【教育ニュース最前線】先生のための教育イベント2024/教育マンガ著者から学ぶ/話題の映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
:::【教育ニュース最前線! 】:::
日々報じられる教育関連情報から、
教育業界への影響が大きいと思われる内容を、
代ゼミ教育総研 研究員が厳選してピックアップ。
それぞれの分析・私見を述べます。
今回のテーマは「 教育イベントと交流 」。
参加することで出会える新しい刺激、学び、つながり。
生徒・教員・スタッフの交流。
自発的に動くことで広がる世界をご紹介します。
教育・学校・入試について関心がある方々の、
考えるヒントとなりましたら幸いです。
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🔽参加レポート「NEW EDUCATION EXPO 2024」/学校現場の課題へどう向き合っていくか
「NEW EDUCATION EXPO 2024」(東京6/6〜8、大阪6/14〜15)が開催されました。
今年で 29 年目となる“先生のための教育イベント“です。
講師陣は、
早稲田大学総長・田中愛治氏
東京大学教授/慶應義塾大学SFC特任教授・鈴木寛氏
東京学芸大学教職大学院教授・堀田龍也氏
NITS理事長/中央教育審議会会長・荒瀬克己氏
桐蔭学園理事長・溝上慎一氏など。
全国ICT教育首長サミットの特別セッションや公開授業など充実したプログラムで、どのコマを選択すればよいのか大変悩ましいほどでした。
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GIGAスクール構想を牽引されてきた堀田龍也氏の講演「教育の情報化の現状と課題」が記事になっています。
▼教育の情報化の現状と課題を総括――New Education Expo 2024(東京学芸大学 教職大学院 教授の堀田龍也氏「教育の情報化の現状と課題」)(教育とICTonline・6/13)
堀田龍也氏は、この4月に東北大学大学院情報科学研究科から移籍したばかり。経歴については以下に詳しいです。
▽(参考)メディア教育論ゼミ
▼教育を取り巻く環境の変化
講演の中で、堀田氏は教育を取り巻く環境が目まぐるしく変わっていることを指摘します。
まず、教員の年齢別構成が変わっています。
<参考資料>
「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について関係資料」(R4.6.27更新版)(文科省)
50 代以上はどんどん退職し、ベテランのノウハウが失われていきます。
中堅の 40 代は人数が少ないのですが、校務の中核を担いながら 30 代以下の若い人を育てていかなければなりません。ジェネレーションギャップもあるでしょう。
しかし、これをチャンスと捉えることもできます。
若手がやってみたいことを尊重する。
一斉一律の若手教員研修ではなく、必要とされる個別最適なものにシフトする。形式的ではない実のある研修にチャレンジするときです。
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▼子どもたちに本当に身につけてほしいものは何か
また、VUCAの時代にあって、子どもたちに本当に身につけてほしいものは何かにも堀田氏は言及します。
学習指導要領では、学力を資質・能力の領域において3つの柱で捉え直しています。
①「実際の社会や生活で生きて働く、知識及び技能」、②「未知の状況にも対応できる、思考力・判断力・表現力」、そして、二つの上にあるのが③「学んだことを人生や社会に生かそうとする、学びに向かう力や人間性」です。
▽(参考)2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート!(政府広報オンライン)
最も大切なのは、学ぶ意欲や学び続ける力、うまくいかなくても挫けないメンタリティだと堀田氏は語ります。
他方、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)2022 によれば、日本の生徒は数学的リテラシー1位、読解力2位、科学的リテラシー1位となり素晴らしい成績です。
しかし、それにも関わらず、「再び学校が長期に休校となった場合、自律的な学習ができるか」に「自信がある」と答えた生徒はOECD加盟国 37 ヶ国中、34 位です。
<参考資料>
OECD生徒の学習到達度調査 PISA2022のポイント
(文部科学省・国立教育政策研究所)
▼「自己調整学習」
堀田氏が学びの方向性として示すのは「自己調整学習」です。
「子供が」「自分で選び」「自分で振り返り」「自分を向上させる」学びです。
もちろん、放任ではなく、最初から「全て」ではありません。
段階的に委ねていくのです。
子どもが決める選択肢をだんだん増やしていくのです。
「もっと上手に学べる自分になるにはどうしていこうか」という問いが、学びに向かう態度をより主体的なものにしていきます。
▽(参考)「自ら学ぶ力」、どうすれば育てられる? 自己調整学習の専門家に聞く(朝日新聞EduA)
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▼2024 年度「全国学力・学習状況調査」の分析~さらなる教育の情報化に向けて~
また、堀田氏は 2024 年度の全国学力・学習状況調査の問題内容と結果にも言及しました。
今後の教育の情報化については、リーディングDXスクール事業の成果の普及、学校DX戦略アドバイザーの活用、学校のネットワークの帯域不足の解決、学習用端末のアクセスログの解析などを取り上げました。
参考記事を4つ挙げておきます。
▽リーディングDXスクール(文科省)
▽学校DX戦略アドバイザーについて(文科省)
▽公立学校のネットワーク速度、8割が不十分…文科省調査(リシード)
▽高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)(文科省)
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💡研究員はこう考える
▼コロナ禍で大きく変わった学習環境
コロナ禍以前は、教育の情報化はまだ一部の学校のことであり、多くの学校では現実味がありませんでした。情報化どころか、国と地方自治体の厳しい財政ゆえに、学校の施設設備の改修や更新がままならない状況だったからです。
GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想に対しても、教員が使用する端末や通信環境が不十分な中、夢のような話であり、本当に進むのだろうかと疑念を抱いていました。
しかし、コロナ禍が全てを変えました。
国の関係各所が尽力し、莫大な国費が投入されることになり、2021年度は小中学校に児童生徒一人一台端末が配布されました。2022年度からは高校においても、貸与または保護者負担で導入され、学習環境が大きく変わりました。
端末は「道具」ですが、鉛筆がシャープペンシルに変わったのとは訳が違います。どう活用するか、他のアクティビティとどう組み合わせるか。
従来とは全異なる授業デザインが可能になります。
「道具」が学びの「目的」や「目標」をも変容させるのです。
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▼学校現場の課題へどう向き合っていくか~4つのポイント~
他方、学校教育には様々な課題があり、時には新しいことを進める際の抵抗も生じます。
施設設備の問題。働き方改革に係る問題。教員不足の問題。
学校教育に求められるものは、教育の情報化だけではありません。
課題は山積しています。
しかし、冷静に歴史を振り返ってみれば、課題がない社会も時代もなかったのではないでしょうか。課題がなくなる日、つまり、パラダイスが訪れる日はないでしょう。
私たちの考えるべきは、問題があるかどうかではなく、問題にどう対するか、そして問題へ向き合うことを通じて自らが解決策の一部になっていくこと、にあるのです。
では、そのために、押さえるべきポイントは何でしょうか。
🔷私は、第一に、ICT活用を強力に推進することだと思います。
なぜ、あらためて言うのか。それは、堀田氏の言うとおり、情報化の格差が大きくなっている現状があるからです。
教育の情報化がなければできなかったことがあります。即座の共有や他者参照です。協働作業や記録の管理も容易になりました。ICTが万能なわけでも、アナログを排除するわけではありません。また、デジタルゆえの弊害もあるでしょう。
しかし、端末活用を止めるという選択肢はありません。
それは、現代の社会に出る準備を全くしないということになります。
通信環境や端末の更新など具体的な課題はこれからも出てくるでしょうが、一歩ずつでも先に進むしかありません。
幸い、今や好事例にあふれています。
指導助言する立場の教育委員会は命じるだけではなく、困りごとや悩みに寄り添っていただきたいと思います。現場で支援する人たちを派遣してほしい。実際の授業を見て、話に耳を傾けて、ICTの活用に係る具体的なアドバイスをしてほしいです。
🔷第二に、授業観=学習観の転換です。
「授業」の主語は先生になってしまいがちです。しかし、主語をそこに据えてしまうと、「主体的に学びに臨む態度」は成長しません。生徒が、主語は自分、学ぶ主体は私だという意識を持ち、自ら学び習っていくしかありません。
先生も生徒も授業観=学習観を転換していく必要があります。
人生100年時代で、生涯学習社会です。学ぶことは一生続きます。学校を出て一から始めるのは不可能です。学びの新しいあり方、新しい文化をつくるのはこれからです。
🔷第三に、つながりを活用することです。
学校の統廃合が進み、数が減りました。小規模化が進み、学校の同僚の数も少ないです。ノウハウを持った先輩は近くにいないかもしれません。
しかし、そうであれば、ネットであれ、リアルであれ、つながりをつくり、連帯しましょう。他校、他の地域、他の国の人たちと仲間になり、学び合うのです。出会いは、私たちに大きな力をもたらします。
今回ご紹介した2つの教育イベントもそうした出会いの場となるでしょう。
🔷第四に、教育に対する予算を増やすための働きかけをすることです。
人的・物的環境の充実にはお金がかかります。教育への投資が必要です。しかし、予算が必要なのは教育だけでしょうか。インフラ、医療、介護、福祉、交通、環境・・・全ての分野で必要なのです。
教育関係者だからと言って、教育のことだけを主張するのは了見が狭いと言えます。幅広く学び、バランスのよい考えを持つ。諦めずに行政などに働きかける。理解者や仲間を一人でも増やす。自ら何もせずに事を為すことはできません。
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堀田氏は、教育の情報化について、次期学習指導要領にも言及しています。
▼次の学習指導要領は大きな節目 堀田龍也教授・東京学芸大学教職大学院学長特別補佐(教育家庭新聞・6/4)
次期学習指導要領と現行のものとで異なるのは、一人一台端末環境を前提としていることです。
また、堀田氏は、自治体による違いを生かし、個性を発揮しやすい弾力的な運用になることを予想しています。
私も、「自治体や学校の特性や本気度が重要になる」と思います。
「あれができない、これもできない」とできないことを探すのではなく、「あれもできる、これもやってみよう」と可能性に目を向け、どんどん着手していくことが大切ではないでしょうか。
🔽注目のフォーラム紹介「未来の先生フォーラム2024」
「未来の先生フォーラム2024」が、オンラインで7/29〜8/2、リアルで9/14,15開催されます。2017年から実施されている教育イベントです。
▽「未来の先生フォーラム」サイト
登壇者の一人、熊本大学特任教授の前田康裕さんは、小中学校教諭、小学校教頭を経験し、熊本市教育センター主任指導主事等を経て、2022 年 4 月から現職に就いています。
前田さんは『まんがで知る教師の学び』『まんがで知る未来への学び』『まんがで知るデジタルの学び』シリーズなど、著書多数です。マンガもご自身で描かれています。
▼前田康裕さん「先生も学びの変革を」 未来の先生フォーラム 登壇者が語る(寺小屋朝日・6/15)
前田さんは、GIGAスクール構想が 2021 年に始まって 3 年経ち、地域間、学校間、先生間の格差が広がっていることを心配しています。
もちろん、単にGIGA端末を使えばよいということではなく、子どもたちが持つ能力を引き出すために、授業デザインを創意工夫することが肝要です。例えば、子どもたちが調べ、情報を集め、動画をつくることで、主体的な学びが生まれます。
また、テストでよい点をとることが学びの最終ゴールではありません。社会がどのように変化しても学び続けられる意欲やスキルを身につけることがより大切です。よい点数をとることは手段であって、社会や自分の人生をよくすることが目的です。
前田さんは、子どもたちに「学ぶ」と「習う」の違いを尋ねるそうです。「習う」の場合は、内容が先にあります。漢字を習う、計算方法を習う。「学ぶ」は必ずしも内容が先にあるわけではありません。誰かの生き方から学ぶ、失敗から学ぶ。
どちらも大切です。
そして、今の時代は特に「学ぶ力」が大事です。どんなことからも何かに気づき、学び、自分を変えること。
同じ機会があっても、学びのあり方、学び方で差が出ます。
また、前田さんは、学び方のコツを紹介します。
それは、具体的なことを抽象化=概念化し、抽象的なことは具体化しようとすることです。
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💡研究員はこう考える
▼自分から動くことで出会える新しい視点、素晴らしい先駆者たち
私は、未来の先生フォーラム(当時は「未来の先生展」)2019 に参加しました。自費で札幌から東京まで行き教育イベントに参加したのは初めてでした。校長として当時勤めていた学校でいくつかの大きな課題を何とか解決し、さらにステップアップするためのヒントを探し求めていた時期です。
イベントは二日間。会場は明治大学。3,358 人が参加しました。
出口治明氏、工藤勇一氏、中島博司氏など著名な方々のお話を聞くことができました。
ちなみに、当時の私はICTの活用は頭にありましたが、公立高校の環境は全く不十分で端緒にも着いていませんでした。
デジタル教材に驚き、ワークショップで「問いの立て方」を学び、そして北海道にない先進的な取組を進める学校のことを知ることができました。
最も印象に残ったのは、多様な人たちが全国各地から集まり、教育をアップデートしようという熱気に包まれていたことです。先生だけではなく、民間企業の方も熱心に参加していました。
日常的に「なぜわかってくれないんだ」「なぜ変わらないんだ」と言いたくなることも多々あったわけですが、二日間の体験に思いっきり背中を押されました。
不平不満を言っている場合ではない。打つ手は無限、前向きにやれ、と。
2020 年のコロナ禍に入ってからは、リアルのイベントがなくなった分、オンラインや本、ネット情報に知見やアイディアを求めました。
▼教育マンガ著者から学ぶ
出会いの一つが前田康裕さんの本です。
マンガの舞台は小学校ですが、大事なことは校種に関係ありません。
前田さんは、常に本質的な問いと向かい合い、具体的に答えようとしています。
また、現場の「あるある」がたくさん出てきます。
教員の全てが一斉に理解し、すぐに同じ方向に走り出すことなどありません。それぞれの教育観があり、自分がやってきたことと違うことを言われると自身が否定されたように感じます。
ものの見方・考え方にも様々なバイアスがあり、変えることに抵抗を感じます。
教員も人間であり、自信や勇気がなくて一歩が踏み出せないことがあります。 そこをどう突破していくのか。
マンガに登場する指導教員の吉良先生は、場をつくります。タイミングを見て、言葉をかけます。ヒントを出したり、自分の経験談を語ったりします。それは吉良先生の持つセンスです。
誰でも同じようにできるわけではありませんが、よく考え、他者のことを想像し、経験を積むことでセンスは磨くことができます。
いずれの作品も、今の子どもたち、教員たちが置かれている状況、課題をわかりやすく表現し、未来への可能性も含めて豊かに描いています。
繰り返し読むのに値するマンガです。
読むたびに、教育に携わる幸せを感じることができます。
さあ、読みましょう。
子どもたちの将来が国の未来です。
教育関係者はじめ、すべての大人に読んでいただきたい良書です📖
▽前田康裕先生のまんがで学ぶ授業改善プロジェクト#01~研究授業後の検討会を考える~(みんなの教育技術・6/3)
▽前田康裕先生のまんがで学ぶ授業改善プロジェクト#02~小中連携協議会を活性化させるには~(みんなの教育技術・6/10)
▽前田康裕先生のまんがで学ぶ授業改善プロジェクト#03~教師の成長とデジタルの学び~(みんなの教育技術・6/17)
🔽【話題の映画】『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
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\begin{array}{|l|l|} \hline\ \small形態 & \small映画\scriptsize(2023年米国)\ \\ \hline\ \smallタイトル & \smallホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ \ \\ \hline\ \small監督 & \small アレクサンダー・ペイン \\ \hline\ \small出演 & \smallジアマッティ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ドミニク・セッサ \scriptsize ほか\\ \hline\end{array}
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最後は 70 年代のアメリカ、ボストン近郊にある男子寄宿学校のクリスマス休暇中の出来事を描いた映画のご紹介です。
学校に集う生徒、教師、スタッフそれぞれの事情や悲しみを通して、誰しもが何かを背負って生きていることを考えさせられます。
🎬 ・ 🎬 ・ 🎬・
▼大人の事情に翻弄される生徒と、過去を背負う教師に芽生える絆
時は、1970年のクリスマス。
普段は寄宿生として過ごしている生徒たちも家族の待つ家へ帰っていく・・・ところが、学校に残る者たちもいた。
そして、最終的に残された3人――
頑固一徹で生徒たちから嫌われている教師ハナム、頭は切れるがいつも反抗的な生徒アンガス、そして、息子を戦争で亡くし悲嘆に暮れながらも寄宿生たちの食事を作り続けるメアリーは、遠出禁止のルールを破り、こっそりボストンの街中に繰り出してしまう。そこで、意外な展開が起きる・・・
ハナムは、アンガスとボストンの街中を歩くさなか、ひょんなことから自身の過去をさらけ出すことになってしまう。
その一方、アンガスも、なぜボストン行きにこだわっていたのか、そして、そこに隠されていた家庭の事情も暴露されてしまうことに・・・。
🏫 ・ 🏫 ・ 🏫
💡研究員はこう考える
アカデミー賞やゴールデングローブ賞に輝くこの作品は、米国の名門ボーディングスクールを舞台に展開されていますが、名門校を讃えたり美化したりするのではありません。卑猥な会話が飛び交い、喧嘩や暴力の絶えない男子校の日常の風景がそのまま描かれています。
かたや、いわゆる富裕層の親たちが、金にものを言わせて、息子を名門大学へ進学させようと、学校に対してプレッシャーをかけてくる様子もストレートに描かれており、いわゆる“大人の事情”が学校現場で渦巻く様子が垣間見えるのです。
ハナムは、“大人の事情”に翻弄されるアンガスに寄り添う決心をし、ある行動に出ます。これが、この後待ち構える切ないラストシーンにつながっていくのですが、観る者は、二人の間に芽生える絆と、ハナムがアンガスを励ます「君の過去が人生の方向を決めたりはしない」との台詞に、心を揺さぶられます。
それとともに、古今東西いつの時代にも、子どもは大人のエゴに振り回されがちな存在であること、そして、教師も、過去を背負うか弱き一人の人間であることが、映画を通して浮かび上がってくるのです。
レトロ調のフィルムからは 1970 年代のアメリカの魅力や文化も伝わってきます。
★6/21(金)より現在全国で上映中
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次回、vol.8 もお楽しみに📓
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