大してというのはしばらく続くんじゃないですかね。
木戸 こういういろいろな思惑の一致というのもあるのかもしれませんが・・・奥村さん。
奥村 一つ付け加えるとすると、高大接続改革のあのゴタゴタのあとに、いわゆる国語の「記述式」が導入できなかった。じゃ、それをどうするかといったときに、そのあとの会議で当時の文部科学大臣は、そういったことは、年内入試、総合型選抜あたりで測ればいい、そこにウエイトをかけてそっちで頑張りなさいというようなことを大学側にメッセージとして出しています。
そのあと、文部科学省は全国の大学入試の中での好事例集というのを 2 年ほど出しているのですけれど、あれをご覧になるとわかるのですが、ほとんどが総合型選抜、あるいは学校推薦型選抜です。一般選抜の事例はほとんどないんですね。
つまり、総合型選抜、特別選抜のイメージをアップさせる要因が国の方からもありますので、そういったこともあって、入試を実施する大学側としても、ネガティブではなくてポジティブな入試としてどんどん積極的にやろうという働きかけがありますから。そういうこともあって、増えているというのも一面あると思いますね。
木戸 私たちとしては、一般選抜にももっと頑張ってほしいな、という気もしますね。
木戸 皆さん、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
では、この放送の最後に、24 年度入試、25 年度入試のポイントをまとめて終わりにしたいと思います。
まず、24 年度ですが、共通テストの平均点は昨年に比べ上昇が予想されます。国公立大は強気の出願傾向となるかもしれないですが、やはり慎重派の方もいらっしゃいますし、特別選抜で年内にもう合格が決まっていますという方も大勢いらっしゃいますので、みなさん、自分の志望校を諦めずに、“母校”にしていただければと思います。
そして、私立大の共通テスト利用方式、併用方式ともに出願可能な大学はまだ多数ありますし、合格者を増やす大学というのも最近増えています。諦めずにチャレンジしてください。
さらに、国公立大後期日程の欠席率は年々上昇しています。
「諦めない」というのが今回のキーワードとなるかな、と思いますが、最後まで挑戦していただいて合格をつかんでほしいと思います。共通テストがどのような結果であれ、気持ちを切り替えて、2次試験、個別試験の対策に臨んでいただきたいと思います。
そして 25 年度入試については、入試科目・配点の変更などについて、未公表の大学もまだ沢山あります。今後の公表内容に皆さんもご注意ください。
25 年度の共通テストは、1 年限定にはなりますが旧課程履修者への経過措置が手厚い試験でもあります。もし再チャレンジをする場合、過度に恐れず臨んでいただきたいです。
そして、新設の教科・科目というのは過去問がなくて、やはりみなさん不安かと思いますが、基本は高校の教科書です。そういった基本的なところから出題しますと大学入試センターの方も発表しておりますので、そちらを疎かにしないでいただきたいと思います。そのうえで、問題集だったり模試等を活用して、他の受験生との位置を確認していただきたいと思います。
それでは、最後にお二人から動画を視聴している皆さんにメッセージを頂きたいのですが、坂口さん、お願いします。
坂口 今年の入試について申し上げると、個別試験重視の難関大学を目指す人にとっては、実は何も始まっていないし、何も終わっていないわけです。これから2 月 25 日までひと月以上ありますから、ここでの気持ちの切り替えと頑張りが非常に重要だと思いますので、頑張ってください。
奥村 来年大きな変更が行われる前年度の入試ですから、よく“安全志向”とか、志望のランクをだいぶ下げてより確実にという動きがこれから起きるのかもしれませんが、こういう時こそ自分の行きたい大学に対して、信念を貫いて、腰を据えて、頑張るというのが、過去の事例を見ても勝因だったりすることが多いです。ぜひそこはしっかり志望校突破を目指して頑張っていただきたいと思います。
来年以降に受ける方について言えば、先ほど申し上げた来年以降の新しい入試がいろいろ変更されるということが、今後ますますメディア等を通じて喧伝される可能性がありますけれど、実はよく考えてみると、変わるところというのは限定的なんですよね。
先ほど申しげた新設科目はもちろん新しい部分ですけれど、そのほかは実はあまりない。26 年になると共通テストが電子出願になるとかという些末な変更はありますが、実はほとんどないんですね。
つまり、今行われている共通テストの出題傾向とか、あるいは個別入試についての変更は今のところほとんどないです。もちろん新課程への対応というのはありますが、大きなトレンド、先ほど申し上げた総合型・学校推薦型の拡大とか、英語外部試験の利用だとか、そういったものは今の傾向がそのまま続くと思いますので、今の状況をしっかり把握して、落ち着いて、学校の勉強を大事にして、来年、再来年以降の入試に臨んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。
木戸 それでは、みなさん 1 時間の放送をご覧いただきありがとうございました。これから入試を控えるみなさん、体調管理にはしっかり気を付けていただいて、皆さんの努力がしっかりとしたかたちで報われることを一同、願っております。
そして代ゼミ教育総研では公式の「X」でいろいろと入試情報の発信、そしてクイズなども毎日投稿しておりますので、そちらの方もチェックしていただければと思います。
それでは、本日はありがとうございました。
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@yozemi_eri
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